映画ずきのしんちゃんさんのブログ

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大幅な下げーペシミストの見方

週末の日経平均は19470.41(-232.22). 月曜日に日経平均は大きく下げたが、なんとか安値を割らずに雲の中を保った。そのあと反発したものの、終値は転換線、基準線に届かずじりじり下げて雲の下限を割り込み、結局金曜日に再び大きく下げ、雲の下限19731を割り込んだ。テクニカルには、基準線、転換線までは戻り売り、という一目均衡表の威力を再び見せつけたように思われる。いずれにせよ、雲の下限を大きく割り込んだことで、日足のレベルでは下値のめどがなくなっている。パラボリックは下向き、MACDモメンタムもマイナス圏を下降。ボリンジャーはマイナス2σの外にあって、バンドは外に広がっており、日足は完全に下降トレンドとなった。週足では、転換線の下だがなお基準線の上にあるものの、パラボリックは下降、MACDはマイナスに沈んでいる。このままゆけば週足の基準線19271が下値のめどになると思われる。(一部のアナリストの中には、最近まで上昇トレンドが維持されるのではないか、と考えていた向きがいたようだ。しかしMACDやモメンタムの水準は一貫して低下してきており、7月初旬にはパラボリックは下向きに転換、ボリンジャーも狭まってきており、これは希望的な観測に過ぎなかったのではないかと思う。)


ドル円は現在109.19(-0.39)。こちらは11日に108.7の安値をつけた後戻してきたが、水曜日から下げに転じ、結局安値を割り込み108.60をつけ、少し戻している。雲のはるか下にあり、基準線、転換線の下で、パラボリックは下向き、MACDはマイナス、ボリンジャーはマイナスσの下で中心線は下向き。日経平均ほど明確な下降トレンドではないが、ドル円については、週足も基準線、転換線の下にあり、雲の下限108.71(そして遅行スパンは基準線)ぎりぎりにあって、パラボリックは下向きに転換、雲の下限をした抜けるかどうか試しているという局面になっている。もしこれを割り込むと週足は下値のめどがなくなりかねい。さらに月足もすでに基準線、転換線を切って雲の中に入ってしまっているので、短期、中期、長期とも、ドル安円高方向を示していると言わねばならない。


月曜日の下げとその後の一時的な戻し、金曜日の大幅下落をみると、今回の下げが単に北朝鮮問題ではないことがわかる。北朝鮮はきっかけになっているが、より根本的な問題は、アメリカの経済の先行きへの見通しにありそうだ。インフレは期待していたように上昇せず、10年債の金利も上昇していない。つまりアメリカの経済の先行きに対する悲観が債券市場に強いということではないだろうか。そもそも昨年の11月以来の株の上昇は、トランプラリーといわれたように、トランプ政権への期待ーインフレ投資、減税、そして雇用の拡大ーに起因していた。雑駁に言えば、11月以来の株の上昇は、金融緩和によってだぶついている流動性が、政治的な期待をもとに、株式市場にながれこんだ結果ではないか、とも思われる。その意味で一部のFRBの委員が言っているように、そこには多少なりともバブル的性格があったことは否めない。


実際、10年物金利とドル円の関係は依然として強いプラスの相関関係が維持されている一方で、米国債10年金利とダウの相関関係はこの間強いプラスからマイナスの逆相関へと大きく転じ、ドル円と日経平均の相関関係も一旦大きく低下、いわば日米ともに株式市場は債券市場とは逆行して「舞い上がった」状況になっていた。しかし8月あたりから日経平均はドル円とのプラスの相関関係を急速に回復し、ダウと日経平均との相関関係は逆に7月以降強いプラスから急速に低下してマイナスに転じている。つまりダウは依然、債券市場の動向を気にせずあげてきているものの、日経平均は、10年物国債の金利の低下がもたらす円高に反応しはじめて、ダウとの相関を失って下降を始めたという状況のように思われる。


ではなぜアメリカの経済の先行きに悲観の雲がたちこめているのか。インフレが進まないのには、金融緩和によって、経済活動が活発になっても、グローバル競争に直面する企業が、賃金をあげることをためらい、商品の価格もあげられないという状況があるかもしれない。あるいはe-コマースが価格破壊を続けているということも指摘できるかもしれない。しかし最も直接の原因は、おそらくはアメリカ政治の混迷にある。トランプ政権の機能不全は、目を覆うばかりだ。次々に高官が辞任、解任され、実働部隊の政府の役職者はちっとも任命されず、ロシアゲートが政権中枢を捜査対象にしている。外交も混乱を極め、北朝鮮とは核戦争の瀬戸際に陥り、経済政策においてはオバマケアの廃止もできず、減税もインフラ投資も、メキシコの壁建設なども進んでいない。ヴァージニアの白人優越主義者のテロ行為による事件によって、さらに産業界からもそっぽをむかれ、議会共和党との関係は崩壊寸前。これでなおトランプラリーの残り香が保たたれている方が不思議である。


こうした状況を素直に読むと、トランプラリーの前まで、為替も株式も値を戻す危険を考えておかねばならないだろう。もちろん株については好調なように見える足元の企業業績が支えにはなるはずだ。だがそれも想定為替レート108円を切らないという条件がつく。


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