はるるっぴさんのブログ
金融大恐慌に向かう世界
先日、テレビなどでも時々登場するエコノミストと一緒に飲みに行く機会があった。
エコノミスト仲間のBNPパリバ証券の河野龍太郎さんとも仲良しだそうだ。
印象に残った言葉で、書いて問題のないことを少しだけ書くと
「表向きのところでは、日銀の悪口は言ってもよいが政府の悪口は言ってはダメ」
「将来、財政破綻を折り込んだ長期金利の上昇が起きると思う」
「ユーロは、いずれ崩壊するでしょう」
「国内の金融機関は、国債が大暴落すると、高度な市場リスクの管理手法を使っても対応できない」
「BISのバーゼル3で、国内金融機関の資本政策の中心をしめた優先株などがコア資本から除外されたことは、日本の銀行と日本人にとって大変不利。日本人は国民皆で大反対すべき問題」
「優秀な人材をスカウトしたいが、国内の金融機関には来ないよ。」
ここまでにします。
・・・
今回は、マーケットについてはあまり書かないことにしますが、弱気に変更なしです。
どこかでリスクオフになることは予想できますが、いつそうなるかわかりません。
引き続き、短期的には、株価上昇することはあると思います。
今回もマーケットを支配する大物ヘッジファンドは、売る人がいなくなってから自分たちだけで売って大儲けするのでしょう。
あまり時間がないので、思いつくままに書きます。
素人のひとりごと日記です。
(すべて正しくは信頼できる専門家へ)
〇日銀のバランスシート
(参考:ニッセイ基礎研究所レポート)
5月31日現在日本銀行のバランスシートの貸方(資産)が500兆円を超えました。
内訳
貸方(資産)
国債 427.2兆円
社債 3.2兆円
ETF 14.0兆円
・・・
異常事態です。
残念ながら、マスコミや表向きの専門家のおかげで
ほとんどの日本人は、この異常事態に危機感を持つことなく、
心地よい無感覚で忙しく毎日を送っているようです。
借方(資本・負債)
発行銀行券 99.5兆円
当座預金 351.7兆円
引当金勘定 4.9兆円
資本金・準備金 3.2兆円
・・・
ここで重要なのは、巨額の金額であることはもちろんですが、
貸方の一番膨らんでいる国債の金利は固定金利
借方の当座預金は変動金利になっていることです。
将来、金利が上昇すると、借方の当座預金の額が膨らみ、
引当金ではカバーできなくなります。
そうなると、日銀は赤字になります。
日本銀行が出口戦略に移行したとき赤字になるでしょう。
「それがどうした!」
「今まで国債が暴落すると何度も言われてきたけど、一度もなっていないではないか!」
と表向きの専門家に言われそうですが
過去の歴史を学ばず、エキゾチック金融危機の本質も理解できない人の言うことでしょう。
・・・
日本銀行の赤字は、日本銀行の信認問題になります。
一緒に飲みにいった日本銀行の方が言っていた通り、
通貨とは「信用度」なので
信用がなくなると、「悪いインフレ」になります。
ここで、ハイパー・インフレになると言った極端なことを言うややこしい専門家も登場しますが、何度も書いたように、これも間違いです。
「先進国での国家財政の破産を、ハイパー・インフレとする多くの論は、世界の商品供給力が増え、グローバルなコンテナによる商品流通が急増したことをみない粗雑な俗論です。500兆円ものマネーが日々、巨大に移動し、商品も高速で国境を越えるグローバル化した経済では、60年前の資本にも商品にも移動の障壁があった時代とは、根本的に異なるのです。」
(国家破産 吉田繁治より)
もともと1万円札の価値は18円しかないので、
このことに気づく人が増えてくるでしょう。
貸方の国債の金利は固定金利
借方の当座預金は変動金利
これだけでも、日銀が出口戦略を取ったとき
大変なことが起きることがわかる人にはわかるでしょう。
お金はあるけど、何をしてよいかわからない人は、今からでも
純金積立などで金(ゴールド)を買っておくのも一つの選択肢になります。
不動産のメチャメチャ豊富な実務知識のある人は、不動産でも良いかもしれません。
ビットコインやリップルなどの暗号通貨も選択肢になるかもしれません。
わたしの知っている人は、M&Aで企業を買っています。
〇第二のサブプライム警戒
(6月23日 日経新聞より)
「かねて問題視されていた米国の自動車ローン債務の拡大について、その深刻さを指摘する声がじわじわ増えてきた。東京市場での自動車株の低迷は、『第2のサブプライム』といわれるローン問題への警戒の高まりを映している。」
「株式市場は米利上げを恐れていないが、低迷する自動車株が『先行指標』だったと振り返る時期がくるかもしれない。」
(日経新聞より引用)
日記に何度か書いたと思いますが、自動車版サブプライムローン問題が表面化しつつあります。
ここでもテレビなどによく登場するクレジットバブルの崩壊を予見できなかった凡百の専門家たちは、
「住宅ローンではなく、規模の小さな自動車ローンなので大丈夫~」
などと言っていました。
その先にある証券化商品の知識がないのでしょうね。
投資銀行に勤めている方が言っていました。
「テレビに出て喋るのだったら、もっと勉強してから喋らないとダメだね~」
〇E-MINI S&P 500 STOCK INDEX
6月13日 64.9%
6月20日 66.3%
2/3の水準まで買い比率がわずかに上昇しました。
アメリカ株に対して機関投資家が弱気だったことも
堅調なアメリカ株を下支えしていると考えられます。
〇ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)
6月22日の日経新聞にブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)の記事が記載されていました。この記事は良い記事だと思います。
ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)の10年物金利が足元下がっているなか(期待インフレがない状態)でFRBが金融引き締めをしているので、アメリカ景気にマイナスになる可能性が大きくなります。
足元原油価格も下落しているうえ、中古自動車販売の値下げ競争でも、期待インフレ率が下がるでしょう。
「日米実質金利差は縮まらず」
「円高シナリオ 根強く」
といった日経新聞の記事につながります。
ただ、多くのミセス・ワタナベが
米長期金利、失業率、賃金上昇率なども見て
同じように考えて円売りの投機ポジションを取ると
大物ヘッジファンドによって踏み上げられることになります。
(自分の考えが多数意見になるときは要注意です。)
需給面もよく見ないといけないので
このあたり、マーケットの難しいところです。
〇欧州難民危機(European refugee crisis)
簡単に過去の民族大移動の歴史を振り返ると
ゲルマン人の大移動
375年、フン族に押されてゲルマン人の一派であるゴート族が南下し、ローマ帝国領を脅かしたことが大移動の始まりとされる。その後、多数のゲルマニア出身の民族が南下をくり返しローマ帝国領に侵入した。移動は侵略的であったり平和的に行われたりした。この後すぐに西ローマ帝国は滅亡した。
新大陸発見⇒アメリカ大移動
17世紀 多くのヨーロッパ人がアメリカに移民した結果、
当時のヨーロッパの人口の五分の一はいなくなったと言われている。
そして現在進行中の欧州難民危機
紛争や貧困に苦しむ中東やアフリカから欧州への難民の流入が数十万人規模に膨らんでいる。死者も数千人に達し、欧州連合(EU)を中心に対策を練るが、加盟国間の不協和音は高まるばかり。各国内でも難民受け入れ反対派による暴力行為が発生するなど不穏な空気が広がっている。(昨年のThe Wall Street Journal記事より)
欧州難民危機を理解するために、欧州のシェンゲン協定もチェックです。
シェンゲン協定
(ヨーロッパの国家間において国境検査なしで国境を越えることを許可する協定)
ゲルマン人の大移動もアメリカへの大移動も
民族大移動は歴史の転換点で起きています。
欧州難民危機もユーロ崩壊につながる出来事になりそうな予感がします。
〇カッサンドラーの予言
前に書きましたが、タクシーの運転手さんから聞いた話が印象に残っています。
「わたし経済の専門家が大嫌いなのですよ~」
「リーマン・ショックのような大きな事件を前もって予見できないのに何が専門家ですか!」
しかし、前もって警鐘していたカッサンドラーがいた。
(以下敬称略)
ニューヨーク大学教授でマスコミたちから破滅博士と言っていじめられた超一流の学者ヌリエル・ルービニ
当時シカゴ大学教授で後にインド準備銀行総裁も務めたラグラム・ラジャン
世界3大投資家の一人 ジム・ロジャーズ
ハーバート大学教授 ケネス・ロゴフ
イェール大学教授で2013年にノーベル経済学賞を受賞したロバート・シラー
そのカッサンドラーたちの比較的最近の発言をチェックすると
アメリカ株は歴史的に割高水準にある。29倍というCAPEレシオは極めて高い。1929年ほどは高くないが、それに近づいている。悪い兆しだ。今は1927年、CAPEが同じく29倍近かった頃とよく似ている。
(ロバート・シラー)
日本はまた、長期にわたって財政の脆弱性にも対処しなければならない。世界最大の公的債務(国民所得に対する比率)と世界で最も速い部類に入る人口減少速度の組み合わせは、極めて有害なものだ。
(ケネス・ロゴフ)
日本の破綻はすでに始まっているとも言える。人口減少が始まり、負債はまるでロケットのように増え続けている。歴史を振り返れば昔日の経済大国が最貧国になったケースはいくつもある。日本の状況は良くない。若くて頭のいい人達は、やがてこの国を去るのではないかと思う。
(ジム・ロジャーズ)
日本財政が危うくなるのは、2%の物価目標が達成するか、日銀が緩和策を終了する時。
(ヌリエル・ルービニ)
逆に、米国発の世界金融危機、クレジットバブルの崩壊を予見できなかった凡百の専門家たちは、
「アベノミクスは一定の成果を上げている」
「世界経済は落ち着きを取り戻している」
「アメリカは出口戦略に向かっている」
「大丈夫~大丈夫~」
などと言っている。
どちらの話を信用するかは、個人の自由です。
〇世界金融大恐慌へ
世界経済大恐慌を簡単に復習すると
英仏:ブロック経済 米国:ニューディール政策
【保護貿易主義台頭】
関税
為替管理
輸入数量制限
国産品優先措置
輸入課徴金
輸出補助金
輸出自主制限
広大な植民地市場や豊富な資源をもたないドイツ・イタリア:ファシズムが台頭する
恐慌⇒保護貿易主義⇒対立激化
⇒戦争:保護貿易主義が世界経済の崩壊に連動
今回の金融危機と世界大恐慌との大きな違いは
デリバティブ600兆ドルが世界大恐慌のときは存在しなかった。
将来予測される世界金融大恐慌は、過去の世界大恐慌よりも破壊力、スピードともに格段に威力のあるものになるでしょう。
ただ、すぐには起きないと思います。
FRBもいずれ
利上げが終了(利上げできなくなる。)
テーパリングが失敗
FRBは政策手段を残すために強引に利上げしているだけ
株で大儲けしている個人投資家が
「FRBも日銀も噓つきのプロだ」と言っていました。
FOMCの6月利上げに反対した
ミネアポリス地区連銀 カシュカリ総裁の発言より
「私が反対したのは、当局が2大責務の達成にどの程度近いかを判断する上で私が重視するデータが、前回の会合以降ほとんど変わっていないためだ」
「インフレ目標はまだ達成できていない。また労働市場は力強さを増し続けているのは、スラック(働く意思や能力があるにもかかわらず仕事がみつからない人が非常に多い状態)が残っていることを示唆している」
いずれFRBが今後も利上げを続けていることは困難になるでしょう。
そして、世界金融危機が再度表面化して
利下げ➡QE4➡ごめんなさい!➡世界金融大恐慌へ
「ごめんなさい」まで大丈夫かもしれません。
それまで、何度か今のような安易な楽観論が出てくるでしょう。
リーマン・ショック以降の政策当局の対応策は、そのほとんどが問題の先送りに過ぎません。
危機が再発したとき、リーマン・ショックのときと違い金融・財政政策は限界を超えています。大混乱が起きることは容易に想定できます。
〇結論
足元、株価は堅調です。需給面からも再度上昇する可能性もあるでしょう。しかし、いつまでも続かないでしょう。
「バブルはいつか崩壊する。しかし、いつ崩壊するのかわからない。」
NY株も異常に高いと思います。
①NY株が異常に高い➡②株価が高いと判断した投資家が空売りを入れる➡③大物ヘッジファンドが踏み上げる➡④空売りの買戻しでさらに株価上昇➡⑤最後に押し出されて機関投資家などが株を買いにくる➡⑥株価暴落へ➡⑦官製相場で再度株価上昇➡⑧ ①へ戻る
一つの流れとして考えられます。
⑦、⑧はないかもしれません。
現在は④の段階でしょうか。
短期的には難解なので
みんかぶの売り予想は増やさず、このままにして様子をみます。