カバード・コール増 ⇒ 先物の売り増 ⇒ 株価の頭を押さえる

優利加さん
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昨日の米国株式相場は高安まちまちとなった(DJIA -36.50 @20,975.78, NASDAQ +17.93 @6,120.59)。ドル円為替レートは113円台後半での推移となった。本日の日本株全般は上昇銘柄が下落銘柄よりやや多かった。東証1部では、上昇銘柄数が1,044に対して、下落銘柄数は805となった。騰落レシオは127.24%へ上昇した。東証1部の売買代金は2兆7790億円。

TOPIX +3 @1,585
日経平均 +57円 @19,900円

TOPIXも日経平均も小幅上昇した。年初来高値を2日ぶりに更新し、2015年12月3日以来の高値を付けた。5月4日まで開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)後に米利上げ観測が強まったのを背景とした円安・ドル高基調が継続している。円相場は1ドル=113円台後半で推移した。

日経平均の2万円台回復も期待されたが、投資家心理を冷やすかのように、北朝鮮の駐英大使が英メディアに対し、「6回目の核実験に向けた準備を進めていると語った」と市場に伝わった。ただ、核実験に踏み切れば中国による制裁が正当化されるため、発言ははったりの可能性が高いとの見方は多い。円相場は1ドル=114円台前半で昨夜は動いていたが、一転、有事の円買いで円高に振れた。

日経平均の頭を押さえるテクニカルな要因も指摘されている。カバード・コールによる先物の売りが断続的に出ている。カバード・コールとは株式の現物を持ちながら、コール・オプションを売ってオプション料を稼ごうとする取引である。例えばある投資家は日経平均が2万円を超えないと予想していれば、行使価格2万円のコール・オプションを売り、そのオプション料を稼ごうとする。見立て通り、期日まで2万円を下回ったままならオプション料だけ丸儲けとなる。逆に、2万円を超えた場合、現物を相手に渡せば良い。結果的に狙った価格で売却するターゲット・セリングとなる。株価の攪乱要因となるのはこのカバード・コール取引によるコールの売り注文を受けた証券会社のデルタ・ヘッジである。仮にそのコール・オプションのデルタが0.5だとすると証券会社は先物でオプションの額面に対してその半分を先物で売り建ててデルタがマイナス0.5のポジションを作り出し、トータルでデルタをゼロとする取引を行う。つまり、証券会社が投資家からコールを買うと、その約半分の先物売りが出るということである。反対に、株価が下がると、証券会社が投資家から買ったコールの価値は時間価値だけなのでゼロに近づいていくが、先物の売り玉の含み益が増してくる。するとこれを反対売買するので先物で買いが発生し、株価の下げを緩和する。このように、証券会社が顧客のオプション売りの注文を受けると、証券会社のデルタ・ヘッジにより値動きを抑える要因となる。

33業種中18業種が上げた。上昇率トップ5は、鉄鋼(1位)、その他製品(2位)、情報・通信(3位)、電気・ガス(4位)、電気機器(5位)となった。


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