融資枠打ち切りか減額を通達された世帯は全米で100万近くに上るといわれる。HELをテコにした個人消費は完全に失速。消費者の債務水準は高く、景気も減速感を強める中、ローン返済に窮する利用者も急増しており、銀行の損失も今年から急増し始めた。今年3月に格付け会社フィッチ・レーティングスは、HELなど消費者向けローンにおける今後の損失大幅拡大を主因に、米国の大手8行を一斉に格下げしている。
フィッチによると、昨年末時点においてHELが融資全体の1割以上を占める銀行は17行に及び、自己資本を上回る銀行も10行を数える。融資残高比率が3割と最も高いカントリーワイドは米住宅ローン最大手で、サブプライムローンの焦げ付きで経営が危ぶまれていたが、今年1月にバンク・オブ・アメリカによる救済合併で合意(7月に合併発効)している。コマース・バンコープもトロント・ドミニオン銀行が買収を決めるなど再編も急だ。


