原油安が円安進行を止めた

優利加さん
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昨日の米国株式相場は高安まちまちとなった(DJIA -69.03 @20,855.73, NASDAQ +3.62 @5,837.55)。ドル円為替レートは114円台半ばの円安方向での推移だった。本日の日本株全般は上げる銘柄が多かった。東証1部では、上昇銘柄数が1,216に対して、下落銘柄数は625となった。騰落レシオは119.36%。東証1部の売買代金は1兆8791億円。

TOPIX +4 @1,555
日経平均 +65円 @19,319円

TOPIXも日経平均も反発した。しかし、昨日の大引け時点に比べ円相場が1円弱円安になったことや、昨日までの4日間に日経平均で300円以上下げたことを考えれば、今日の反発は上値の重さが目立った。3月10日発表の米雇用統計や、来週のFOMC、オランダ総選挙などを控えて様子見が多かった。

円安の背景はこうである。米民間雇用サービス会社ADPが発表した2 月の非農業部門雇用者数(政府部門を除く)の前月比増加数が市場予想を大きく上回った。これを受けて米長期金利は上昇し、日米金利差の拡大観測から一時は114円台後半まで円安・ドル高が進んだが、ここで円安の勢いは止まった。それは原油価格が下落したためである。http://chartpark.com/wti.html

米当局が公表した石油在庫が市場予想を大幅に上回ったことで、WTI期近物は一時1バレル50ドル台まで下落し、約3カ月ぶりの安値となった。投機筋の先物買いが過去最高水準に積み上がっており、ひとたび原油価格が下落傾向に転じたと判断すれば、買い持ち高を解消する原油売りを一段と強めやすく、原油価格下落はさらに進む可能性がある。原油安による資源国経済への悪影響が意識され新興国市場が動揺すると、投資家のリスク回避姿勢が強まり円買い・ドル売りへと繋がりかねない。3 月の米利上げ期待から米金利が上昇しており、投機筋による原油から他のドル資産への事実上の資金移動を促してさらなる原油安への引き金となる。さらに、原油価格の下落は日本にとって経常収支の黒字を拡大させる要因となるので、中長期的には円買い材料である。

他方、日本株の支援材料もある。日本株の売買の6~7割を占める海外投資家の動向を見ると、海外勢は2001年以降昨年まで16年連続で4月に日本株を買い越している。また、日本の主要企業の18年3月期の経常利益の伸び率は今期予想比で12.6%と大和証券は集計している。さらに、例年4~5月は自社株買い設定額が最も多くなる季節であり、設定直後に実際に自社株を買う企業も多い。最後に、3月は期末に向けて金融機関の利益確定売りが膨らみやすいが、3月中旬には峠を越すと見られる。

33業種21業種が上げた。上昇率トップ5は、ゴム製品(1位、原油安の恩恵を受ける)、精密機器(2位)、ガラス・土石(3位)、非鉄金属(4位)、金属製品(5位)となった。


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