バブル期以来の5年連続陽線となるか?

優利加さん
優利加さん
昨日の米国株式相場は大幅続伸した(DJIA +142.04 @19,756.85, NASDAQ +27.14 @5,444.50)。ドル円為替レートは115円台半ばでの推移。本日の日本株全般は続伸した。東証1部では、上昇銘柄数が1,119に対して、下落銘柄数は773となった。騰落レシオは151.97%まで上昇したが、これは明らかに加熱気味である。早晩調整があったほうが自然である。東証1部の売買代金は3兆3144億円となり、連日の3兆円台で大商いである。

TOPIX +6 @1,531
日経平均 +159円 @19,155円

前週末12月9日に米ダウ工業株30種平均が連日で過去最高値を更新し、東京外国為替市場で円相場が1ドル=115円台半ばと約10カ月ぶりの安値を付けたことを好感して、日経平均は今年に入り初めて終値で1万9000円を上回って終了した。12月10日にウィーンのOEPEC本部で開かれた閣僚会議では加盟国と非加盟国が15年ぶりとなる協調減産で合意した。これを受けてNYMEXの原油先物相場は時間外取引で急伸して投資家心理の改善が進んだ。しかし、日経平均の日足ローソク足は上下に長めのひげを引いた短陰線で終えており、先詰まり感がある。そうは言っても、市場の先高感は強く、このまま年末を迎えれば、日経平均の年足は5年連続で終値が始値を上回る陽線となり、そうなれば第二次石油危機直前の1978年からバブル期ピークの89年までの12年連続陽線以来の出来事となる。

日本株は11月8日の米国大統領選挙直後から誰の目にもわかるような急上昇をし始めた。しかし、ファンダメンタルズはそれより少なくとも半年は早く変化していた。データの発表が遅いのが欠点だが、法人企業統計によれば7~9月期の大企業・全産業(金融保険を除く)の売上高営業利益率は円高にもかかわらず4.7%と7~9月期としては高度経済成長期の70年代前半並みの水準となった。この重奏低音に俄に進行し始めた円安が加わり、外国人投資家は主力株を中心に買い始めた。海外投資家が主力となって海運や証券、鉄鋼などこれまで割安感のある銘柄を買ってきた。しかし、流れが少し変わってきた。今まで買い進めてきた主力銘柄を利益確定売りする一方、これまで上昇率が鈍かった食料や小売り、医薬品といった内需株が買われた。

1年単位の視点で相場を見てみる。中国景気が持ち直すなか中国国内での建設需要が回復しつつあり、鉄鋼製品や建機の需給改善が進んでいる。昨年末と比較すると、鉄鋼と機械は上げており、建設機械を手掛けるコマツ日立建機は水準を30%以上切り上げた。他方、足元の円安基調で追い風が吹いているはずの自動車株は業種別で見ると、意外にも昨年末比でやや下落している。もしトランプ次期米国大統領の主張通りNAFTA見直しとなれば、稼ぎ頭の北米の新車販売に重大な悪影響が避けられないからだろう。

円安はどこまで進むのだろうか?市場は17年に3 回の米国利上げを意識している。日米金利差の拡大を背景とする円安・ドル高の地合いは長く続くきそうだが、短期的にはどうだろうか。円相場の2015年の安値は125円86銭、16年の高値は6月24日に付けた99円ちょうどなので、この値幅から「フィボナッチ・リトレースメント」を設定すると、高値から61.8%円安が進んで115円60銭程度となる。この水準が円相場の下値メドと思われていたが、本日すでにこれを一時突破した。米商品先物取引委員会(CFTX)によると、12月6日時点の投機筋の円持ち高は3万3937枚と2週連続の売り越しとなった。投機筋はさらに円売りを進めそうな勢いである。

33業種中19業種が上げた。上昇率トップ5は、食料品(1位)、水産・農林(2位)、サービス(3位)、小売り(4位)、医薬品(5位)となった。

優利加さんのブログ一覧