連日の大幅下落で17000円割れ、当面は米大統領選が重石に
東証1部の騰落銘柄数は値上がり395/値下がり1512と売りが優勢。決算で評価の高まったルネサスがストップ高。フジミインコやケーズHDも決算を受けて値を飛ばした。取引時間中に決算を発表した日本水産が急伸。ABCマートやアダストリアは月次を手がかりに買いが入った。一方、通期下方修正に加え、タカタの米子会社の破産法申請観測で思惑的な売りが広がったダイセルが急落。業績下方修正のカシオやジャムコ、富士急行などが大きく売られた。前引け後に業績に関するリリースを発表したユニ・チャームや日揮は後場一段安となった。
ようやく日本株上昇のお膳立てが整ってきたと思ったら、足元をすくわれる下落。米大統領選が要因となっており、しばらくは事の成り行きを見守るしかないが、このタイミングでFBIが捜査を再開したということは、クリントン氏には逆風が続くとみておいた方が良い。そして気になるのが為替の動き。米国の12月のFOMCは13~14日の日程となるが、仮にトランプ氏が逆転勝利し、それによりマーケットが一時的にしろクラッシュのような動きを見せた場合には、FRBが利上げに踏み切れない可能性がある。そして、クリントン氏が逃げ切って勝利した場合でも、メール問題が深刻化し、政治への不透明感からリスク・オフ相場が継続し、米国株が調整色を強めるようなら、利上げを躊躇させる材料となり得る。また、ヘッジファンドなどがそういった環境作りを狙って売りを仕掛けてくることも想定される。現状では米国の12月利上げがコンセンサスとなりつつあるだけに、それに黄信号が灯るようだと、特に日本株にとってはアゲインストの流れとなる。来週、マーケットが早めに落ち着きを見せたとしても、為替動向に関しては、最大限の注意を払っておきたい。
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【来週の見通し】 軟調か。今週、米国の大統領選を理由に大きな下げを見たことから、投票結果を見極めるまでは市場全体の上値が重くなる可能性が高い。トランプ氏勝利が確実となった場合、マーケットが大きく混乱する展開も想定しておく局面。接戦かつ舌戦が繰り広げられたため、結果が判明するのに時間がかかる、また判明しても劣勢の候補者が選挙内容に難癖をつけ、マーケットももやもやしたまま推移を眺めるといった展開も想定される。引き続き企業決算が多く出てくることから個別の売買活況が下支え要因になるとは考える。また、国内では10月の景気ウォッチャー調査や国内企業物価指数、9月の景気動向指数や機械受注など重要指標の発表が多く、指標に改善が見られるようなら日本株が見直される可能性もある。ただし、日経平均は今週、17500円に届かず大きく下げており、上昇しても戻り売りに押される展開を予想する。
【今週を振り返る】 軟調な展開となった。米国ではFBIがクリントン氏のメール問題を再調査するとの報道を受け、クリントン氏とトランプ氏の支持率が接近。大統領選に対する不透明感が強まり米国株は軟調となり、為替市場ではドル安(円高)が進行、原油価格も下落するなど、リスク・オフの様相が強まった。FOMCでは利上げに前向きな姿勢は示されたものの、特段サプライズには乏しくマーケットへの影響は限定的。東京市場は休場をはさむ日程であったことから、余計にポジション解消の売りが出やすく、日経平均は祝日前の2日、祝日明けの4日がともに3桁の大幅安。節目の17000円も割り込み、円高・株安への警戒が強まった。日経平均は週間では約541円の下落となり、週足では陰線を形成した。
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