重い腰痛に悩まされているうどん爺ちゃん。
今日は天気も良かったから徳島県の山間にあるいつもの温泉に行った。
治療のつもりで薬湯に浸かった。長時間浸かっていたら湯にのぼせたようだったから露天に出た。
秋の涼風が肌を冷やしていった。
ふと眼を下に向けたら随分白髪が増えていた。ぅ、ぅ、人生の一抹のわびしさを感じたのだった。
今度は川向うの山に目を向けた。ざわざわと木々が揺れている。例の猿の集団だ。
久しぶりに闘志が沸いて来た。「勝負してやる!」
露天風呂の端っこに立って、逆くの字形に腹を思い切り前に突き出した。
グキ!鈍い音がした・・・・
くの字になったまま硬直化した爺ちゃんがそこにいた。銅像のように身動きひとつしていなかった
しゃがむ事も横になる事もできない裸のままの逆くの字のポーズ。
誰かがカメラで撮っていたら絶対入賞ものだっただろう。
帰りは婆さんが運転してくれた。爺さんはそのまま後部座席に横たわっていた。
婆さんいわく「いい歳こいて 猿となんか勝負するからよ、ばか!」