昨夜発表された9月米雇用統計は、事前予想には届かなかったものの
雇用環境が良好であることを表しているのは間違いないと思います。
しかし事前予想を下回ったことで11月の利上げ観測は10.3%に低下し
その分12月利上げ観測が70.2%に上昇しています。
つまり年内利上げは必至だということを市場は織り込み始めた訳で
普通に考えればドルが買われ円は売られる筈ですが
昨夜のドル円相場を見る限り、再び円高に振れる可能性があるという印象を受けました。
因みに先週の円安は想定以上でしたが、CME通貨先物取引状況を見て頂くと分かる様に
10月4日時点の円ロングは依然高水準でした。
しかし翌10月5日に発表された[9月ISM非製造業景況指数]が予想を大きく上回ったことで
突如11月利上げ観測が浮上し、急速に円ロングポジションの解消が進んだものと考えています。
ところで、米国が年内利上げに踏み切るのは当然だとしても
ECBもリップサービスを止め、むしろ債権買い入れの縮小を仄めかしています。
さらに日銀は9月の金融政策決定会合で、長期国債金利をゼロに誘導することを目的とした
「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入し
早速10月の国債買い入れ額を減額しています。
減額幅は月額2000億円程度になる見通しですが
少なくとも短期的には金融緩和ではなく、むしろ引き締め的な印象を受けます。
https://www.asset-alive.net/article.php?mode=show&seq=7280
無論この政策はマイナス金利の深堀りを前提としたものかも知れませんが
マイナス金利の効果自体証明されている訳ではなく
特に日本では「デフレマインド」が解消しない限り成果に繋がり難いのではないでしょうか。
結局、日欧の中銀も近々緩和政策を縮小するのではないかという見方が台頭し
賢明な機関投資家はリスクオフに向け、既に着々と準備を進めているかも知れません。
一方、国内では9月に入り信託銀行と事業法人の売り越しが目立つ様になりました。
こうした傾向がどの様な意味を持つのかはまだ分かりませんが(暴落に備えるための準備かも)
「クジラ軍団」も慈善事業で投資している訳では無いので
売り越しに転じるのは止むを得ません。
また海外勢も相変わらず日本株を買い越す気配はなく、個人投資家の買い意欲も今一つです。
http://www.traders.co.jp/domestic_stocks/stocks_data/investment_3/investment_3.asp
ではこの様な買い方不在の環境下で誰が買っているかというと
日銀と証券自己しか思い浮かびません。
但し、日経平均が17000円に近付くと海外勢はさっさと利確し
16000円に近付くと買い戻す「往復ビンタ戦法」が6月以降ずっと続いています。
(外資系証券の先物・オプション手口から推察)
つまり日銀がETFの爆買いを続けるのは勝手ですが、一番喜んでいるのは海外勢だと思います。
こうした(故意に作られた?)レンジ相場が何時まで続くかは分かりませんが
個人的には年末へ向け、リスクオフムードが高まると予想していますので
そろそろ終わりが近い様な気がしています。
まずはSQ通過後辺りが要注意かと。。。(予想というより妄想ですが)
その根拠は幾つかありますが、外部要因で最も気になるのは英国のEU離脱問題です。
昨日の英ポンド急落もそうですが、離脱の時期が明確になったことや
メイ首相が離脱後の英国経済に対して危機感を訴えたことなどから
忘れ掛けていたブレグジットが再び警戒され始めたと考えています。
(昨日のNY市場は、英ポンドの急落でダウが一時120ドル近く下落しています)
その他、ヘッジファンドの45日ルールも念のため注意して置きたいところです。
一方国内要因では、輸出関連企業の中間決算下振れ懸念やマザーズ銘柄の信用期日売りなど
株価の下押し圧力が強まることも考えられます。
また、日銀の国債買い入れ額減額が長期金利にどの様な影響を及ぼすかも
今後の円相場を占う意味で見どころだと思います。