NGTNさんのブログ
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週末まとめ -8/9/2008-
★アメリカ
週間では、ダウは+3.6%、ナスダック指数は+4.5%、S&P500は+2.9%の大幅上昇になりました。原油価格が下落したことや、FOMCの声明文で近いうちの利上げが示唆されなかったことなどが好感されました。日々の動きは、ダウ-200ドルの翌日に+300ドルなど、先週に引き続き激しい動きでした。今週は、ナスダック指数が強かったです。好決算だったシスコシステムズ、大規模な自社株買いの可能性を指摘されたマイクロソフトなど個別銘柄への材料に加えて、6月の世界半導体売上が好調だったころからインテル、AMDといった半導体関連も買われました。原油価格の下落と、それによってインフレ懸念が後退し株高でも長期金利が低下したことは、マクロ経済にとって良いことでしょう。
金融・住宅関連では、AIG、フレディマック、ファニーメイのひどい赤字決算が続きました。金融・住宅の回復には、まだ時間がかかりそうです。週間の新規失業保険申請件数も悪化が続いていて、雇用環境の厳しさが伺えます。小売関係の経済指標、個別の小売店の売上高も芳しくないようです。
ISMの製造業・非製造業景況指数の落ち込みは浅く、個別企業の決算も金融・住宅・個人消費関連を除けばそれほど悪くないのは、米企業の底力を示していると思います。ただ足元のドル高は、ドル安による恩恵を受けてきた輸出企業、グローバル企業にとってはマイナスですね。
SECによる緊急空売り規制が12日で終わります。再延長はないみたいですが、その後はどういう制度で対応していくのかが不明です。まあでも、貸株を手配する証券会社も手順を厳格にして貸し出しにくくし続けるでしょうし、SECがまた突然規制を発表するかもわからないので、投機筋が8/13から一気に空売りを入れて株価が急落する可能性は低いのではないかと思います。
★日本
週間では、日経平均は+0.57%、TOPIXは-1.02%でした。今週は指数の動き以上に、セクターごとの動きが激しかったです。週の前半は、鉄鋼、非鉄、機械、自動車、海運など景気循環株がメタメタに売られ、電力、医薬品、食品、通信などのディフェンシブセクターが買われました。週の後半は、ディフェンシブ買いも一服し、景気循環株もある程度戻すものもありました。週の前半の動きが極端だったのは、先週から続いているロングショート型のヘッジファンドの手仕舞いの影響があったようです。それ以外にも、鉱工業生産など国内のマクロ経済指標と個別企業の4-6月期決算が悪く、日本も景気後退が濃厚になってきたことから、景気循環株からディフェンシブ株への資金の移動が起こったのだと思います。先行きがよくわからないから現金にしておこうってことが出来ない投資主体もあり、そういうところは常に何らかの銘柄を保有していないといけないので、それらの資金がディフェンシブセクターに流れているのでしょう。
ディフェンシブ株は、収益の安定性や保有資産からはそれなりに評価はできますが、いかんせん収益の拡大が望めないところが多く、上値は限定されてくると思います。今週後半の電力や通信などの動きに、それが表れていたと思います。小売りや食品などのディフェンシブ寄りの内需株も、日本の内需に期待できないことから上値を追うのも難しいのではと思います。
景気循環株については、資源価格が崩れてきているので、商社、非鉄などは上がりにくいでしょうし、工作機械の輸出企業の決算に悪いのが多いので機械株も厳しい。目先は多少のリバウンドがあるかもしれませんが、意地になってナンピンとかは止めた方が良いと思います。
業績面では、私自身は景気後退局面を投資家としては経験していないこともあり、景気循環株の業績がどのくらい悪化するかの予想が立てにくいです。実現PER、現状の予想PERで見ると割安な銘柄が多いです。前回の景気後退局面である2002年あたりの業績を見るとひどい所が多いですが、現在の世界経済は以前よりも弾力的になっていますし、また個別企業も財務を健全にしていて過剰設備・過剰在庫・過剰雇用も少ないので、過去の景気後退局面ほど企業の業績は悪化しない可能性もありそうだとも思っています。難しいですね。ただ、”景気後退局面だから景気循環株は買いにくい”という雰囲気になっているように感じるので、景気循環株の株価の動きもしばらくは冴えないものになるのではないかと思います。
銀行、不動産の内需は厳しそうですね。メガバンクの決算があまり良くないです。株価も下がりました。サブプライムローン問題の直接の被害が少ないといっても、国内景気が悪くなれば銀行の業績も悪化しますから当然と言えば当然です。不動産は、新興不動産ではアルデプロ、原弘産が大幅な下方修正を発表。大手財閥系不動産の決算は今のところは良いですが、都市部オフィス賃料がやや下がってきているので今後は気をつけた方が良いと思います。
バルチック海運指数が20日続落し、海運株も大きく売られました。中国がインフラ整備のために鉄鉱石や石炭を輸入するのがバルチック海運指数の上昇に寄与してきたのですが、これに陰りが出てきたのでしょうか。春先の前倒し需要の反動、夏場は需要閑散期、燃油単価下落に連動した運賃調整、といった解説もありますが、今後の動きに注意していった方が良いと思います。ちなみに、建造中のバラ積み船が来年あたりからどんどん完成し投入されて運賃が崩れることが想定されるので、海運株は長期では買いづらいです。
日経平均の動きは円ベースでみるとそれほど悪くないように見えますが、円安進行の割には上がっておらず、ナスダック指数との連動性が高かったドル建て日経平均は、ナスダック指数の上昇においていかれています。日本の景気の先行きも暗くなってきた・・・というのが原因だと思います。個別で見ても、自動車、商社、鉄鋼、銀行などの株価は、一時的な下落ではなくて、しばらくは株価低迷が続くことが予想されるので、日経平均のレンジも下がると思います。年内は戻っても14000円くらいでしょうか。
★為替
水曜日のドイツの製造業の経済指標が悪かったことでユーロが弱含み、木曜日のECB金融政策発表後のトリシェ総裁の発言が弱気に傾いたことから、一気にユーロが売られました。ユーロドルは、今年3月以降のサポートラインだった1.54あたりを下抜け、次のサポートラインである1.48に近づいてきました。日本も景気後退が濃厚になってきたことから円も売られました。ドルは対ユーロでも対円でも上昇しました。先にアメリカの景気悪化が顕在化してドルが売り込まれていたので、ユーロ、円が自滅した結果、ドルが買われた感じです。
資源価格の下落により、オーストラリア、カナダといった資源国の通貨も売られています。オーストラリアは利下げサイクルに入ることが予想されていることも下落要因でしょう。高金利だからといって飛びつくと痛い目に会うと思います。
★商品
ドル高もあり原油価格が下落。サポートラインだった120ドル付近を下抜けました。チャート的には次は110ドルが目標です。穀物は思ったよりも下がってこないです。
★今週の予定
11日(月)
12日(火)
7月企業物価指数(日)
6月貿易収支(米)
13日(水)
第2四半期GDP・一次速報(日)
7月小売売上高(米)
7月輸入物価指数(米)
14日(木)
7月消費者物価指数(米)
15日(金)
8月ニューヨーク連銀製造業景気指数(米)
7月鉱工業生産(米)
8月ミシガン大消費者信頼感指数・速報値(米)
週間では、ダウは+3.6%、ナスダック指数は+4.5%、S&P500は+2.9%の大幅上昇になりました。原油価格が下落したことや、FOMCの声明文で近いうちの利上げが示唆されなかったことなどが好感されました。日々の動きは、ダウ-200ドルの翌日に+300ドルなど、先週に引き続き激しい動きでした。今週は、ナスダック指数が強かったです。好決算だったシスコシステムズ、大規模な自社株買いの可能性を指摘されたマイクロソフトなど個別銘柄への材料に加えて、6月の世界半導体売上が好調だったころからインテル、AMDといった半導体関連も買われました。原油価格の下落と、それによってインフレ懸念が後退し株高でも長期金利が低下したことは、マクロ経済にとって良いことでしょう。
金融・住宅関連では、AIG、フレディマック、ファニーメイのひどい赤字決算が続きました。金融・住宅の回復には、まだ時間がかかりそうです。週間の新規失業保険申請件数も悪化が続いていて、雇用環境の厳しさが伺えます。小売関係の経済指標、個別の小売店の売上高も芳しくないようです。
ISMの製造業・非製造業景況指数の落ち込みは浅く、個別企業の決算も金融・住宅・個人消費関連を除けばそれほど悪くないのは、米企業の底力を示していると思います。ただ足元のドル高は、ドル安による恩恵を受けてきた輸出企業、グローバル企業にとってはマイナスですね。
SECによる緊急空売り規制が12日で終わります。再延長はないみたいですが、その後はどういう制度で対応していくのかが不明です。まあでも、貸株を手配する証券会社も手順を厳格にして貸し出しにくくし続けるでしょうし、SECがまた突然規制を発表するかもわからないので、投機筋が8/13から一気に空売りを入れて株価が急落する可能性は低いのではないかと思います。
★日本
週間では、日経平均は+0.57%、TOPIXは-1.02%でした。今週は指数の動き以上に、セクターごとの動きが激しかったです。週の前半は、鉄鋼、非鉄、機械、自動車、海運など景気循環株がメタメタに売られ、電力、医薬品、食品、通信などのディフェンシブセクターが買われました。週の後半は、ディフェンシブ買いも一服し、景気循環株もある程度戻すものもありました。週の前半の動きが極端だったのは、先週から続いているロングショート型のヘッジファンドの手仕舞いの影響があったようです。それ以外にも、鉱工業生産など国内のマクロ経済指標と個別企業の4-6月期決算が悪く、日本も景気後退が濃厚になってきたことから、景気循環株からディフェンシブ株への資金の移動が起こったのだと思います。先行きがよくわからないから現金にしておこうってことが出来ない投資主体もあり、そういうところは常に何らかの銘柄を保有していないといけないので、それらの資金がディフェンシブセクターに流れているのでしょう。
ディフェンシブ株は、収益の安定性や保有資産からはそれなりに評価はできますが、いかんせん収益の拡大が望めないところが多く、上値は限定されてくると思います。今週後半の電力や通信などの動きに、それが表れていたと思います。小売りや食品などのディフェンシブ寄りの内需株も、日本の内需に期待できないことから上値を追うのも難しいのではと思います。
景気循環株については、資源価格が崩れてきているので、商社、非鉄などは上がりにくいでしょうし、工作機械の輸出企業の決算に悪いのが多いので機械株も厳しい。目先は多少のリバウンドがあるかもしれませんが、意地になってナンピンとかは止めた方が良いと思います。
業績面では、私自身は景気後退局面を投資家としては経験していないこともあり、景気循環株の業績がどのくらい悪化するかの予想が立てにくいです。実現PER、現状の予想PERで見ると割安な銘柄が多いです。前回の景気後退局面である2002年あたりの業績を見るとひどい所が多いですが、現在の世界経済は以前よりも弾力的になっていますし、また個別企業も財務を健全にしていて過剰設備・過剰在庫・過剰雇用も少ないので、過去の景気後退局面ほど企業の業績は悪化しない可能性もありそうだとも思っています。難しいですね。ただ、”景気後退局面だから景気循環株は買いにくい”という雰囲気になっているように感じるので、景気循環株の株価の動きもしばらくは冴えないものになるのではないかと思います。
銀行、不動産の内需は厳しそうですね。メガバンクの決算があまり良くないです。株価も下がりました。サブプライムローン問題の直接の被害が少ないといっても、国内景気が悪くなれば銀行の業績も悪化しますから当然と言えば当然です。不動産は、新興不動産ではアルデプロ、原弘産が大幅な下方修正を発表。大手財閥系不動産の決算は今のところは良いですが、都市部オフィス賃料がやや下がってきているので今後は気をつけた方が良いと思います。
バルチック海運指数が20日続落し、海運株も大きく売られました。中国がインフラ整備のために鉄鉱石や石炭を輸入するのがバルチック海運指数の上昇に寄与してきたのですが、これに陰りが出てきたのでしょうか。春先の前倒し需要の反動、夏場は需要閑散期、燃油単価下落に連動した運賃調整、といった解説もありますが、今後の動きに注意していった方が良いと思います。ちなみに、建造中のバラ積み船が来年あたりからどんどん完成し投入されて運賃が崩れることが想定されるので、海運株は長期では買いづらいです。
日経平均の動きは円ベースでみるとそれほど悪くないように見えますが、円安進行の割には上がっておらず、ナスダック指数との連動性が高かったドル建て日経平均は、ナスダック指数の上昇においていかれています。日本の景気の先行きも暗くなってきた・・・というのが原因だと思います。個別で見ても、自動車、商社、鉄鋼、銀行などの株価は、一時的な下落ではなくて、しばらくは株価低迷が続くことが予想されるので、日経平均のレンジも下がると思います。年内は戻っても14000円くらいでしょうか。
★為替
水曜日のドイツの製造業の経済指標が悪かったことでユーロが弱含み、木曜日のECB金融政策発表後のトリシェ総裁の発言が弱気に傾いたことから、一気にユーロが売られました。ユーロドルは、今年3月以降のサポートラインだった1.54あたりを下抜け、次のサポートラインである1.48に近づいてきました。日本も景気後退が濃厚になってきたことから円も売られました。ドルは対ユーロでも対円でも上昇しました。先にアメリカの景気悪化が顕在化してドルが売り込まれていたので、ユーロ、円が自滅した結果、ドルが買われた感じです。
資源価格の下落により、オーストラリア、カナダといった資源国の通貨も売られています。オーストラリアは利下げサイクルに入ることが予想されていることも下落要因でしょう。高金利だからといって飛びつくと痛い目に会うと思います。
★商品
ドル高もあり原油価格が下落。サポートラインだった120ドル付近を下抜けました。チャート的には次は110ドルが目標です。穀物は思ったよりも下がってこないです。
★今週の予定
11日(月)
12日(火)
7月企業物価指数(日)
6月貿易収支(米)
13日(水)
第2四半期GDP・一次速報(日)
7月小売売上高(米)
7月輸入物価指数(米)
14日(木)
7月消費者物価指数(米)
15日(金)
8月ニューヨーク連銀製造業景気指数(米)
7月鉱工業生産(米)
8月ミシガン大消費者信頼感指数・速報値(米)
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いつも「まとめ」ていただきありがとうございます。
ディフェンシブの中で余り目立たない電鉄株も結構騰がっていたので、水曜日に処分しました。その後下落したので、タイミングとしては良かったと思っています。
最近、取引をしたくても手元流動性がなかったため、なかなか参戦できない状況が続きました。
海運株はメタメタですが、短期的には一発狙っています。
失礼しました。またお邪魔します。
追伸:カーペンターズ、私も好きです。
京王や東急は、高級めのスーパーや百貨店もやっているので、業績面では純粋にディフェンシブかというとちょっと微妙なのですが、JRなどは不況時の逃げ場としては良いセクターだと思います。
デイフェンシブっぽい銘柄は上値追うのは難しそうですけど、大体売り長ですし、下げたところで買って適当に戻ったら売るのが良いんじゃないかと思いました! けど、最近株価水準が上がって来ちゃったのでそろそろキツイかもしれませんね。
ユーロは完全に崩れたと思うので、多少の戻りはあるでしょうけど再度高値を更新するまで戻るのは無理だと思います。目先はドル優位だと思いますが、ドルもドルで問題山積みなので長期にわたってドル高ユーロ安が進むのも考えにくいかと。
EUは、石油・天然ガスの3割くらいをロシアからの輸入に頼っているみたいなので、ロシアに対しては強くは出られないでしょうね。
今後は、ただ睨み合って冷戦状態になっても互いにメリットはないでしょうから、各先進国は手を組んだり競ったりしながら資源の囲い込みを目指すのでしょう。オイル、メタル、食糧、水、リン鉱石(肥料の原料)などなど・・・。
イカのおすしさん、
腰を据えて買いたいセクターがないですね。個別銘柄でも、中小型株なら、いくつかピックアップ出来るのですが、大型株となるとなかなかいいものがない・・・。食品などのディフェンシブもバリュエーション的に安いと思えないんですよね~。
P&Gとかジョンソン&ジョンソンとかIBMとか、これくらいのレベルの企業なら買って放っておいても大丈夫だろうって思えるのですけどね。