米大手銀シティグループと米大手証券メリルリンチは7日、投資家に対するリスク説明が不十分だったとの疑いが持たれていた金融商品のうち計170億ドル(約1兆8000億円)分を顧客から買い戻すことを決めた。両社は安全性が高いとしてこの商品を販売していたが、損失を被った投資家から買い戻しを求めて訴えられていた。シティは同日、買い戻しを公表し、同社の販売手法を調査していたニューヨーク州司法長官と和解した。
問題となったのは、利回りを入札によって見直すオークション・レート・セキュリティーズ(ARS)と呼ばれる仕組み債。金融市場の混乱で、昨年末から金融機関にARSを引き受ける体力がなくなり、投資家が保有するARSを売買できなくなる例が急増した。だが、メリルやシティなどの金融機関は「高い流動性と換金性」をうたい文句に、年金運用する投資家や富裕層に安全資産として販売してきた。当局は商品に関する投資家への説明が不十分だった金融機関に照準を定め、顧客を軽視した販売慣行にメスを入れようと動き出した。


