凍結された株価対策が解凍されるとき

yuhsanさん
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政治の世界では、思っていても、いえないことがあるようです。古くは、「貧乏人は麦を食え」といった首相もいましたし、最近では「90になってもまだ将来のことを心配している」といった大臣が話題になっています。


われわれだったら、当たり前でも、政治家が使うと問題になるのです。


それが選挙となるとなおさらです。マスコミをはじめ反対政党が、あげ足取りに鵜の目鷹の目になり、当たり前のことを政争にします。これが案外選挙戦の切り札になるため、政権与党としても問題になりそうな政策は凍結して、選挙後に解凍します。


今回の選挙の争点は、アベノミクスの評価と安全保障体制でした。安全保障については、差し迫った危機を前面に据えて論戦に応じましたが、アベノミクスの評価については、逃げ腰が目立ちました。


アベノミクスが失敗だとする野党の論拠は、このところの為替と株価の下落傾向が、アベノミクスの失敗だと決めつけ、株価と為替頼みの経済から、低所得者層への配分を中心にした政策に転換すべきとしていました。


確かに、アメリカやイギリスなどでは、金融政策頼みの政策によって、富が一部に集中し、汗水たらして働いている労働者層に恩恵が及ばないとして、金融資本主義に反対する勢いが増していることは事実です。


問題は、こういった議論は、政治の世界では成り立ちますが、現実の世界では、ロシア、中国などで採用された共産主義が失敗に終わり、対案はなかなか見当たりません。競争を排除し皆が平等になると、今度はその制度の維持のために国家権力が国民を支配するようになり、権力の格差が新たな不平等となるのです。今日、資本市場のない国は、北朝鮮ぐらいなものになっています。


アベノミクスは、確かに株価だけみると頭打ちになり、高値から3割近くも下にあり、日銀・政府に打つ手がないように思われますが、株価水準はスタートの時点から2倍となり、それを支える為替も100円台を維持しています。物価の上昇は顕著ではありませんが、雇用は若い人を中心として増え、国家収入も大きく伸びています。問題はあっても、アベノミクスが失敗と決めつけるには、無理のような気がしますが。


株価と為替水準だけでアベノミクスを論じるなら、逆に株価を上げる手段はいくらでもあります。日銀の買い入れを増やし、株価をコンスタントに右肩上がりにすれば、銀行やタンスに待機していた資金は、一斉に高利回りの株式になだれ込んできます。


為替水準についても、国がドルを買い、円を売れば、110円の水準に戻すのはそんなに難しい話ではありません。資金はアメリカがやっているように紙幣を刷ればいいだけです。世界中がやっていることを、日本がやっていけないわけはありません。


個人資産の現預金の1%を株式に動かすだけで、10兆円規模になります。外国人買いで、株価が上昇したアベノミクス初期の金額と同じ金額が、株に向かうのです。


日本の個人の株式保有割合を欧米並みに代えることができれば、100兆円単位の金が現預金からリスク資産に回るのです。以前から議論されている、相続時の株式資産の評価額が70%に引き下げられれば、こういった政策の目玉になるはずです。


なぜ、このような誰でもわかる政策が、凍結されるのでしょうか。やはり選挙は水物、負けてしまっては元も子もないのかもしれません。その政策の実現を期待し、選挙結果を心待ちにするより仕方ありません。


政治と宗教の話はしないほうがよいというのが、仕事の上での常識です。ただ「波乗り投資法」では、「投資環境は政治が作る」としていますので、あえて常識に挑戦しました。一つの考え方として聞いていただければ結構です。コメントは不要です。



1件のコメントがあります
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yuhsanさん

お詫びと訂正


昨日投稿した原文の下記部分(国がドルを買い、円を売れば)に間違いがりましたので、本日(3日)訂正いたしました。


>為替水準についても、国がドルを売り、円を買えば、

>110円の水準に戻すのはそんなに難しい話ではありません。


ご指摘いただいた方に感謝いたします。あわせて間違った情報を流してしまい、ご迷惑をおかけいたしました。

今後は、もう少し為替についても勉強いたします。

 

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