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10年間で30件を超す自殺が発生している駅エリアは全国6カ所(写真:hamazou / PIXTA) 
前回の記事では、鉄道自殺数を全国346路線別に公開した。では、鉄道自殺が多発しているエリアはどこなのか。全国で鉄道自殺(未遂を含む)が発生した駅(構内・駅間)を集計した結果、全国ランキングの最上位を占めたのが、以下の駅を含むエリアだった。集計期間は2005年度から2014年度までの10年間。上位6カ所はいずれもJRの駅で、関係する駅間での自殺も含めた。 

西八王子駅(東京)……39件 
桶川駅(埼玉)…………34件 
川崎駅(神奈川)………31件 
新小岩駅(東京)………30件 
新宿駅(東京)…………30件 
八王子駅(東京)………30件 


近年「自殺の名所」として有名になってしまったJR新小岩駅でも、全国4位タイ。西八王子や桶川が東京中心部からやや離れていて、あまり目立たない要因もあるかもしれないが、問題は、新小岩駅と同水準で多発しているエリアが複数存在するということだ。鉄道における自殺問題が、想像以上の広がりをみせていることを意味する。 

これらの数字は、国土交通省が事故情報の詳細をまとめた「運転事故等整理表」のうち、自殺の発生場所の登場件数だ。A駅で1件、A駅~B駅間で1件の自殺がおきたとき、A駅は2件という集計になる。ランキングは2014年までの過去10年間で5件以上の自殺が発生した521駅を掲載した。 

八王子エリアで相次ぐ発生 

広がりを具体的に見てみよう――。西八王子駅と八王子駅は隣接しており、東京駅側から見ると、豊田駅、八王子駅、西八王子駅、終点高尾駅と続く。八王子駅の30件と西八王子駅の39件を合わせた69件というのは、両駅構内での自殺に、豊田~八王子、八王子~西八王子、西八王子~高尾の各駅間での発生分を加えた数だ。 

豊田駅の登場件数が10件、高尾駅は11件であることから、西八王子駅と八王子駅のエリアで自殺が多発していることがわかる。 

2位の桶川エリアも相当ひどい。桶川駅の登場回数は上記のとおり34件だが、隣接する北本駅も24件登場しており、両駅が関係する自殺は10年間で計58件におよぶ。新小岩駅が関係する自殺のほぼ倍である。 


JR東日本によると、新宿駅は1日平均約75万人(14年度)が乗車し、同社の乗車人数のランキング第1位の駅だ。川崎駅は20万人で第10位。このような大規模駅が関係する自殺が10年間で30件程度だから、八王子駅(乗車人数8万5000人)や新小岩駅(同7万2000人)、西八王子駅(同3万1000人)、桶川駅(同2万6000人)、北本駅(同1万9000人)のエリアでの自殺件数が、いかに突出しているかがわかる。 

隣り合う駅として日本最悪の鉄道自殺エリアである八王子~西八王子駅付近の状況を、仮に「八王子基準」と名付けてみよう。定義としては、両駅とさらにその両隣、4駅以上連続して自殺が10件以上となるエリアだ。豊田~高尾エリアの自殺件数は90件に及ぶ。 


オレンジ色の部分が4駅以上連続で自殺10件以上のエリア 
中央線では三鷹~武蔵小金井エリアもこの基準に達していたが、自殺の合計件数は52件で、西八王子駅のように突出して多い駅は存在しなかった

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