裏切りの関が原 小早川秀秋

カイオワさん
カイオワさん

 小早川秀秋は豊臣秀吉の妻、おねの甥で、筑前名島城主。 大河ドラマ真田丸では浅利陽介さんが演じておられ、今日の放送から登場なんだとか。 ちなみに私は、いつも録画してあとで見てるので今日のはまだ見てません。 


 小早川秀秋というと、関が原の合戦で豊臣方の西軍に属しながら、途中で裏切って、徳川家康の東軍を勝利に導いた大名として有名です。


 とかく優柔不断で煮え切らない男のようなイメージを持つ秀秋ですが、意外にも子供の頃は「神童だ」といわれるほど頭が良かったそうです。 なおかつ貧者に施しをするなど、人格的にもいい面をみせていました。


 しかし、やがて成長して酒の味を憶えてからは酒色におぼれ、子供の頃の天才ぶりは徐々に影をひそめていき、やがて莫大な借金までするようになります。


 俗にいう「10で神童、15で天才、20過ぎればただの人」を地でいくような人物です。 まぁ、関ヶ原の時は19歳だったですけど。 


 しかし秀秋は案外勇猛な性格ももっていて、豊臣秀吉が明国侵略を企て、朝鮮に出兵したときは自ら先頭に立って戦ったそうです。 でも、それを聞いた秀吉は「そんなことは大将のすることではない」といって、えらくイカって秀秋を厳しく叱りました。 


 そのときに間に入ってとりなしてくれたのが、徳川家康なのでした。ここで恩を売っておいたことが、のちの関が原の裏切りの一因ともなります。



 さあ、そして迎えた天下分け目の関が原の大合戦。 小早川秀秋は15000もの大軍勢を率いて着陣します。 西軍では宇喜多秀家の18000に次ぐ兵力の多さです。


 秀秋の心が定まっていないのは、誰の目にも明らかなので、西軍石田三成は自軍に引き留めようと、東軍徳川家康はなんとかして裏切らせようと必死に説得します。


 石田三成は言いました。「戦いに勝ったあかつきには、あなたを関白に任命する」 関白というのは、秀吉の子、秀頼の後見人なので一番の権力者です。


 また徳川家康は 「もし、味方してくれたら大きな国を二つさしあげます」 と言いました。


 東西両軍から甘い餌をちらつかされた秀秋は迷いに迷います。 どちらにつくか決まらないまま戦は始まってしまいました。 


 秀秋は勝ちそうな方につこうと思いますが、両軍とも互角の攻防で、正午過ぎてもまだ勝負は決まりそうにありません。 もはや秀秋の参戦ですべてが決まるのは明らかです。


 いつまでたっても動かない秀秋に堪忍袋の緒が切れた東軍徳川家康はついにブチ切れます。


「小早川の陣へ鉄砲を撃ちこめい!」


 ダダーン、ダダーン、とつるべ撃ちに秀秋の陣へ、徳川隊からの鉄砲が撃ち込まれます。


 こと、ここに至って、ついに秀秋は決断しました。


 「西軍、大谷隊を攻撃する」 


 小早川隊15000の大軍が、一斉に山を駆け下りて西軍を攻撃し始めました。 両軍互角のところへ、15000もの大軍が東軍に味方したのだから、結果は火をみるより明らかです。



 家康が鉄砲を撃って秀秋を脅かしたのは、一見すると賭けのようにも思われますが、私はそうは思いません。 


 人は脅されると素直におびえる人と、逆に反発する人がおります。要するに家康は、秀秋がどっちの人かよく分かっていてやったのではないか、と思う訳です。


 「敵を知り己を知れば百戦危うからず」といいますが、天下をとるような人物はその辺がよく分かっていますね。



 さて、関ヶ原の合戦後、家康は秀秋に約束通り、備前岡山55万石を与えました。

 

 しかし、そのわずか2年後、秀秋は21歳の若さで変死してしまいます。 アルコール中毒で狂い死にしたそうです・・


 石田三成の怨霊に祟られたわけでもないのでしょうが、かなり自責の念にかられてはいたようです。


 関が原で裏切ったのは秀秋だけではありません。他にも多くの大名が裏切りました。 でもそれは戦国時代では当然の事。皆、自分の家が大事なのです。 そんなに思いつめることはないのです。



 結局、小早川秀秋という人は、純粋すぎて戦国武将になりきれなかった不運な人物ということが言えるのではないでしょうか。


 



 

 

4件のコメントがあります
1~4件 / 全4件

ちこ姉さんこんばんは。


いえいえ、とんでもございません。


小早川秀秋は関ヶ原の合戦では悪者扱いやダメな人扱いが多いですけど、私が同じ立場だったら、やっぱり具合悪くなったかもしれませんね。


戦に負ければ自分の家臣も路頭に迷うわけだし、だからといって、恩のある豊臣家を裏切るのも悪いし、悩むのは人として当然のことです。


ああ、そうそう。 ちこ姉さんも、いつぞやの俳句を頑張ってくださいネ。

hituji-jpさん、こんばんわ。 


「セキガハラ」という漫画があるんですね。 調べてみたら、原作者の長谷川哲也さんは、北斗の拳の原哲夫さんのアシスタントをしてたんだとか。


私の「関が原」好きは昔からで、なんかうまく言えませんけど、両陣営に加担したそれぞれの武将たちの、それぞれのエピソードが一つの物語として秀逸だと思うので、よく紹介している次第です。

ちこ姉さん
カイオワさん

素晴らしい解説。
そして 人間の心の機微を読んでる素晴らしさ。
いつも 感服です。

(退会済み)
カイオワさん、こんばんわ。

いつもながら、楽しく読んでしまいました。
それにしても、ふと周囲を見渡してみるとドラマ(真田丸、密かに録画で楽しんでおります)は勿論、漫画にゲーム、映画に小説と色々な場所に関ヶ原への門戸が隠されているものですね。これだけ津々浦々で知れ渡っていると参戦した武将達もおちおち寝ていられなくなりそうです(笑)

※写真は本文とは関係ありません。。。
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