今夜はイエレン議長、明日は黒田総裁がそれぞれ金融政策会議後に記者会見を行います。
FRBの6月利上げはほぼ100%無いとの予想ですが
記者会見で7月利上げに含みを残す可能性は充分あると思います。
しかし7月のFOMCは英国民投票の後(26~27日)なので
万一EU離脱が決まっていれば利上げは困難でしょう。
また日銀金融政策決定会合も同様(28~29日)ですから条件は似ています。
そこで日米中銀の金融政策を整理してみると、以下の10通りのパターンが考えられます。
但し6月または7月に、日米何れかの中銀が金融政策を変更した場合を想定しています。
①6月、日米共に金融政策据え置き
➡ 円高傾向変わらず
②6月、FRB据え置き+日銀追加緩和
➡ 英国のEU離脱懸念でリスクオフ継続、クロス円・ドル円は上昇しても一時的の可能性
③7月、日米共に金融政策据え置き(英国残留の場合)
➡ 円高傾向変わらず
④7月、日米共に金融政策据え置き(英国離脱の場合)
➡ リスクオフが強まり 円とドルが買われ クロス円は下落
⑤7月、FRB据え置き+日銀追加緩和(英国残留の場合)
➡ クロス円は上昇、ドル円の上昇は一時的の可能性(日米の為替認識に乖離があるため)
⑥7月、FRB据え置き+日銀追加緩和(英国離脱の場合)
➡ リスクオフが勝りクロス円は下落か、ドル円の上昇も一時的の可能性
⑦7月、FRB利上げ+日銀据え置き(英国残留の場合)
➡ ドルは買われても、ドル円の上昇は一時的の可能性
⑧7月、FRB利上げ+日銀据え置き(英国離脱の場合)
➡ リスクオフの影響が勝りクロス円は下落、ドル円は上昇しても一時的の可能性
⑨7月、FRB利上げ+日銀追加緩和(英国残留の場合)
➡ 唯一ドル円、クロス円共に上昇期待
⑩7月、FRB利上げ+日銀追加緩和(英国離脱の場合)
➡ リスクオフが勝りクロス円は横ばいかやや下落、ドル円はやや上昇か横ばいと予想
以上から考えられることは、殆どのケースで大幅な円安は期待薄で
英国がEUを離脱すれば、リスクオフが強まり 円は無条件に買われ易くなるということです。
ですから日銀が6月に追加緩和を行うのは大きな賭けであり
万一失敗すれば、今後の金融政策は八方塞がりに陥る危険性を孕んでいると思います。
ですから、どうせ円高に振れる素地があるのなら、いっそ追加緩和は出来るだけ先送りする方が
「抑止力」という観点からメリットは大きい様な気がします。
因みに、日銀の追加緩和が最も効果を発揮すると思われるのは⑨のケースですが
確率的には非常に低く、あまり期待出来そうにありませんし
それ以外のケースでも「円安・株高」が長期間続くことは無いだろうと考えています。
何れにしても、英国の国民投票の結果を見届けることが先決で
その後、日米金融政策について、幾つかのパターンを予測しながら
投資スタンスを決めることが賢明だと思います。
何度も言いますが、今はCPを高めに維持して置くことが何よりも重要だと考えます。