8月1日のNYは、小幅下落。11326.32で終わった。しかし日足では結局7月23日の高値11698を抜けずに下降に転じ、基準線12352、転換線12581を割ってきており、7月28日11125の直近安値を試す展開になっている。日足のRCIは下降を続けており、守りきれるかどうか、あまり楽観できない状況だ。まだ下値のトランドラインは割ってきていないが、これを下抜ければ、三角持合を下はなれた形になって、さらに7月15日の安値を試す展開になりかねない。数日うちに、大きく反発して上値をおさえこんでいるトレンドラインを突破できればいいのだが、事態が好転する材料があまり見当たらないのが実情だ。週足も雲、基準線、転換線の下。月足は、RCIが底をはっていて、雲の上限(遅行線が日々線とぶつかるところ)で反発してきたものの、月足転換線がつき足基準線とDC、月足MACDがゼロラインから沈みそうになっており、残念ながらまだ上にゆく勢いがあるようにはみえない。
せっかく金融不安が一服し、原油もかなり落ち着いたのに、今度は、雇用者数は予想よりよかったものの失業率が上昇しており、一時金をばらまいたにもかかわらず原油高ですっかり個人消費が落ち込んだため、個人消費が大きな割りあいを占めるアメリカ経済の景気減速が深刻な現実になりつつあるようだ。小康を得ている金融不安の根っこにある住宅市場もまだ先行きが見えず、はっきりと住宅価格の下落が底打ちしている確証もないようだし、イスラエルの政局とのからみで、イランとの対立という地政学的リスクもあって、原油の下落が続くかどうかも不透明ということなのだろうか。あがるにあがれないという状況なのだろう。それにしても、大義のない戦争で財政を傷つけ、住宅バブルに踊って経済を苦境に陥れたブッシュ政権は、どうやって最後にケリをつけるつもりだろうか。無為無策でみすみすオバマに負けるつもりなのだろうか。このへんはよく分からない。
原油は目先、121ドルまで下落してから126.7ぐらいまで切り替えしてきている。雲の下限を上抜け、転換線も超えてきている。日足のMACDも、RCIも反発してきており、原油は目先まだ上昇しそうだ。ただ週足で見ると、あきらかに転換線を割り、転換線も頭をもたげており、RCIもMACDも下降基調なので、目先もどって二番天井をつけたとしても、中期的にはやはりピークはうったような気がする。(突発的な事件がおきなければ、という留保つきだが)
金利(アメリカ国債10年もの)の金利は、日足では雲の中を、基準線も割って下落。RCIも急降下しており、MACDもゼロラインを割りつつあり、下落はかなり明確なトレンドになっていると思われる。
為替は、結局108円という上蓋を抜けられずにいるが、アメリカの金利が低下してくれば、多少ドル安へ転調する可能性があるであろう。もっともただ円を積極的に買う材料もなさそうであり、現水準はまだ雲の上、106円の雲の上限を維持できるかどうかというところで、一気にドル安円高に向かう雰囲気はないようだ。
金融不安が弱まったということを好感してきた日経平均も、アメリカの景気懸念が台頭、金利が軟調、ドル高が天井をつけたとなると、急に基調が弱くなってしまう。1日の日経平均は、NY安を受けて、大幅下落。13094.59円(282.22円安)となった。決算発表で業績不振だった企業が売り込まれた。アメリカの雇用統計が控えており、積極的な買いも入らなかったということである。任天堂やコマツといった業績が悪くないところまで、売られさえない。日足をみると、基準線13310、転換線13262を割り込み、7月29日の直近安値13018に接近してそのすぐ手前(ちょうど遅行線が雲の下限に衝突するところ)でとまっている。上値のトレンドラインをこえられず、逆に7月16日の安値12671からの下値の上昇トレンドラインを大きく切ってきて、三角持合を下に離れた形になっている。MACDはマイナス圏で下降をはじめ、日足のRCIも天井を受けて下降し始めており、目先は弱い。現在の水準を保てなければ、7月16日の二番底候補、12671を維持できるかどうかが問われよう。それも切ってくれば、7月16日の安値が二番底ではなかったことになり、再び3月安値を試してゆくという厳しいシナリオになりかねない。このへんで一気に反転してきて、上値のトレンドラインを突破してくればいいのだが、勢いが乏しくあまり期待できそうにないかもしれない。
週足でも基準線13179を割ってきており、MACDもゼロ以上に浮上できないままである。月足は雲の中だが、前から指摘しているように月足RCIは上昇しているので、大きくは3月から7月の上昇トレンドは維持されており、底値圏から反発へ向かっていると思う。とはいえ月足もMACDはマイナス圏であり目先はまだ不安定で、要するに二番底を確定する攻防が厳しさをましている、という状況ではないか、と思う。8月8日に日足の一目均衡表がねじれており、需給の転換点で、何らかの変化が起こりやすい日といわれており、上に行くか、下にふれるか、要警戒だろう。
それにしても、内閣改造は市場の話題にもなっていない。構造改革はもう放棄したような布陣ということだ。だが景気対策を前面にするという話だが、小銭をばらまいておいてお茶をにごし、結局は消費税をあげようとするような感じがするだけで、何を決め手に景気をよくするのか、さっぱりわからない。市場はまったく信じていない様子である。NYが反発しても、素直についてゆかなくなり、NYが下げるともっと下げるという日経平均のふるまいをみていると、国内景気の先行き不安が新たに台頭してきているのではないかという懸念を感じる。