先週金曜日の米国株式相場は小幅安となった(DJIA -28.97 @17,897.46, NASDAQ -7.67
@4,938.22)。ドル円為替レートは107円台後半の円高方向へ大きく振れた。悪い材料が幾重にも重なり、本日の日本株全般は大きく下落した。東証1部では、上昇銘柄数が209に対して、下落銘柄数は1,696となった。騰落レシオは94.97%へ低下した。東証1部の売買代金は2兆1312億円と大きくはなく、市場がパニック売りに走ってはいないことがわかる。
TOPIX
-41 @1,320
日経平均 -572円 @16,276円
悪材料が多重に発生し「四重苦」となった。(1)
熊本県で発生した大地震は余震が続き被害が拡大している。(2)
先週末に開催されたG20財務省・中央銀行相殺会議ではルー米財務長官が円高進行に対して「市場の動きは秩序的」と発言して円売り介入を牽制したことで円高が一挙に進んだ。(3)
さらに昨日の産油国の会合では増産凍結の合意に至らなかった。(4)
米アップルの「iPhone(アイフォーン)」の減産継続が伝わった。これらの悪材料を嫌気して、TOPIXも日経平均は大幅下落した。
円相場について少し考えてみよう。原油の先安観が強まり、オーストラリアドルなど、原油価格と連動しやすい産油国通貨の下落ったことも、「安全資産」とされる円への資金シフトを強めた。また、理論的根拠無きある種のジンクスで円買い圧力が高まった。1995年の阪神大震災や2011年の東日本大震災など過去の震災直後には、どちらも円高が進んだからだ。冷静に考えれば、震災復興活動に伴う輸入の増加は経常収支の黒字を減らし、中長期的には円安要因として働くはずである。日銀はどう対応するか?G20で為替介入を牽制されて身動きがとれず、日銀の追加緩和への期待は一段と高まっている。27~28日に開かれる日銀の金融政策決定会合で、金融緩和とETFの買い入れ増額をセットで繰り出してくるのではないだろうか?
熊本の大地震により、政府の対応で注目されるのは、「リーマン・ショックや大震災のような重大な事態が発生しない限り、予定通りに引き上げる」としている消費税率は繰延になる可能性がさらに高まったと見ている。
33業種中32業種が下げた。下落率トップ5は、保険(1位)、海運(2位)、その他金融(3位)、輸送用機器(4位)、電機・ガス(5位)となった。