衣雲さんのブログ

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トレンドフォロー(順張り)と株価の後追いは違う

 昔、ジョージ・ソロスが「僕はいつだってトレンドフォローだよ」と言ってたことがありました。ソロスさんと言えばみんなご存知、徹夜で張り付きながらポンドを売り浴びせたあの人です。どの口が…と思ったものですが、今にして思えばあれはあれで本人は本気だったのかもしれませんね。

 それはさておきトレンドフォロー(trend following trading)。日本語では「順張り」などと訳されたりします。その逆が「逆張り」ですが、英語のコントラリアン(contrarian trading)という言葉が日本ではそれほど広まっていないのは、和を以て貴しとなす順張り大好きな日本人の国民性と関係があるかもしれませんね(…まあ英語でもcontrarianという語感には言外に「ヒネクレモノ」という意味も含まれますが…)。

 どちらかが儲かる方法で、どちらかが損をする方法…ということではありません。わざわざ高く買って安く売りたい人はいないはずで、どちらも「安く買って高く売る」ための投資手法には違いありません。ただ、「順張り」か「逆張り」、大抵の人はどちらかを得意とし、どちらかを苦手としてるんじゃないかなと思います。衣雲がいろんな人を目にしてきた上での個人的な見解としては、神経質で決断の早いひとは順張りを得意とし、ズボラで鷹揚な性格のひとは逆張りを得意としている、といった印象です。(どっちが得意なのかまだわからない、という方がもしいらっしゃったら、今一度自己分析をオススメします。)

 ここで注意したいのは「順張り」の意味です。「この銘柄が人気だから買おう」は順張りとは言いません。人気で買ってしまうと株価の後追いになってしまい、しばしば加熱した相場に手を出して高値掴みしてしまうことになります。重要なのは他人よりも早い段階で正しくトレンドを見出すこと、そのトレンドの中で可能な限りリスクとコストを抑えながらポジションを作ること、それだけです。どんな相場だって一本調子に上がったり下がったりはしませんし、「大底を拾う順張り」も有りえません。リスクを抑えるためにも小出しに買いを入れるべきですし、コストを抑えるために押し目を上手く拾っていくべきでしょう。

 さて、件のソロスさん、ポンド危機で「イングランド銀行を破産させた男」と呼ばれたのはあまりに有名ですが、このとき実はポンド急落の直前まで売っても売ってもポンドが上がってしまい、危うく自分が破産する寸前まで追い込まれていたというのはあまり知られていません。これのどこが「順張り」!?でも、実際のソロスさんのポジションは「ポンドのショートポジション」なんて単純なものではなく、我々凡人には理解できないくらい複雑で入り組んだポジションの作り方をするそうなので、彼の中では本当に「トレンドフォロー」なのかもしれませんね。…まあ、多分彼一流のジョークだとは思いますが。
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