先週金曜日の米国株式相場は小幅高となった(DJIA +35.00 @17,576.96, NASDAQ +2.32
@4,850.69)。ドル円為替レートは107円台後半の円高方向へ振れた。これを嫌気して本日の日本株全般は下げた。東証1部では、上昇銘柄数が698に対して、下落銘柄数は1,116となった。騰落レシオは87.41%へ低下した。東証1部の売買代金は2兆円を割り込み、1兆8604億円へ減少した。
107円/US$台までの円高進行を嫌気して、TOPIXも日経平均も下げた。しかし、ザラ場では大きく下げたものの、強く下げ渋りを見せて長い下ひげを引いた。明確な下げ渋りはこれで4日連続となった。
TOPIX -8
@1,280
日経平均 -70円
@15,751円
先週は麻生太郎財務相や政府高官から円高をけん制する発言が相次いだが、今週後半に20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議を控え、自国通貨安誘導と取られかねない円売り介入はしにくく、口先介入が精一杯だろうと誰もが思う。そこを見透かすかのように、投機筋を中心に円買い・日本株売りを仕掛けている。投機筋は短期間で儲けるために売買しているので、どこかで必ず反対売買による巻き戻しが起こる。
年初以来3月末までの統計を見ると、外国人投資家が日本株を5兆円売り越し、公的年金が買い向かったと推測できる。円高を止める大きな鍵は新興国経済を気遣い利上げをためらうFRBの姿勢だろう。もともとFRBは「完全雇用」と「物価安定」に責任を持つ"Dual
Mandate"だったが、最近では「新興国経済の安定」にも責任を持たされる"Triple
Mandate"となっていると揶揄され始めた。だが、米国は基本的に自己中心的な国だ。完全雇用と物価の安定が海外発の悪材料に十分耐えるほど米国経済がしっかりしてきたと判断すれば、迷わず次の利上げに踏み切るだろう。政府・日銀が、投機筋が円買いポジションを手仕舞いするタイミング(ヘッジファンドの決算期)で為替介入すれば効果は抜群だろうが、その度胸はないだろうな。
もう一つの気になる材料は原油価格の動向。4月17日にドーハで開かれる産油国会合で、増産凍結に向けて何らかの前進があれば、原油高、ドル高の流れが反転するだろう。
いずれにせよ。相場底入れには今や売買代金の約7割を占める外国人の買いが不可欠である。市場は日銀の追加緩和、大型補正予算による財政出動、消費増税の再延期を期待しているが、さてどうなるか?
33業種中26業種が下げた。下落率トップ5は、輸送用機器(1位)、精密機器(2位)、銀行(3位)、その他金融(4位)、金属製品(5位)と分かり易い順番となった。1位と2位は円高で損益が大きく悪化する業種、3位は円高を食い止めるためにマイナス金利を拡大すれば収益が大きく悪化する業種である。その他金融の売りは銀行と同一視した勘違いの売りではないだろうか?