欧州連合(EU)で自動車メーカーに新車の二酸化炭素(CO2)排出量の削減を義務付ける法律が施行されれば、業界側は2012年に総額80億ユーロ(1兆3,600億円)超の罰金を科せられる可能性がある――。業界紙アウトモビールウォッヘ電子版などが、独西部エッセンを拠点とするライン・ウェストファーレン経済研究所(RWI)の試算として伝えた。
欧州委員会は2007年末、メーカー側に新車のCO2排出量の削減を義務付ける法案を公表。
具体的には、新車のCO2の平均排出量を2012年までに現在の1キロ走行当たり約160グラムから120グラムに引き下げるよう求める。ただ10グラム分はバイオ燃料などの利用で減らすことを認めるため、実質的な上限は130グラムとなる。
これに違反すると、初年度は1グラムの超過につき20ユーロの罰金が科せられる。さらに2013年に35ユーロ、2014年には60ユーロに引き上げられたうえ、2015年以降は95ユーロとなる。
RWIは現状の排出量の水準のまま2012年を迎えた場合、自動車メーカーが支払いを命じられる金額を試算した。それによれば、とりわけ独メーカーに負担がのしかかる見通しだ。欧州最大手のフォルクスワーゲン(VW)は初年度に17億3,000万ユーロ、高級車のBMWは6億6,000万ユーロで、ドイツ勢は合わせて全体の4割ほどの約33億ユーロを占めるという。さらにその後もCO2排出量の削減を実現できなければ、2015年にはこの金額が156億ユーロまで拡大する。
これに対し、小型車を主力とする仏伊メーカーは比較的ダメージが小さい。フランス勢の罰金は2012年に合計11億ユーロ、イタリア勢は5億ユーロにとどまる見込み。
米ゼネラルモーターズ(GM)の欧州事業トップ、カールピーター・フォルスター氏は「2012年はもう間近。それまでにCO2排出量を引き下げなければ」と危機感を募らせる。独オペルなどを傘下に抱える同社のモデルの1キロ走行当たりの平均排出量は現在、160グラム弱となっている。
一方、欧州フォードのスティーブン・ティー・オデール最高執行責任者は「基準は満たせる」と自信をのぞかせる。ただ「安くは付かない」とし、コストの一部を販売価格に上乗せせざるを得ないとの見方を示す。
RWIの試算では、罰金額をそのまま消費者に転嫁した場合、2012年にBMWとメルセデス・ベンツのモデルは平均900ユーロ前後、ポルシェは約2,800ユーロ高くなる。一方、仏プジョーとシトロエンは共に320ユーロほどの上昇にとどまる。VWは630ユーロ、GMは570ユーロだ。
日本勢では欧州で1番台数稼いでるトヨタはだいじょうぶか、欧州比率が高いマツダは・・・