2月25日の海外株式・債券・為替・商品市場
2016/02/26 07:52 JST
◎NY外為:2月のボラティリティは6年ぶり高水準、一層の変動も
ニューヨーク外国為替市場では月間ベースでボラティリティが上昇しており、2月のボラティリティは6年ぶりの高水準となった。インプライド・ボラティリティ(IV、予想変動率)ではこの先に一段の変動が示唆された。
円の3カ月物ヒストリカル・ボラティリティは10.5%と、昨年3月以来の高水準。この先のボラティリティを示唆する指標も2013年以来の高水準に迫っている。英ポンドのヒストリカル・ボラティリティは9%に上昇、IVは約12%と約1年ぶりの高水準だ。
中国の減速や強弱が混在している米経済データは金融政策にとってリスクとなり、最近見られる変動は氷山の一角でしかない可能性がある。上海ではに20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が開催される。
ミレニアム・グローバル・インベストメンツのマーク・アストリー最高経営責任者(CEO)はボラティリティは「ややゴルディロックスのようだ。熱すぎても冷め過ぎてもいけない」と述べ、「今年初めから中国事情やそれに続く世界経済への不透明感にとらわれるとは、ほとんどの市場参加者は考えていなかった」と続けた。
JPモルガン・グローバルFXボラティリティ指数は月初来の平均が11.5%と、2月としては2010年以来の最高だ。
ニューヨーク時間午後5時現在、円は対ドルで0.7%下げて1ドル=113円。英ポンドは対ドルで0.3%上昇して1ポンド=1.3962ドル。
欧州連合(EU)残留の是非を問う国民投票を控える英国のポンドより、今後数カ月の変動幅は円の方が大きい。トレーダーの間では、このように見込まれている。英国のいわゆる「Brexit」を問う国民投票は6月23日実施の予定だ。
日本銀行が円上昇を抑制するために為替介入を行うとの見方がIVを押し上げている。日銀が1月に打ち出した予想外の金融緩和も円高の流れを阻止できていない。円は今年に入ってからのドルに対する上昇幅が6%超と、主要通貨のうちで最大となっている。
オアンダ(カナダ・トロント)のシニア通貨アナリスト、アルフォンソ・エスパルザ氏は「2月は落ち着いた月であるはずなのにボラティリティが見られた。3月のボラティリティは一段と高まると予想される。来月は中央銀行が金融政策会合を開き、市場参加者が抱いている質問のいくつかに対しては回答が得られるだろう」と述べ、「政治的な不透明感も強い」と続けた。
◎米国株:続伸、S&P500種7週ぶり高値-銀行やテクノロジ-高い
25日の米株式相場は続伸。S&P500種株価指数は7週ぶり高値となった。経済指標で製造業が回復しつつある可能性が示され景気に対する楽観が広がったほか、原油相場が安定しつつある兆候も強まった。銀行やテクノロジー関連が高い。
銀行株は3日ぶりに反発し、相場全体の上げを主導した。バンク・オブ・アメリカ(BofA)は1.6%上昇。テクノロジー関連ではマイクロソフトやインテルが高い。このほかエネルギー株は、原油が上げに転じたことを材料に下げを埋めた。またハネウェル・インターナショナルとの合併の可能性が報じられているユナイテッド・テクノロジーズも上昇し、週初からの上昇率は11%に達した。
S&P500種 株価指数は前日比1.1%高の1951.70。ダウ工業株30種平均は212.30ドル(1.3%)上げて16697.29ドル。ナスダック総合指数は0.9%上昇した。
リッジワース・インベストメンツ(アトランタ)のシニアストラテジスト、アラン・ゲイル氏は「耐久財受注などが市場予想を大きく上回り、明るいニュースだった」と指摘。「相場を押し上げるような明るいマクロ経済のニュースが幾つか聞かれた。前日も上げて終了していたことから、特に前向きに反応しこの日の上げにつながった。厳しい時期を経て、最悪期は脱したかもしれないとの楽観がやや広がっている」と続けた。
S&P500種は2月に入り11日までに最大6.7%下げていたが、この日の上昇で月初からの下落分を埋める形となった。
この日は午前中は方向感に欠ける展開だったが、午後に入り上昇した。一方で中国株は1カ月ぶりの大幅安。短期金利の急上昇が流動性の引き締まりを示唆した。また欧州株は上昇し、ストックス600指数は2%高となった。
ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズのストラテジスト、ジーナ・マーティン・アダムズ氏は原油安や信用状況の引き締まり、イールドカーブのフラット化を理由にS&P500種の目標水準を2100とし、従来の2245から引き下げた。同氏は25日付の顧客リポートで、「株価は向こう1年間に上昇するが、12月初めに予測したほどには力強くはないかもしれない」と予想。また「信用の質が悪化していることを考えると、株価収益率(PER)も抑えられる可能性が高い」と記した。
S&P500種のPER(予想ベース)は16.2倍で、過去5年間の平均(15倍)を上回るが、年初からは6.8%低下している。
1月の米耐久財受注では航空機を除く非国防資本財(コア資本財)の受注が持ち直し、2014年6月以来の大幅な伸びとなった。また1月の全耐久財受注額は前月比4.9%増と、昨年3月以降で最大の伸び。一方、先週の米週間新規失業保険申請件数は3カ月ぶり低水準を記録した前週から増加した。15日のプレジデンツデーの祝日を挟んで申請件数が変動した可能性がある。
S&P500種の業種別10指数は全て上昇。特に金融や情報技術、ヘルスケア、素材の上げが目立った。
◎米国債:反発、耐久財受注増加も逃避需要強く-7年債入札は延期
25日の米国債相場は反発。世界経済の先行きをめぐる懸念が続いていることに加え、将来の欧州に関する決定が控えているため、安全な逃避先としての米国債需要が強まった。
1月の米耐久財受注では航空機を除く非国防資本財(コア資本財)の受注が持ち直し、株価や原油相場が上昇したにもかかわらず、10年債利回りは低下した。米国債のボラティリティを測るバンク・オブ・アメリカ(BOA)のMOVE指数は今月、平均で85.7と、2015年6月以来の高水準にある。
CRTキャピタル・グループの米国債戦略責任者、デービッド・エーダー氏は「現在のトレーディングは普通の基準では行われていない。データでもインフレでもなく、不安を基にしている。海外情勢がわれわれの行動を左右している」と述べた。
ブルームバーグ指数のデータによると、米国債の年初からのリターンは2.7%。エネルギー価格の下落と国外経済の減速が米経済にも影響を及ぼすとの懸念が強まったことが背景にある。英国は欧州連合(EU)から脱退するかどうかをめぐり、6月23日に国民投票を実施する。
ニューヨーク時間午後5時現在、10年債利回り は前日比3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の1.72%。
BMOキャピタル・マーケッツの債券ストラテジスト、アーロン・コーリ氏は米経済に対する投資家の悲観が強まったわけではなさそうだと指摘。むしろ月末を控えたポートフォリオの調整を行っている可能性があり、弱気な見方をしていた参加者が持ち高の手じまいを強いられた可能性があると述べた。
さらに「機械的なもので、価格から判断した動きではない」とし、国債売り持ちは「現在、大きな痛みを伴っている」と続けた。
債券市場のインフレ期待を示す通常の10年債とインフレ連動国債10年物の利回り差は、5日連続で拡大した。10日には2009年3月以来の幅に縮小していた。
財務省はこの日に予定していた7年債入札を26日に延期した。
◎NY金:上昇、月間ベースでは4年ぶり大幅高となる勢い
25日のニューヨーク金スポット相場は上昇。月間ベースでは4年ぶりの大幅高となる勢いだ。世界的な経済成長をめぐる懸念を背景に、安全逃避先とされる金の買いが活発になった。
オプションセラーズ・ドット・コム(フロリダ州タンパ)の創業者、ジェームズ・コーディアー氏は電話インタビューで、「世界的な不透明感や金利は上がらないとの見方から、金は極めて堅調な動きとなっている」と述べた。
ニューヨーク時間午後3時40分現在、金スポット相場は前日比0.6%高の1オンス=1236.09ドル。
ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物4月限は前日比0.1%未満下げて1オンス=1238.80ドル。
◎NY原油:4週ぶり高値、ガソリン高を好感-産油国が協議へ
25日のニューヨーク原油先物市場ではウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物が続伸し、4週間ぶり高値。前日のエネルギー情報局(EIA)統計で米国のガソリン在庫が15週ぶりに減少し、これを好感した買いが続いた。ベネズエラのデルピノ石油・鉱業相は放送局テレスールに対し、産油国間で3月会合の開催地を協議していると述べた。
サイプレス・エナジー・キャピタル・マネジメント(ヒューストン)の調査ディレクター、カイル・クーパー氏は「30ドル超が長く続けば、その分底打ちの確率が高くなる」と分析。「値動き自体が強気だ」と続けた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物4月限は前日比92セント(2.86%)高い1バレル=33.07ドルで終了。終値ベースで1月29日以来の高値。一時は3.4%下げる場面もあった。ロンドンICEのブレント4月限は88セント(2.6%)上げて35.29ドル。
ガソリン3月限は4.5%上昇し、1ガロン=1.056ドル。2月1日以来の高値で引けた。
◎欧州株:3日ぶり上昇、英ロイズが銀行株の上げを主導
25日の欧州株式相場は反発。指標のストックス欧州600指数は前日まで続落していた。英ロイズ・バンキング・グループが銀行株の上げを主導した。
ロイズは14%急伸。増配に加え、特別配当を実施するとの発表が買い材料となった。英保険会社RSAインシュアランス・グループは9.8%上昇。通期の営業利益が前年同期比43%増えた。
ストックス600指数は前日比2%高の326.54で取引を終了した。
ロバート・W・ベアード(ロンドン)の株式担当副会長を務めるパトリック・スペンサー氏は、「朝方はロイズ決算が好感された。ともかく、銀行株は売られ過ぎていた」とし、「華々しい決算シーズンは期待されていなかったほか、業績もこれまでのところひどいというわけではない。欧州の銀行の状態は米国の同業ほど良くないが、欧州はリセッションに陥っておらず、バリュエーションも妥当だ」と語った。
スペインのIBEX35指数は2.5%高と、この日の西欧の主要株価指数の中で目立つ上昇率だった。英FTSE100指数も2.5%値上がり。ロイズとRSAの株価上昇が追い風。
個別銘柄では、フランスの油田サービス会社テクニップが12%の大幅高。売上高が予想を上回ったほか、ネットキャッシュフローが改善した。ベルギーの化学品メーカー、ソルベイは5.6%上昇。同社の2016年利益見通しがアナリスト予想を上回ったことが好感された。
◎欧州債:総じて上昇-インフレ統計でECBが直面する難題浮き彫り
25日の欧州債市場ではユーロ参加国の国債が総じて上昇。利回りがマイナス圏にも及ぶ中核国の国債を投資家が依然として求める理由を説明するのに、この日発表された最新のインフレ統計は格好の材料となった。
株高もドイツ国債への信頼を揺るがすには至らなかった。ドイツ債は期限8年まで利回りがマイナスとなっている。欧州債の指標とされる10年物利回りは過去最低まで0.1ポイント前後となった。これは欧州中央銀行(ECB)が3月10日の会合で緩和拡大を決定するとの投資家の見方を反映している。
欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)がこの日発表したユーロ圏の1月の消費者物価指数(CPI)改定値は前年同月比0.3%上昇と、先月29日公表された速報値の0.4%から下方修正された。また、インフレ期待の指標はECBが物価安定の目標達成に苦戦することを示唆したほか、原油が下げに転じたことも緩和拡大の見方を強めた。
KBCバンク(ブリュッセル)のストラテジスト、マティアス・ファンデルユフト氏は、ECBは「2週間後に緩和策をやや拡大するだろう」とし、これがドイツ国債が上昇した「理由の1つだ」と語った。「最近の相場上昇を支えた2つの要因は株価と原油だった。これらが現状を複雑にしており、ドイツ債を引き続きかなり堅調にさせている」と付け加えた。
ロンドン時間午後4時19分現在、ドイツ10年債利回りは前日比2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の0.13%。これまでの最低は昨年4月17日に記録した0.049%。同国債(表面利率0.5%、2026年2月償還)価格はこの日、0.215上げ103.64。
2年債利回りも2bp低下しマイナス0.543%。5年債利回りは過去最低となるマイナス0.363%まで3bp下げる場面もあった。
ドイツの10年債とインフレ連動債の利回り格差であるブレークイーブンレートは、15年1月以来の低水準に向かっている。この日は3bp下げ0.73%となった。また、インフレ期待の指標としてECBのドラギ総裁が重視する5年先スタートのインフレスワップ5年物フォワードレートは1.37%に低下。これはブルームバーグがデータ集計を開始した04年以降の最低で、ECBが目標とする2%弱には程遠い。
ブルームバーグ抜粋