日銀の黒田総裁が今回もやってくれましたね~!市場予想の裏をかくマイナス金利(黒田総裁は従来は否定的だった)というサブライズ技を繰り出した。これで、「量・質・金利という3D金融緩和政策」となった。ECBのドラギ総裁のドラギマジックから始まり、FRBのイエレン議長が無難につなぎ、日銀の黒田総裁へバトンタッチした。
さて、昨日の米国株式相場は反発した(DJIA
+125.18 @16,069.64, NASDAQ +38.51
@4,506.68)。ドル円為替レートは日銀のマイナス金利導入というサブライズ金融緩和政策の発表により、120円台半ばまで円安が一挙に進んだ。これを受けて、本日の日本株全般は大きく乱高下した。マイナス金利発表直後は急騰したが、すぐに急落して大きくマイナス圏へ落ち、その後再び大きく反発する銘柄が多かった。東証1部では、上昇銘柄数が1,721に対して、下落銘柄数は186となった。騰落レシオは73.61%へ上昇した。東証1部の売買代金は4兆4317億円へと急増した。
日銀のマイナス金利というサプライズ追加金融緩和政策の発表によりTOPIXも日経平均も、発表後は急騰したが、すぐに急落し、また再反発と乱高下して、結局、大幅反発で引けた。東証1部の売買代金も4兆4317億円と急増して反発の裏付けも伴っている。出来高を見ると、昨年8月25日にセリングクライマックスを記録した時とほぼ同じくらいの出来高を伴った反発である。売り方はツナギ売り玉を除き、ほぼ全面撤退したと考えても良いのではないか。問題は、このマイナス金利の賞味期限だ。早ければ数日で効果がなくなり、長くても数ヶ月かも?
TOPIX
+40 @1,432
日経平均 +477円
@17,518円
今回のマイナス金利政策決定に際しては、政策委員9人中4人が反対したところを見ると日銀内でもその効果に疑問を抱いている人が少なくないようだ。明らかなことは、日銀はイールドカーブの起点を引き下げることで金利全体を押し下げようとしていることだ。
その決断に至った背景を整理してみよう。円高、原油安、株安による経営者マインドの悪化は日銀の物価目標の足を引っ張っている。その結果、コア消費者物価からエネルギー関連品目を除いた日銀版コア物価指数は足元では1%台前半で推移しており、目標の2%へ届きそうもない。円高の原因は何か?円キャリー取引の巻き戻し(リスクを積極的に取る局面では、金利の低い円を借りて金利が高い米ドルを買う⇒リスク回避的になると、反対売買が起こり円高方向へ動く)は以前から指摘されいた。しかし、最近はそれだけではない。世界のどこかでリスクが高まると逃避資産として円が買われる。ということは円買いの魅力を下げるためにもマイナス金利にすれば良い、と考えた。しかし、マイナス金利は諸刃の剣だ。銀行の収益を圧迫するのは確実である。また、金利がマイナスになると理論株価が無限大になるとの指摘があるがこれは当てはまらない。株主資本コスト(株主の期待収益率=配当と期待キャピタルゲインを年率換算した値)の方が負債資本コスト(有利子負債の支払い金利)よりもはるかに大きいので、この程度の僅かなマイナス金利では加重平均資本コスト(WACC)は決してマイナスにはならないし、限りなくゼロに近づくこともないからである。
33業種中、マイナス金利で悪影響を受けることが確実な銀行を除く32業種が上げた。
2件のコメントがあります
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確かにスイス、デンマーク、スウェーデンなどでは導入済みですが、最近まで黒田総裁自らが否定していた「マイナス金利」を決定したということが市場にとってはサプライズだと言う意味です。「マイナス金利」がサプライズというわけではないですよ。
通貨量と短期金利をいじる普通の金融政策だと思います。
その度合いが隣国の巨大緩和のせいで、(従前比で)でかくなってるだけでしょうね。
しかし、コアコアインフレ率が1%未満なことから分かるように、かつ欧米よりも景気低迷なことから分かるように、明らかに緩和不足で、日銀のサボりは明白です。
欧州で導入済みのマイナス金利はサプライズでもないでしょう(--;