加藤あきらさんが捕まってしまいました。1980年から90年代にかけて、「誠備グループ」を率いて、兜町にその名を轟かした風雲児です。相場操縦の天才で、私も空売りで踏まされるという苦い経験を積みましたが、相場については彼にずいぶん教えられました。
「でも、結局捕まってしまいましたわ!」
「そうなんですよ。儲けを彼と仲間たちが独占したのが原因で、万人がハッピーになるような株価操縦だったら、捕まらないで銅像が立ったのではないかと」
「へー、そんなことってあるの」
「そこが株の難しいところなんですよ。現に郵政グループの上場では、見事な御膳立と株価操縦で、万人が喜ぶ結果になったのはご存知ですよね」
「……」
「こんな有名な話知らないんですか!」
「知らないわよ。そんなにもったいぶらないで、早く教えてよ」
「教えるのは、お安いけど……、ストーリーは自分で作ってみて、答えと比べてみるほうがいいですよ。そうすれば相場を見る目がつくから」
「ケチ! 明日は見てやらないから……」