nabechiyanさんのブログ
北海道電力(9509)は高収益会社に変化している
北海道電力(9509)は高収益会社に変化している(訂正版)。2015.11.4
1)原子力発電の運転の停止により、北海道電力の業績は赤字に転落し株価は大暴落した。
しかし、電気料金の2回にわたる値上げと、経費の節減、事業の効率化により、北海道電力は高収益企業に変化している。
今年度の経費節減は340億円を目指しており、昨年の774億円の経費節減実績と合計すると2年間で1114億円の節減となりそうだ。
その結果年間の純利益(予)は559億円、1株当たりの利益は272円、予想株価は4300円まで上昇する可能性がある。
証券会社の営業利益予想
ゴ-ルドマン・サックス証券の業績予想
2016年3月期の北海道電力(以下北電とする)の連結営業利益は694億円(前期比14.4倍)と予想している。
SMBC日興証券の10月22日の決算プレビューでは
2016年3月期の北電の連結営業利益は751億円(前期比15.8倍)と予想している。
筆者は証券会社の予測が可能な数値なのか確認するために北電の業績を試算した。
北電の2016年 3月期の決算を予測するための参考資料として、平成28年3月期第2四半期決算短信(連結)を使用する。
2)売上高の予測 単位 百万円
北海道の電力事情は本州と異なり、冬期間の電力需要が大幅に増加する。特に冬期間の家庭用消費電力量は夏季に比べて60%も増加する。
この理由は、積雪を防止するためのロードヒーティング、ルーフヒーティングの使用、暖房用の電気毛布、電気カーペット、電熱ヒーターなどの使用により電力量が増加する。
月別の電力量の変化を調べて、電力販売用途別実績で冬期間の電力量の変化率を売上高に反映する。
今年の販売電力量を予測するため、昨年の実績を調べる。
2014年の販売電力量 単位 百万kwh
1Q 7187 2Q 6819 3Q 7174 4Q 8619
0 +5.2% 26.4%
昨年の電力量使用実績は夏場の2Qを0とすると、3Qで5.2% 4Qで26.4%増加している。今年の電力量を予測するためには、上記の増加量をそのまま適用する。
2015年の販売電力量の実績
1Q 6764 2Q 6541
(予) 3Q 6881(+5.2%) (予) 4Q 8267 (26.4%)
上期電力量の合計 13305 (予)下期電力量の合計 15148 (13.85%)
下期の電力量は13.85%増加する。
2015年度上期の売上高は340815 百万円 (3408億円)
下期の売上高は上期の売上高に、冬季の増加分の13.85%である1.1385倍にする。
また、家庭用電力契約は従量電灯Bで電力使用量が増加すると料金もさらに増加する。
一般の契約は280kwh超える分について3.65%加算される。
この増加分を全体でみて、2%増加とする。(4か月/6か月)
下期の売上高=340815×1.1385×1.02=395778 百万円
年間の売上高=上期の売上高+下期の売上高
=340815+395778=736593
(7365億円) (北電の予想は7320億円)
3)営業経費の予測
発電量を増加すると燃料費も増加する。
燃料費は営業費用の1部で、燃料費を算出するために、営業費用に占める燃料費の割合を計算し、上期の燃料費を基に下期の燃料費の増加分を出し、年間の営業費用を算出する。
連結の業績に燃料費の記載がないため、北電単独の営業費用から燃料費の割合を算出する。(単独と、連結の営業費用はほぼ同じ)
2015年度上期の単独の営業費用 =222630
2015年度上期の単独の燃料費・購入電力料=122125
燃料費が営業費用に占める割合=122125÷222630=0.548 (54.8%)
2015年度連結の上期の営業費用=316453
上期の燃料費=316453×0.548=173416
続いて下期の燃料費を計算する。
下期の燃料費は13.85%の増加と、2%の増分を考慮し、1.1585を掛ける。
下期の燃料費=173416×1.1585=200902
年間の燃料費=173416+200902=374318
また、冬季の燃料費の増加分は=200902-173416=27486
年間の営業費用=上期の営業費用×2+冬季の燃料費の増加分
=316453×2+27486=660392
4)営業利益の計算
営業利益は売上高から営業費用を引く。
営業利益=736593-660392=76201 (762億円)SMBC日興証券の予測(751億円)に近い
経常利益の計算
経常利益は営業利益から営業外費用を引いたものである。
上期の営業外費用は8188(主に支払利息)で下期も同額とする。
年間の営業外費用=上期の営業外費×2=16376
経常利益=営業利益-営業外費用
=76201-16376=59825 (598億円)
5)税引前純利益
経常利益と同額 59825
6)法人税合計
上期の法人税合計は経常利益の6.48%である。業績の赤字が連続し税額が少なくなっている。
法人税の課税割合を6.48%とすると。
年間の法人税の合計=税引前利益×0.0648=59825×0.0648=3876
7)年間の純利益
年間の純利益=税引前純利益-税額合計=59825-3876=55949
非支配株主に帰属する損失
上期の損失 5
年間の損失 10
親会社株主に帰属する純利益
55949-10=55939
8)1株当たりの利益(EPS)
1株当たりの利益は親会社の株主に帰属する純利益を期中平均株数で除したもの。
純利益=55939 百万円
株式数=205.5 百万株
1株当たりの利益=55939÷205.5=272円
9)予想株価
今年8月に北電の株価は1547円を付けた。この時の四季報第3集の予想1株利益は97.3円だった。
株価収益率(PER)=1547÷97.3=15.8 であった。
予想株価は1株利益に株価収益率を乗じたもの
予想株価=272×15.8=4300円 となる。
業績の推移 単位 百万円
売上高 前期比 営業利益 前期比 経常利益 前期比 当期利益 前期比 一株益 配当
北海道電力 連結
14.3 630925 +8.1 -80168 -95370 -62972 -306 0
15.3 692925 +9.9 4750 -9343 2938 14.3 0
四季報予16.3 756000 +9.1 40000 742% 25000 20000 97.3
0-10
アナリスト予 16.3 752220
+5.6 39800
526% 30640 942% 175.8
日興証16.3 754100
75100(15.8-倍)
60800 48100 234
ゴールドマン 16.3 752220
69400(14.4倍) 39800 30540 174
著者予 16.3 736593 76201 59825 55939 272
会社予 16.3 7320 +5.6
16/3期上期は昨年実施の料金再値上げ影響で黒字を確保
16/3期上期の経常利益は220億円改善の170億円となった。
主な増益要因は電気料金再値上げによる約400億円の増収
気温影響や産業需要の減から販売電力量は5%減
業績発表
10月30日に16/3期上期決算が発表された。想定の範囲内でニュートラルとの印象。経常利益は前年同期比220億円改善の170億円となった。主な利益改善要因は、2014年11月実施の電気料金の再値上げ影響が約400億円の増収、苫東厚真など石炭火力発電所の定検の増加や計画外停止による稼働減が約90億円の減益、修繕費の増が約50億円の減益、販売電力の減が約40億円の減益である。通期の会社側利益予想は未定とされている。
目標株価 2000円 かい離率63% 2015.11.5 12時現在
当社の注目点
原子力規制委員会による泊発電所の適合性審査では、基準地震動(Ss)が確定していないが、立地する積丹半島西岸の地盤に関しては、活動性が見られないとの結論が了承された。震源を特定しない地震動では、10月23日の審査会合で2008年の岩手・宮城内陸地震の基準地震動が540ガルで決着したとみられ、最終的な基準地震動確定プロセスは最終局面に入ったと考えられる。弊社では、16/3期中に基準地震動が決定されると予想しており、泊3号は17/3期3Qでの再稼働、泊1・2号は17/3期4Q以降の再稼働を見込んでいる。
変動リスク
目標株価2,000円の算定基準は、18/3期弊社予想配当50円に配当利回り2.5%(03/3~11/3期までの電力セクターの平均値)を適用して算出している。同社の主なリスク要因は、原子力規制委員会による泊原発の適合性審査の遅れや、油価・為替変動による燃料費の増大など。
投資評価 今回1
目標株価 2000円
乖離率54%
2015.10.29 業績発表前日
業績の推移 単位 百万円
売上高 前期比 営業利益 前期比 経常利益 前期比 当期利益 前期比 一株益 配当
北海道電力 連結 % 円 円
14.3 630925 +8.1 -80168 -95370 -62972 -306 0
15.3 692925 +9.9 4750 -9343 2938 14.3 0
四季報予16.3 756000 +9.1 40000 8.4倍 25000 20000 (6.8倍) 97.3 0-10
コンセンサス予 16.3 752220 +5.6 39800 (8.3倍) 30640 (10.4倍) 175.8
日興証券 16.3 754100 +8.8 75100 (15.8-倍) 60800 48100 (16.4倍) 234
著者予 16.3 736593 +6.3 76201 (16倍) 59825 55939 (19倍) 272
会社予 16.3 732000 +5.6
ゴールドマン16.3 69400(14.4倍)
北海道電力(9509) 業績の推移と各社業績の予想 2015.11.7
解説
著者の当期利益は、日興証券の当期利益より多くなっている。
日興証券の予想と、著者の予想を比較すると、売上高では日興証券が7541億円、著者が7365怨円、営業利益は、日興証券が751億円、著者が762億円で極端に大きな違いはない。
しかし、当期利益では、日興証券では日興証券が481億円、著者が559億円となっている。
この理由は、営業外費用として著者は長期借入金の利息を主な費用として差し引き、その他の費用をゼロとしたためである。支払利息は前年度で166億円、今年度は163億円と予想する。
日興証券は営業外費用として78億円を計上しているためである。
復配と、EPS230円以上を考慮すると、北海道電力の株価1200円台は非常に安く、2017.3の原発稼働の可能性を考えると魅力的である。
北海道電力(9509) 業績予想(連結) 金額単位 百万円
予想会社 SMBC日興証券 2015.11.2
時期 売上高 前期比 営業利益 前期比 経常利益 前期比 純利益 前期比 1株益
15.3 692925 +9.9 4750 -9343 2938 14.3
16.3 754100 +8.8 75100 (15.8倍) 60800 48100 (16.4倍) 234
17.3 707200 -6.2 93300 (24.2%) 79000 (29.9%) 62600 (30.1%) 304
18.3 64990 -8.1 86800 (-7%) 72500 (-8.2%) 57400 (-8.3%) 279
4300なんて夢のようです♪