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http://minkabu.jp/blog/show/720879
・パターンＢ
888年の封印から解き放たれ、魔王は復活した。
その力は強大で、人々は恐れおののいた。
さらに、魔王の元に集った魔物達は村や町を襲う。
国の軍隊は魔物の群れから人々を守るだけで精一杯で、
魔物を、ましてや魔王を打つことなどできるはずがなかった。
国王はこの現状を打開するため、
魔王やその配下の強力な魔物たちに対し、
懸賞金をかけて討伐を推奨した。
これ以降、魔王たちの討伐を目指すもの達は冒険者と呼ばれ、
さらに有力な魔物を倒した者は勇者と讃えられる事になる。
現状、冒険者は少しづつであるが増えつつあり、
絶望に一石を投じると思われたが、
魔物の群れは強大で、いまだ魔王討伐には至らない。
以上、前回と同じ文言だが、根気よく読んでくれてありがとう。
そしてここにまた、我こそは魔王を倒さんと、
一人の剣士が仲間を募った。
もちろん、戦いが出来ることを条件に募った。
「私の呼びかけに集まってくれてありがとう。
まず自己紹介させてくれ。私の名はロレンス。
一介の剣士だ。
みんなの事も知りたいので、一人づつ自己紹介してくれないだろうか。」
精悍な剣士は、集まった仲間に笑顔で語りかけた。
それに応えて、槍を担いだ大男が口を開く。
「おう、俺の名はランガス。
見ての通り槍使いだ。力比べなら負けたことがねぇ。
魔物が何匹こようが薙ぎ倒してやるから安心しな！」
続いて、ローブを纏った女性が話す。
「私はレイア。魔導師。
攻撃魔法はまだまだだけど、回復魔法ならまかせて。
みんなの役に立つから。」
最後に、ただならぬ雰囲気を出す者のが口を開く。
「世の名はサターン。魔王じゃ。
肉弾戦も出来るが、より得意なのは...」
「ちょ、ちょっと待て！」
驚いたロレンスは口を挟む。
「む？
まだ世の自己紹介中じゃが、何かあったのか。」
「あんた、魔王だろ。
何でこんな呼びかけに応じて来るんだよ！？」
「世が魔王であることを早くも見破るとは...
さすがは勇者の素質を持った者よ！敵ながらあっぱれじゃ！」
「いや、あなた始めに魔王だって名乗ったよね！？」
レイアがツッコミを入れる。
「そうじゃったか、これはしたり！
世としたことが、しくじったわい！」
ランガスが迫る。
「おうおう、魔王が正体を隠して俺たちの仲間になろうとするとは。
さては俺たちを騙して闇討ちでもしようって魂胆か！」
「いや、冒険がしたいだけじゃが？」
「はい？」
「だってずるいじゃろうが、人間ばかり冒険して。
世が復活し君臨してからというもの、
やれ管理やら、賞罰やらで世の城に篭りっぱなしじゃ。
世はこんなことをするために世界征服をしたいんじゃないわい！」
「世知辛ぇなオイ！
そんな魔王の現実なんて知りたくなかったよ！」
魔王の現実にロレンスたちは驚愕した。
「だから世は部下に黙って城を抜け出し、
人間に混じって冒険することにしたんじゃ。
いざ行かん、冒険の旅へ！」
「でも、部下をほったらかしでも大丈夫なの？」
心配しなくても良い事だが、
レイアは好奇心から魔王に聞いた。
「何が起きても知ったことか！
しっかりした組織ならば、トップがいなかろうがどうにかなるはずじゃ！」
「うわぁ、あんたの部下にはなりたくねぇ！」
ロレンスたちは見も知らぬ魔王の部下たちに少し同情した。
「それに貴様ら人間ときたら！
カップルどもがイチャイチャしながら冒険しおってからに！」
「いや、そんなバカップルはいないだろ。」
「きっとこんな感じじゃ！
『ねぇ、魔王討伐のペアチケット貰ったから討伐行こうよー』
とか、
『春の新作の装備が発売されたから、買って冒険行こうよー』
とかいいながら、カップルでキャッキャしながら冒険にくりだすんじゃろうが。
リア充どもが！許せぬ！」
「そんな遊園地に行くノリで魔王討伐するヤツなんていねえよ！」
「そもそも魔王討伐ペアチケットって何だよ！？
ツッコミどころが多すぎて、わけがわかんねぇよ！」
「え、お城で配ってたけど？」
「あんのかよ！？」
「とこかく！別に、世と冒険に出ても良いではないか。
何の問題も無かろう？」
「いやいや。仲間を集って冒険に出る目的が 貴方の討伐だから。
討伐対象がすぐ近くにいたら、冒険に出る必要ないでしょうが！」
「Oh、Jesus...」
