通貨安で返済負担が増すドル建て債務

いそりんさん
順風満帆だったスマートフォンメーカーや自動車メーカーの失速に、『増加基調の銀行の不良債権残高(昨年12月末から6月末で4480億元と28%増加 現在の不良債権比率は1.4%で、目標は1.45%)』、人民元の切り下げ(基準値から約2%切り下げ)など、憂いな材料が次々と発表され、経済の鈍化が顕在化している中国やアメリカの利上げ憶測などにより『軒並み下落している新興国通貨

更に特有な事情が加わり、通貨の逃避に拍車が掛かる国(新興国)もあり』、税収の増減を左右する原油価格の下落(マレーシアは原油の純輸出国のため)と、約1.4兆円の巨額債務とナジブ首相の公金横領疑惑(約860億円)の問題が一体化した政府系投資会社(1MDB)の運営責任とナジブ首相の不祥事疑惑を巡り不透明感が漂う政局、『これらの問題が嫌気をされ、17年ぶりの安値に沈むマレーシアの通貨リンギット

ブラジルもマレーシア同様の図式で、汚職(国営石油会社ペトロブラス)と資源価格の下落(鉄鉱石など)により通貨レアルの逃避が続き、脆弱な政治基盤と輸入が輸出を上回る経常赤字が主因のインドネシア(通貨ルピア)など、『エネルギー資源や鉱物資源を産出する資源国、経常赤字国、不安定な政局に該当する新興国の通貨は下落が止まらず』、輸入物価の高騰、通貨防衛を目的とした政策金利の引き上げによる債務負担の増加は可処分所得の低下を生じ、新興国経済が逼迫する要因となる

http://jp.reuters.com/article/2015/09/04/emergingmarkets-iif-idJPKCN0R401X20150904" target="_blank" style="text-decoration: none; overflow: hidden; color: rgb(46, 92, 180); font-family: 'MS Pゴシック', 'ヒラギノ角ゴ Pro W3', 'Hiragino Kaku Gothic Pro', Osaka, sans-serif; line-height: 18.2000007629395px;">http://jp.reuters.com/article/2015/09/04/emergingmarkets-iif-idJPKCN0R401X20150904

そして影響(新興国の通貨安)は、『ドル建て債務を抱えている企業の償還(返済)の重荷になり』、タイ国際航空は36億7900万バーツ(約132億円 4~6月期)、フィリピンの複合企業サンミゲルも11億ペソ(約30億円 1~6月期)の為替差損を計上し、インドネシアの資本規制の関係上9月末までに1.5億ドルの調達が必須のマレーシアのエアアジア(格安航空会社)には資金調達の懸念があり、『通貨安で増す債務の返済負担により』、新興国企業は業績悪化や資金調達の難渋に見舞われていると思う



米国以外の企業が抱えるドル建て債務は9.2兆ドル(約1120兆円 2014年9月末時点)で、新興国企業は3.3兆ドル(約400兆円)と全体の36%を占め、『信用力を示し、破綻した際に損失額を補塡するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS )の保証料率が2割近く上昇しているアジアの新興国企業』の行方は新たな懸念材料になるかもしれない
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