米国の9月利上げ観測が再度浮上したことから株価は再び下落を始めています。
ところで従来米国の利上げ観測が浮上すると、ドル/円相場は円安に振れる傾向を見せていましたが
今回はその兆候が全く見られません。
株価との因果関係も考えられますが、現状は世界的に下落しているので、どうもしっくり来ません。
そこでその理由を考えてみたのですが、市場は既に米国の利上げを織り込んでおり
利上げが実施されればドルは下落するというシナリオに辿り着きました。
私達は漫然と「米国利上げ=対ドル円安」という固定観念に囚われてしまい
どうやら肝心な市場心理を見落としていたのではないでしょうか。
無論将来的に日米間の金利差が拡大すれば話は別ですが
日本も経済成長を目指している訳ですからその可能性は薄いと考えるべきで
日本株の中期的な見通しはかなり厳しくなると言えそうです。
因みに米国が利上げに踏み切った過去3回(1994年・1999年・2004年)の事例を振り返ると
株価は利上げ後数か月から一年で約8%下落した後上昇に転じ
全ての事例で利上げ前の株価水準を上回っています。
http://www.monex.co.jp/Etc/topbn/guest/G800/new2015/news1506_19.htm
つまり利上げが9月に実施されれば、NY市場は年内に8%程度下落する可能性があるという訳です。
そう考えると、ダウはざっくりですが15000ドルが底値で
早ければ年初から上昇に転じ、来年の今頃、再び18000ドルまで戻す。
そんなシナリオも充分考えられそうです。
次にに2004年の利上げで円相場がどうなったを調べてみると
利上げに踏み切った6/30の円相場が1ドル108.43円であったのに対し
利上げ前後の月次推移は以下の様になっています。(月次平均値・単位:円)
1月➡106.47、2月➡106.67、3月➡108.76、4月➡107.41、5月➡112.01
6月(利上げ実施)➡109.45、7月➡109.48、8月➡110.52
9月➡110.02、10月➡109.10、11月➡104.93、12月➡103.97
さらに利上げ前年(2003年)の円相場(月次平均値・単位:円)を見てみます。
1月➡108.90、2月➡119.46、3月➡118.78、4月➡119.82
5月➡117.43、6月➡118.34、7月➡118.71、8月➡118.80
9月➡115.25、10月➡109.58、11月➡109.20、12月➡107.89
こうしてみると、2004年の米利上げは前年に織り込まれていたと判断出来ます。
だとすれば今回の場合、1ドル125円台が直近円の最安値であった可能性があり
利上げ後は円高に振れることは充分考えられるのではないでしょうか。
少なくとも「米利上げ=円安」という先入観は捨てた方が良さそうです。