今回の暴落と今後の相場

yuhsanさん
yuhsanさん

 
 今回の暴落の原因に、中国の景気後退とアメリカの金利上昇をあげる人が多いようです。


 確かに、これらの原因が、日本の企業収益に影響することは事実です。とはいえ、日本の株価に、これほど影響を与えるのでしょうか。


 私の見方は、「投資環境のほころび」をヘッジファンドに突かれた結果と見ています。「投資環境は政治が作り、株価は企業業績で決まる」という話は、「昨日の日記」の中で詳しく述べましたが、投資環境を支えてきた政治が、内閣の支持率の低下によって、ぐらついてきています。そこをヘッジファンドが、先物主導で売り仕掛けをしたというのが、今回の下落の要因です。


 アベノミクス相場は、今回を含め3回、大きく下落しています。


 第1回は、13年の5月、第2回は14年の1月。いずれも15%程度の下落でとどまり、その後の上昇基調は維持しています。過去の2回は相場の上昇期にありましたが、今回は天井期です。


 天井期にファンドが売りを仕掛け、その後の株価低迷を招いた例は、過去に何回かあります。あの「失われた20年」を作り出した昭和バブルも、アメリカ発の世界恐慌を引き起こしたリーマンショックも、発端はファンドの売り崩しです。


 品薄株を買い上げ、平均株価を引き上げ、買い込んだ品薄株を売ると同時に、先物を使って株価を暴落させるという手口です。株価は買い手不在のまま大きく下落し、経済活動を停滞させ不況に追い込んだのです。今回も、バリュエーションでは、とても買えないユニクロをはじめとする品薄株を、売り崩すことで相場を下げました。


 もちろん、中国の景気後退やアメリカの金利上昇といった投資環境の変化が、背景にあったことは事実ですが、なによりも政局の不安定が拍車をかけました。


 内閣の支持率と株価との連動はよく知られていましたが、暴落直前までは逆方向に動くという不自然な動きをしていました。どうやらこれは反動狙いの動きで、世界同時株安という口実の下にファンドが売りを仕掛けると、あっという間に大部分の市場参加者が同調してしまいました。


 期待されていた年金基金も、国内機関投資家も、買い支えには動きませんでした。政局が不安定だったからです。やっと、株価が18,000円を割ることになって、ファンド筋の買戻しと、株価下落による投資枠拡大による年金資金の買いで半値戻しとなりました。


 あのまま、ファンド筋の売りに買い向かう国内勢力がなければ、日本経済は、不況に逆戻りさせられるところだったのですが。現在の株価は、高値からザラバ安値(17,714円)まで3,000円ほど下げて、200日移動平均線付近をわずかに上回ったところにあります。


 今後の見通しはどうでしょうか。


 問題は、これから先の相場の需給をどう見るかです。誰が買い、誰が売るかです。


 売り主体のヘッジファンドには、これから先、売り崩すほどの資金はありません。内外の年金基金などが、資金の運用先をヘッジファンドから引き上げたことが大きく影響しています。日本の年金基金も、自主運用に切り替え、ヘッジファンドに対する運用を大きく減らしています。


 世界的な株価下落の動きは、まだ収まったとはいえない中では、外国人の買いは期待できません。買いの主体は個人と年金基金です。個人買いがどこまで相場を持ち上げるか、その鍵は政局が握っています。


 支持率を下げた要因の安保法案は、参議院で審議中ですが、首相の70年談話やその後の朝鮮半島問題から、支持率の下げ止まり傾向がはっきりしてきました。30日に予定されている反対運動の盛り上がりをチェックし、おそらく9月上旬までには、反対勢力抜きで採決となるでしょう。


 万が一法案が通らないか、60日ルールで法案を通すような事態となれば、安倍内閣を支えていた支持層が離反し、大幅な支持率低下となります。このような事態にならない限り、安倍内閣は来年の参議院選挙まで安泰です。


 残された、普天間基地問題とTPPは、その後の支持率を見て、来年回しになる可能性があります。とはいっても、支持率に大きく響くようなことにはならないでしょう。


 ただ、安倍内閣としては、支持率を上げるために株価のテコ入れはしないはずです。目下の株価戦略は、今年11月に予定されている郵政3社の上場にあります。安倍内閣としては、できるだけ安く値決めし、多くの人に持ってもらうことを考えているようです。


 1986年に売り出したNTTの上場が、その後の株価上昇の起爆剤になったことから、多くの人に株を持ってもらい、その後の値上がりによる資産効果を期待しているのです。郵政の公募価格が決まる10月中旬までは、おそらく公的資金は株を買いません。


 そうなると、ここから株を買い上げる主体は、信用で売り建てた個人投資家の買戻しだけです。ただ、発表されている第一四半期の決算では、10%程度の増益を維持できる見通しで、外的要因が不利に働いても、大きく変わるものではありません。現在の株価の位置は、今期予想EPSから見ても、決して割高ではありません。割安な個別企業には、MRFなどに大量にため込んだ資金が入ることは十分に考えられます。


 売り手、買い手が混沌とする中、しばらくは、18,000円から20,500円までの値動きの荒いボックス相場が続くことが予想されます。先の高値を抜けるには、郵政3社の公募価格が決まり、企業の上期決算が固まる10月末からではないでしょうか。そのころになれば、次の相場を持ち上げる成長業種がはっきりし、新たな投資環境が生まれてくるかもしれません。


 私の投資方法では、相場の位置と方向を知ることが最も大切で、相場の読みさえ間違えなければ、「誰でも儲かる」ことができます。ところで、「みんかぶ」の日記を拝見していつも感じているのですが、相場の位置と方向についての記述はごく少数です。


 最近では、CNBCの日替わりの相場見通しでも、その人の相場スタンスを明らかにしています。前日のシカゴのCMEを見て、日替わりで株価の方向を論じているアナリストなどの意見は、あまり役に立ちません。


 投資スタンスを持たないで、日替わり売買のほうが儲かるといっているのでしょうか。もしそうならば、その方の金融資産が、アベノミクスの2年半の間に倍になったかどうか、ぜひ教えていただきたいのですが……。




2件のコメントがあります
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yuhsanさん

ドット練り足さん

こんにちは


コメントありがとうございます。

おっしゃるように、株価の位置と方向は、よくできたミステリーを見るようなもので、いろいろな情報の中から真犯人を探すのと似ています。

各種情報機関の見通しも、だいぶ割れているようですね。

以前のように、一方向でないところが推理の難しいところかもしれません。

ご成功を期待しております。




(退会済み)
こんにちは、はじめまして。
相場(株価)の位置と方向?につられました。
グランビルの8法則で見ると、マイ画像では、0624高値H~0708押し~0810戻り~0825安値K~現在アヤ戻り中かと思います。
RCIは、-77で↑向き 練り足は、陽↑で、MACDのオシレーター上昇↑です。

日曜日は、各社のコラムをついつい見てしまいます。
クジラGPIFは、9月配当ねらいで買うのか?
来週の値幅は?18500~19500? 1000幅の上下?ーー東洋経済
       18800~19800? 1000幅ですね?ーーFISCO社
       株探ーー押し買い?噴き売り?
       18500~19500 値固め?戻り売り?--みんかぶ
等々、個人的に、チャートクラブのプログを重視、日曜は株探に掲載されます。






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