2015年 夏 ※ ※ ※ ※ ※「ん?何やら聞いてた話と違うぞ」彼は思った。ここは異常に暑い。暑過ぎた。「嘘だろ~~、こんなに暑いなんて聞いてないぞ!」ふと前を見ると、仰向けに倒れているヤツを見つけた。「おい!大丈夫か?」答えはない。「ね、熱中症か?これが熱中症なのか!?」死んでいるようだ。こいつは自分の同僚ではない。同僚ではないが、同類ではある。その同類が地面に横たわって死んでいる。周りをよく見ると、かなりの数の同類が倒れていた。みな、仰向けだ。中には半分ミイラ化した死体もあった。彼は泣いた。「う、嘘だ・・・みな、あんなに苦労してたのに・・」なぜだ?なぜ、3日と持たないのだ。みな、地中で7年以上を過ごしようやくこの地上に出て来たのである。最低でも7日間の生は確約されていたはずだ。それなのに・・・みな、3日と持たずに死んでいく。それにしても暑いなぁ~彼がこの地上に出て来たのは昨日の事である。その命が、もう尽きようとしていた。 ※ ※ ※ ※ ※最近、アスファルトの路上で仰向けに死んでいるセミをよく見かける。アブラゼミ、ミンミンゼミなどがほとんどだが、その数が今年は異常に多い。恐らく、暑すぎて3日も持たずに落ちて来るのであろう。<合掌>