泥酔日記 その1

投財堂さん
投財堂さん
男は酔っ払っていた。時刻は深夜1時。足元もおぼつかない中、男は彷徨っていた。男はつぶやく『こ、ここはどこだ?』自宅近くの居酒屋で飲んでいたワケだからそう遠くではないだろう。しかし男はその場所がどこだか分からなかった。男は携帯電話を取り出した。『そうだ、家人を呼ぼう』男は自宅に電話する・・・プーッ、プーッ、プーッ『あれれ?』妻の携帯が何度電話しても通話中だった。『おかしいな。こんな時間に・・・』ではメールを送ろう。妻にメールを送る。しかし何度メールしても、送信出来ない。あれれれれれれれれれ時刻は深夜1時過ぎ。場所は全然分からない。帰りたいけど帰れない。次第に腹が立って来た。何に対してだか分からない。しかし腹が立って来たのだ。「このクソ携帯!!」男は持っていた携帯電話を思い切りコンクリートの地面に投げつけた。近距離で地面に叩きつける。これ以上愚かな行為があろうか?携帯のどこが悪いのか?携帯のどこがクソなのか?あえて言えば、クソは男だ。携帯は見事なまでに粉々になり、砕け散った。それを見た男は再びつぶやく『あ~、スッキリした』何がスッキリなのか?今となっては全く意味不明な言葉だがその時の男は、それでいいと思っていた。10分後・・・帰りが遅いクソ亭主を車で探していた妻が自宅から何と5分の場所でふらふら、へらへら歩く男を発見した。男の携帯は3ヶ月前に使用していたauを紛失しソフトバンクに乗換えたばかりのものである。1万円以上の解約料を取られたばかり。翌日・・・男の姿はauショップにあった。男は店員に言った。「あのぅ・・・SBの携帯を失くしたので、乗り換えたいんですが・・・」男は再び解約料を取られる事になる。しかも、SBの端末は無料だったがこれはSB側が3年の契約で支払う事になっていた。しかし、その破壊を男は破壊した。SBの解約とともに端末代金の支払いが発生する。男にはauにかかる従来の代金に加え持ってもいない携帯代金の支払いが残された。飲み放題プランだからといって貧乏根性丸出しで、「元は取らんとな」とか言いながら飲み続けた男。元を取るどころか、その何倍もの支払いを作った男。全く馬鹿である。これは、一年に一度の誕生日に起きた取るに足りない出来事なのである。男が誰かだって?それを聞いてどうするね。泥酔日記 その1(完)
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