気温の上昇とともにたくさんの種類の花を見かけるようになりました。
その昔、政権抗争に敗れ、都を追われて島流しとなった順徳上皇は、紫色の可憐な花に大いに慰められたそうです。4月頃から咲いている菊に似た小さなこの花は、名を「都忘れ」といいます。
神々がアフロディーテ(英名ヴィーナス)の誕生を祝って創造した花、薔薇。その花も各地で芳香を漂わせ、初夏の景色を一層華やかにしています。
古代ローマ人は天井に薔薇を吊るし、その下での会話は一切を秘密にするという習慣があり、「薔薇の下で」と言うと「秘密にする」という意味が現在にも残ります。
また、各地で見頃を迎えているポピーは、和名を「ひなげし」といい、別名「虞美人草(ぐびじんそう)」とも言います。
「虞美人草」は女性の悲劇を描いた夏目漱石の小説のタイトルにも使われていますが、古代中国で項羽が劉邦との最後の戦い(垓下の戦い)に破れ、項羽の愛姫であり絶世の美女であった虞姫が自刃し血を流した場所に咲いた花と伝えられています。
垓下の戦いで項羽は、取り囲む漢軍が楚(項羽の祖国)の歌を歌うのを聞いて(四面楚歌)、漢軍に取り込まれた楚人の多さを知り、敗北を悟ったと言われます。逃がれ生き延びることを潔しとしなかった項羽を惜しみ、後に杜牧は「捲土重来(けんどちょうらい)いまだ知るべからず」(苦難に耐えしのげば再び巻き返しの好機もあったのではないか)と詠んでいます。
さて、項羽が最後に開いた酒宴の一場面を、史記は以下のように伝えています。
「美人有り、名は虞。常に幸せられて従ふ。駿馬あり、名は騅(すい)。常に之に騎す。是に於いて項王乃ち悲歌こう慨し、自ら詩を為りて曰はく、力山を抜き 気世を蓋ふ 時利あらず 騅逝かず 騅の逝かざるを奈何すべき虞や虞や若を奈何せん」
(ちから、やまをぬき き、よをおおう とき、りあらず すい、ゆかず すいのゆかざるをいかんすべき ぐや、ぐや、なんじをいかんせん)
もはやどうすることもできない運命の前に、ただただ無力な一人の人間の痛いほどの思いが伝わってくる印象深い詩です。
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【1】今日の相場 **
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◎日経平均
20026.38(+136.11)△0.68%
◎TOPIX
1633.33(+ 6.67)△0.41%
◎売買高概算 25億8423万株
◎売買代金概算 2兆7137億円
◎時価総額 586兆2661億円
◎値上り銘柄数 1242
◎(年初来)新高値 236
◎値下り銘柄数 514
◎(年初来)新安値 8
◎変わらず 126
◎騰落レシオ(25日)
101.18%(前日比0.68%低下)
◎サイコロ(日経平均) 9勝3敗
○●○●○○○○●○○○ 75.0%
◎カイリ率(日経平均)
25日線比+1.15%
75日線比+5.03%
◎為替
(対 ド ル)119.95(前日比0.20円安)
(対ユーロ)135.32(前日比1.08円高)
◎出来高上位
1.みずほ <8411>
246.4円(+ 0.7円)32819万株
2.シャープ <6753>
171円(+ 2円)16539万株
3.三菱UFJ<8306>
899.1円(- 12.7円)13053万株
4.東芝 <6502>
409.9円(- 6.2円) 6418万株
5.NEC <6701>
408円(+ 5円) 5892万株
◎売買代金上位
1.日経レバE<1570>
17310円(+ 300円) 1605億円
2.三菱UFJ<8306>
899.1円(- 12.7円) 1177億円
3.みずほ <8411>
246.4円(+ 0.7円) 808億円
4.トヨタ <7203>
8364円(+ 12円) 573億円
5.三井住友 <8316>
5313円(- 9円) 456億円
◆相場概況
外国証券の寄付前の注文状況・・・売り1360万株 買い1120万株
本日の東京マーケットは日経平均株価が3日連続高、前日比136円(0.68%)高の2万0026円と終値で2万円の大台に乗せて取引終了です。4月28日以来、おおよそ3週間ぶりとなります。この3日間の合計では456円の上げ幅となります。
昨晩のNYダウが26ドル高となったこと、円相場が一時1ドル=120円台に乗せるなど円安水準で推移していることを好感してほぼ終日買いが優勢。明日に政府観光局が4月の訪日外国人数を発表することから消費など爆買い・インバウンド関連銘柄の上げが目立ちます。売買代金は概算で2兆7137億円、上海総合指数は134ポイント(3.1%)の大幅高で4417です。
業種別では、証券、水産、食品、空運、陸運、小売などの上げが目立ちます。
個別銘柄では、4月の訪日外国人客数の発表を明日に控えて関連銘柄に思惑的な買いが入っています。代表格の三越伊勢丹が66円高の2006円、大丸と松坂屋が統合のJフロントが51円高の2140円、レナウンが36円高の229円、中国の山東如意が筆頭株主のレナウンが36円高の229円、真珠トップのTASAKIが181円高の2744円。
他にも免税店を運営する日本空港ビルが220円高の6770円、上野から成田空港を結ぶ京成電が29円高の1455円、免税対応店拡大のマツキヨが110円高の4710円、ドンキホーテが310円高の9750円と値を飛ばしています。
プレナスが4日連続高で56円高の2519円と年初来高値更新。運営する定食店「やよい軒」を米国で展開する見込みであり、米国進出を好感した買いが入っています。やよい軒は年内に米国1号店を米西海岸のサンフランシスコに出店する見込みであり、世界的和食ブームの折、海外展開による成長期待が高まっています。
石油・ガス施設等の総合エンジニアリング大手の千代田化工建設が33円高の1079円と値を上げています。モザンビークの天然ガス田の液化天然ガス基地について、ガスの液化設備と港湾・発電など関連インフラの設計・調達・建設(EPC)を請け負う企業に選ばれたと発表。事業総額は少なくとも1兆円規模のプロジェクトであり、収益貢献を期待した買いが入っています。
その他、ユニクロを展開するファーストリテイリングが3日連続高で975円高の5万0010円と1ヶ月ぶりに5万円乗せとなり、日経平均株価を38円押し上げています。超電導フライホール蓄電システムのクボテックがストップ高で150円高の1034円。
業績絶好調の関東電化が66円高の916円、ザ・ノース・フェイスやヘリーハンセンを手掛けるゴールドウインが47円高の910円といずれも昨年来高値更新、資生堂も112.5円高の2310円と値を飛ばしています。
本日の新高値銘柄は、マルハニチロ、日鉄鉱、清水建、五洋建、日本粉、プレナス、Jフロント、マツキヨ、クスリのアオキ、関東電化、ゴールドウイン、TOTO、ミネベア、三菱電、TDK、三井物、伊藤忠、JR東日本、NTT、ニトリ・・・等々です。
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【2】主な投資判断 **
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[ゴールドマンS証券]
据置き A
(6472)NTN 770→ 810円
[野村証券]
据置き A
(6457)グローリー 3,800→ 4,300円
引下げ A→B
(4246)ダイキョーニシカワ 4,600円
据置き B
(6367)ダイキン 7,600→ 8,400円
引下げ A→B
(7239)タチエス 1,700→ 2,000円
[三菱UFJMS証券]
据置き A
(3231)野村不動産 2,850→ 3,480円
[みずほ証券]
据置き A
(6592)マブチモーター 7,300→ 8,200円
据置き A
(6804)ホシデン 950→ 1,050円
据置き A
(7270)富士重工 4,700→ 5,700円
据置き A
(8252)丸井グループ 1,600→ 1,750円
引下げ A→B
(2897)日清食品 6,540→ 4,930円
[大和証券]
据置き 1
(3288)オープンハウス 3,090→ 4,400円
引上げ 3→2
(3291)飯田グループ 1,580→ 2,300円
据置き 2
(9989)サンドラッグ 6,100→ 7,000円
引下げ 2→3
(4839)WOWOW 3,100→ 3,800円
引下げ 2→3
(8136)サンリオ 3,480→ 3,400円
引下げ 3→4
(4527)ロート製薬 1,400→ 1,410円
※3段階評価はA~C、5段階評価は1~5にて表記
※投資判断を再開した場合は新規と記載
※価格は各証券会社が判断する妥当株価
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【3】毎月勤労統計 **
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厚労省が発表している毎月勤労統計調査は、賃金や労働時間、雇用市場の動きを見る代表的な指標となっており、速報値が調査月の翌月末頃にまとまり、確報値は翌々月の中旬に公表されます。※3月の毎月勤労統計確報は本日発表。
従業員が一定以上の官民の事業所を対象にした調査で、現金給与額、労働時間、労働者数、入職率、離職率、パートタイム労働者比率等が公表されており、その中でも注目度が高いのが現金給与総額、労働時間、労働者数の三つです。
現金給与総額とは「定期給与」と言われる「所定内給与(基本給+諸手当)」と「所定外給与(残業手当)」、それに「特別給与(ボーナスや結婚手当等)」を合わせたもので、所得税や社会保障費等を差し引く前の金額を言います。
現金給与(名目賃金)は、企業収益・労働需給・物価動向の影響を強く受けます。
例えば、物価の動向(インフレかデフレか)によって現金の実質的価値が違ってくるため、物価(消費者物価)を考慮したものが「実質賃金」で、実質賃金の伸び率が「サラリーマンの懐具合」を表す指標となっています。
また、ボーナス支給月の6月と12月は名目賃金が高くなるという季節性があるため、前年同月の水準と比較する必要があります。
労働時間は、所定内労働時間(就業規則等に定められた制度上の労働時間)と、所定外労働時間(残業時間)とに分けられ、残業時間は景気動向に敏感に反応することから「景気のバロメーター」とも言われ、景気の先行指標としての特徴もあわせ持ちます。
労働者数の変動も景気の良し悪しを判断するのに有用ですが、集計範囲の差異から、労働者数の統計としては一般に労働力調査の雇用者数が利用されています。ただ、労働力調査では確認できない細かな産業別の雇用動向を見るには毎月勤労統計が適しています。
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【4】本日の経済指標等の結果 **
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◎4月の全国百貨店売上高
本日発表された4月の全国百貨店売上高は前年同月比13.7%増で、2カ月ぶりのプラス。消費増税後で消費が落ち込んだ昨年4月との比較となるため伸び率が拡大しました。
地区別にみた場合、10都市の売上高は16.2%増で2カ月ぶりプラス、10都市以外の地区の売上高は8.8%増で13カ月ぶりのプラスとなっています。
なお、中国のお盆に当たる清明節や、花見ツアーなどで4月も訪日外国人が増加し、高級時計などの宝飾・貴金属や化粧品の販売が大きく伸び、訪日外国人売上高は過去最高を記録しています。
全国で最も早く、奄美地方の梅雨入りが発表されました。同地方としては平年より8日遅く、昨年よりも14日遅い梅雨入りだそうです。これからの時期は突然の雨というケースも増えるため、折り畳み傘などの雨具の用意は欠かせません。雨具の用意も言ってみれば一つのリスク管理です。相場においても想定外のことで急変することが多々ありますが、万が一そうなっても大丈夫なようにはしておきたいものです。具体的には、たとえば資金的な余裕であったり、ストップロスオーダーなどです。