これは、月、竹、力の物語のこぼれ話です。
以前リクエストがあったので今さらながら書いてみました。でも一話でネタ切れ。
本編を読みたい場合はこちらの目次からどうぞ。
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皆さん、こんにちは。
ボク、海ガメです。
今、ボクはあるお方に仕えております。
そのお方は...
「ほらー、早くしないと置いていくよぉ♪」
「ちょっ、ちょっと待ってくださいよー、桃姫さまー!」
そうです、女神になった桃姫さまです。
「おとぎ話だと、あなたはウサギにも勝てるはずなんだからぁ、
もっとはやく歩きなさぁい♪」
「ウサギが昼寝してくれない限り、無理ですってば(涙)」
こんな感じで、何と言うか、充実した日々を過ごしています。
ほんと、桃姫さまに仕えるのは大変なんです。はぁ。
そんなこんなで桃姫さまに振り回されているんですが、
おや、あそこに...?
「くそう、こうなったらヤケだ、死んでやる!」
うわぁ、一大事です。
何だか知らないけど凄く思いつめた少年がいます。
「ねぇ、そこの少年。
軽々しく死ぬなんて言っちゃダメだよぉ♪」
「そ、そうですよ。
何があったか知りませんが、その...」
えーっと、こういう時は何か優しい言葉で...
「死ぬんだったらぁ、
この美しい私にみつぐか、お布施したあとにしなさぁい♪」
「ちょっっ、桃姫さまぁ!?」
誰か、桃姫さまを止めてください。
お願いします、ホント。
「な、なんなんですか、あなた達は!?」
「私は女神、桃姫。
イタリアンは昨日食べたからぁ、お昼にフレンチをご馳走してくれると嬉しいなぁ♪」
ほんと、ゴメンなさい。
桃姫さまは悪い方じゃないんですが、こういうのには向いてないですよね...
あぁ、どうしよう。
「だいたい、何で貴方にご馳走しなくてはいけないんですか!
僕には恋人がいるのに!」
「あらぁ。恋人がいるのに、
なぜ貴方は死のうとしたのぉ?」
「結婚を認めてもらうため、彼女の両親に会いに行ったんです。
そしたら彼女の父親が、"お前の様な礼節をしらぬ者に娘はやれん!"って追い返されて。
自分は平民なんで、礼儀作法なんて知るわけないじゃないですか!」
なるほど、それで思いつめていたわけですね。
僕らが何か手助けできれば良いのですが。
「なぁんだ、君には出会いが足りなかったのよぉ。礼儀作法を教わる人との出会いが。
でも大丈夫よぉ。この私が、女神の力で出会いを授けてあげるぅ♪」
「えっ! ほんとですか!?」
驚くのも無理ないですよね。
ここは僕が説明しなくちゃ。
「安心してください、桃姫さまは出会いの女神。
元々は合コンを司る予定だったのですが、ゼウス様のはからいによって、
出会いを司る力を持っているんですよ。」
「そうだったのですか。それは心強い。」
うん、なんとか理解してもらえたみたいです。
良かった。
「よし。そうと決まったらぁ、
早速フレンチをご馳走しなさぁい♪」
桃姫さま...
少し自重してください。ほんとお願いします。
「フ、フレンチですか!?
それは...」
「ちょっと待ったぁーー!!」
うわぁ、驚いた。
少年が何か言いかけたら突然男の人が割りこんできました。
一体誰なんでしょう。
続く!
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