愛と勇気の新ふぁんたじぃ  エピローグ

 

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以下は、魔王が世界に降臨して五百年の後、
ドッカノ国に伝わる伝承である。
 
――――――――――――――――――――
 
昔、この国に聡明な王子がいた。
 
王子の思慮深さに誰もが驚き、
そしてその優しきその心に多くの者が救われた。
 
人々は口々に王子を誉めそやし、
そしてこの国の将来に希望を持った。
 
しかし、事態は一変する。
この地に魔王が現れたのだ。

 

 

魔王は、王に迫る。
―― お前の民を皆殺しにされるか、お前の子を差し出すか、どちらかを選べ。
 
王は拒もうとしたが、
王子は多くの民が救われるのならばと、受け入れた。
 
―― あぁ、なんたることだ。聡明なる王子よ、我が国の希望よ。
民は嘆き、そして悲しんだ。
 
しかし、少女が一人、名乗りを上げた。
―― 魔王よ、王子はこの国の未来。私が王子の身代わりとなりましょう。
 
魔王は少女に問う。
―― お前は何のために身代わりを申し出た。お前には何の利もないだろう。
 
少女は答える。
―― 利はあります。王子は救われ、この国の人々に明るさが戻るのですから。それが私の望みです。
 
魔王はさらに問う。
―― ではなぜそれを望む? お前に何も見返りがないにもかかわらず。
 
少女は答える。
―― 多くの人の喜びが私の喜び。それは人々に対する私の愛。

   そして、愛は見返りを求めないものです。
 
魔王は聞く。
―― 愛とは何か。
 
少女は説く。
―― 愛とは、大切なものに我が身を捧げること。

   愛とは、大切なものに真摯に向き合い受け止めること。
 
魔王は言う。
―― 我の心は憎しみのみ。そなたの説く愛がわからぬ。
 
少女は言う。
―― 魔王よ、愛を知らぬ哀しい者よ。ならば私があなたを愛しましょう。
 
以降、少女は魔王に寄り添い、
やがて魔王は悪事を止めた。
 
おぉ、勇気ある少女よ、愛の聖女よ。
我らは貴方のもたらした平和を歌おう。
そして我らは語り継ごう、貴方の勇気と愛の物語を。
 

6件のコメントがあります
1~6件 / 全6件
ユリッチさん、コメントありがとうございます!

>壮大な歴史小説に一変したこのラスト。事実がいかに歪曲美化され都合よく語り継がれていくものか。
>私の好きな薄幸の美剣士沖田総司も、実はウマヅラハギだったというし。。。。

私の思惑を代弁してくれるとは、さすがユリッチさんです。
歴史上の人物、偉人も私たちの認識と実像とですこしずれる事もあるでしょう。
(沖田総司が美系でないとは、知りませんでした)

>あさってさん、タイトルに偽りはありませんでした。ここまで順に読んでいった自分を褒めてあげたい。でなければこのラストの意外な展開による衝撃は味わえなかったでしょうから。本はラストから読んで安心するタイプなもので。。。。

なるほど、最後にエピローグを読んでいたら、また違った印象をもったことでしょう。
本編があってのエピローグですから。

>面白かった!ストーリーもさることながら、特に会話のテンポが最高でした!

ありがとうございます!
ちと脱線&暴走した感がありましたが、
喜んでいただけたようで、書いたかいがありました。
壮大な歴史小説に一変したこのラスト。事実がいかに歪曲美化され都合よく語り継がれていくものか。
私の好きな薄幸の美剣士沖田総司も、実はウマヅラハギだったというし。。。。

あさってさん、タイトルに偽りはありませんでした。ここまで順に読んでいった自分を褒めてあげたい。でなければこのラストの意外な展開による衝撃は味わえなかったでしょうから。本はラストから読んで安心するタイプなもので。。。。

面白かった!ストーリーもさることながら、特に会話のテンポが最高でした!
こうちゃんさん、こんばんは!
コメントありがとうございます!

>このエピローグ、好きです♪

そう言っていただけると、
本編も含めエピローグを書いたかいがありました!
ありがとうございます!
あさってさん、こんばんは(^o^)

このエピローグ、好きです♪
ぽけぽけさん、コメントありがとうございます!

>むむむ~

>すごいマトモな伝承
>なんか、じーんとしてしまいました

伝承だけは、マトモです!
末代に伝えてはいけない裏事情もあるのですから。
多少の脚色をした、と言う事で。


むむむ~


すごいマトモな伝承

なんか、じーんとしてしまいました


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