暖かくなって水を飲む機会も増えてきますが、全国で一番ミネラルウォーターの生産量が多いのは山梨県です。1県だけで日本全体の40%を占めています(日本ミネラルウォーター協会調べ2014年)。
これに静岡県(17%)、鳥取県(11%)、鹿児島県(5%)、兵庫県(4)が続き、上位5県だけで全国の8割近くを生産しています。カギを握るのは、豊富な水をたたえる山の存在です。山梨と静岡は富士山、鳥取は大山、兵庫は六甲山を抱えています。
これらの山の麓にある採水地の近くには大手飲料メーカーが相次いで進出、それぞれの地域の名を冠したミネラルウォーターを生産しています。
ところで、ミネラルウォーターと言えば、「自然の水」、「ミネラルを多く含んだ水」というイメージが一般的かと思います。実際にはそのイメージとはちょっと違います。
農林水産省のミネラルウォーター類(容器入り飲用水)の品質表示ガイドラインでは、「ナチュラルウォーター」・「ミネラルウォーター」・「ボトルドウォーター」と大きく3つに分類され、更に「ナチュラルウォーター」は、「ナチュラルウォーター」と「ナチュラルミネラルウォーター」の2つに別れて
います。日本の大手メーカーが生産しているミネラルウォーターは、ほとんどが『ナチュラルミネラルウォーター』に属しています。
ガイドラインでは、「ナチュラルミネラルウォーター」とは、原水になるものが特定水源より採水された地下水のうち、地下で滞留または移動中に無機塩類が溶解したもので鉱水、鉱泉水などを指し、濾過、沈澱および加熱殺菌に限る殺菌処理を行われたものを指しています。
一方、ヨーロッパではミネラルウォーターと銘打つ水は採水地の水をそのままボトリングしており、殺菌処理をしてはいけないという決まりがあります。従いまして、安全性という観点から採水地の周辺に工場やゴルフ場、農地、牧場などの建設が禁じられ、水質源が汚染されないように環境の保護に力を入れています。