「鰊」と書いて「ニシン」。別名「春告魚(はるつげうお)」とも呼ばれますが、今では「幻の魚」と言われるほどその数は激減しています。
北海道を代表する民謡「ソーラン節」がニシン漁の労働歌であることからも分かりますが、かつてニシン漁業は北海道の一大産業でした。漁が最も盛んだったのは明治の終わり頃で、岸に押し寄せるニシンの雄の精えきで海が白くなったそうです。そして、「ニシン御殿」が林立していました。
旬の魚として人気があるのは、3~5月頃に北海道沿岸に産卵のために近づいてきたもので、脂がのって最も美味しくなります。身が軟らかく独特の油臭さがありますが、これがまた特有のうまみにもなっています。
ちなみに、「子供が栄え、子孫が栄える」・「よいことが数々ある」の縁起でお正月の食膳に欠かせない『数の子』は、産卵の為に沿岸におしよせるニシンの雌の腹から取り出した卵巣を1本1本塩水で処理加工したものです。意外とニシンから採れることを知らずに食べている人も多いようです。
『イクラ』は『鮭』の成熟卵を分解して塩漬け等にした食品で、『筋子』はその『鮭』の未成熟卵を卵巣のまま取り出して塩漬け等にした食材です。