中国の四季は青帝、炎帝、白帝、黒帝という男性の神々がそれぞれ司っていますが、日本の四季は女神が司ります。
平城京の東、佐保山に住む佐保姫が春を司り、野山を花で埋め尽くします。温んだ水や地面から湧き立つ水蒸気で、薄い帯のように棚引く春霞は「佐保姫の裳裾(もすそ)」。
白く柔らかな春霞の衣をまとう佐保姫の、裾がふれた場所から花開く・・・。
昨日は福岡と東京で、今日は広島と高知で桜(ソメイヨシノ)が満開となり、宇都宮の桜も開花したそうです。佐保姫の姿は見えませんが、存在は何となく感じます。
ところで、花見の文化は平安時代からありましたが、一般庶民、老若男女、町人や長屋の住民までが楽しむようになったのは江戸の頃からです。
楽しみ方はそれぞれで、切なくもおかしい長屋の住民の花見は落語の恰好の題材です
花見を題材にした落語はいくつかありますが、「長屋の花見」もよく知られた話の一つです。
貧乏長屋の住人たちの花見は、卵焼きに見えるのがたくあんで、カマボコは大根の漬物で代用し、酒は薄めた番茶といった具合でまったく盛り上がらず。番茶のお酒(おちゃけ)をたくさん注がれたりするとケンカになる始末です。
その内にやけくそになりだして、そこからのやり取りがまた笑いを誘います。