買った株は売らないと利益が確定しません。大方の人は買うときに、売りの値段と時期を考えて買います。ところが、値上がりは期待していても、売却を目的としない人もいます。
金融機関や事業会社などで、支配権や営業上の付き合いで株式を購入する場合がそれに当たりますが、年金、生保などの超長期の運用を目的とする機関投資家の買いも、あらかじめ売り目標を決めて買っているとも思えません。
「波乗り投資法」は、生涯にわたって株式投資を続けることで株資産を増やし、配当で生活することを目的としています。したがって買うときに、売値と時期を決めて買わないという点では、年金機関の買いと同じです。とはいっても、買った銘柄を一生持ち続けるつもりはありません。時代に合わせて、銘柄選定の基準とポートフォリオを替える際には売却します。
特に最近のように変化が激しい時代では、買ったときはいい株だったのが、いつのまにか光がなくなり、ただ生きているだけの会社になってしまうことだってあります。持ち株は、絶えず監視してゆかなければなりません。
銘柄の売却と入れ替えは、銘柄が株価の変動、業績の変化などから、ファンダメンタルに変化が生じたときだけです。基準に合わない銘柄が出てくる背景には、株価の上昇により配当利回りなどの基準が下がってしまうか、業績が低下して算定基準に合わなくなるかのいずれかです。
通常株価が上がれば利回りは低下しますが、増配すればまた利回りが上がるので問題はありません。ただ、所有している銘柄の株価が上昇して、配当利回りが1%以下にもなって、将来の増配見込みがない場合には売却します。配当利回りが1%以下になるまで買われているのは、それなりの原因があるわけですから、機械的に売るのではなく、出来高などをよく見極めた上、高値で売るように心掛けることも大切です。
好業績の結果株価が上がり、配当利回りが低下してしまうのは、その銘柄の選択が間違っていなかったことの証明で、その株はいい株だったのです。反対に、その銘柄の業績が低下して、算定基準に合わなくなってしまったときは問題です。特に減配は、配当を目的とした保有の前提が崩れてしまいます。
この場合、株価はすでに減配を織り込むような形で下げますので、配当利回りはあまり変わりませんが、受け取る配当金は減ります。
減配は企業にとっても、経営成果を評価される鍵となりますので、よほどのことが起こらないかぎり減配はしないはずです。まず減配が一過性のものであるかどうか、その原因を突き止めることが大切です。私は企業が減配した場合、多くの場合売却します。無配転落の場合は、理由のいかんを問わず即売却です。
一相場が終わった時点では、底値期で選定した銘柄がどれだけ売れ、どれだけ売れ残ったかを検証します。通常天井期までに半分程度利益確定した上で、下落期に2銘柄程度を損切りして、最終的には3分の1程度の銘柄が残る勘定になります。ただ、売れ残った銘柄については、その理由をはっきりさせた上で、残すか売却するかを決めて次の相場に備えます。あらたな株が必要なときには購入し、テーマから外れそうな銘柄があった場合には、損切りになってもポートフォリオからはずします。
以上が、ポートフォリオに組み込まれた銘柄の売却方法と時期です。購入時に売値と損切り目標を設定していませんが、様子見で買った株が、株価が上がり過ぎたときには利益確定し、下がり過ぎたときには損切り覚悟で売却することもあります。