皆さんの隣の家の住人、それほど稼ぎは良くないはずなのに、なんだか毎月のように高級牛肉とか高級果物を食べている。よく聞くとなんと、税金もほとんど払っていないらしい・・・こんなことがあったら皆さんは許せますか?でも、これとほとんど似たようなことが今の日本で行われているんです。そう、今話題の「ふるさと納税」ってやつです。
1年間に払っている住民税の1割までという制限はありますが、ふるさと納税をすればほとんどの自治体から高級な町の特産品が贈られてくる。しかも、2,000円さえ自己負担すれば、残りの寄付金相当額は翌年の住民税から全額控除される。たとえば年間の住民税額が50万円なら、1万円×5自治体に寄付すれば、5か所から高級食材がもらえて、48,000円は戻ってくるんです(しかも来年から、制限額が住民税の2割まで拡大されるらしい)。
自治体の中には寄付金の半額程度のお礼をくれるところもありますから、うまくいけば2,000円で25,000円分の買い物ができる。こんなおいしい話はないということで、今やふるさと納税は一種の財テクとしてマスコミで取り上げられない日はないほどです。寄付を受けた自治体だって税収が増えるから万々歳。でも、常識的に考えて、世の中のみんなが得する話ってあるわけがない。
結局、損をするのは寄付者が今住んでいる自治体。先ほどの例でみれば、48,000円を負担するのはあなたが現在住んでいる都道府県や市町村なんです。実際に住民サービスを受けているところに税金を払わず、寄付を受けた方も、本来であれば(寄付者が住んでいる自治体が)有無を言わさず徴収すべき税金に対してペコペコしながら謝礼の品を贈る。これってやっぱりなんだか変じゃないですか?
日本国憲法では国民に「勤労の義務」「納税の義務」を課しています。25,000円の価値のあるものを、2,000円しか稼がなくても取得できるシステムを、そして、毎日使っている道路や、ごみ収集、治安維持などに対して対価を払わなくていいというシステムを、こともあろうに国や地方公共団体が推し進めている。これって憲法違反じゃないかと思ってしまうのは、果たして私一人だけなんでしょうか。