3月の配当取りも終わって、いよいよ年度替わりになりました。今年は17,325円に始まり、3月23日の19,778円まで14%の値上がりです。20,000円は通過点といった声も多くなってきました。
私が年初に建てた株価見通しでは、年前半に今年の高値(19,000円半ば)をつけ、これが今年の高値で、後半は波乱としました。今のところ予想の範囲とはいえ、外れる可能性もおおありです。
20,000円を通過点と見ないで、今年のゴールとみていたからです。
先日の日経CNBCでは、これまでのところ、外国人、信託銀行、事業法人、個人の順で儲かっていると報じていました。またしても外国人に、いいところを持っていかれたようです。
ある個人向けの営業を主としている証券会社の話では、個人は逆張り志向が強く、相場の波に乗れなかったのが原因といっていました。リスクヘッジの指数先物売り、一発狙いの新興市場銘柄買い、あるいは空売りと、テクニックにおぼれて、結局平均以下の儲けに留まっている人が多いとか。
そういっている証券会社も儲かっていないそうで、長期投資家ばかり増えたら、われわれは飯の食い上げだと嘆いていました。
とはいってもこの強い相場で、さぞかし皆さんの懐も暖まっているはずですが、意外や意外……。世論調査では、景気がよくなったと実感している人は、ごくわずかとか。世論調査の方法に文句をつけたいところですが、企業業績と景気の実態との「ずれ」はよくみられることです。
今までは、株価と景気は半年程度ずれるといわれていたのですが、今回は昨年の消費税引き上げの影響から、2~3年程度の遅れになってしまったようです。その原因としては、
景気はアベノミクスの初年度に上昇し、消費増税前に一端天井を付け昨年末に底を打って、今年に入り再び上昇に転じたからとみています。
そうだとすると今は景気上昇の初期で、景気の株価押し上げ効果はしばらく続き、株価の天井はかなり先になりそうです。
私が、下期波乱としたのは、
(1)景気が回復すれば、円安にする必要はなくなります。日銀の心配は、更なる円安が通貨安競争になり、アメリカから文句が出ることです。日銀としては120円程度が、居心地のいい水準と思っている節が見えます。
(2)そうなると、5月までに発表される16年度の企業業績見通し(予算)は、かなり控え目で、増益率も一桁台の低いものになりそうです。
(3)統一地方選挙も終わり、来年夏の参議院選挙までは、株価対策の必要がなくなります。政治的には、秋に上場を予定している、日本郵政グループ3社の上場に向けて、公的資金を活用したいところで、下支えに使える資金は限られそうです。
景気の回復が本格化してくると、企業のマインドが向上し、景気に引きずられる形で企業業績も向上しそうです。特に今回の景気回復には、原油の値下がりや、賃金上昇などが後押しをします。通常のサイクルからいうと、株価が天井圏に達したころ、景気はまだ上昇を続けていますが、外国人が先頭を切って株から資金を引き始め、これが暴落の引き金となります。株価が暴落すると、景気も頭打ちとなり、株価暴落が景気の先行指標であることが実証されます。
株価と景気の循環サイクルには、このような「ずれ」が見られますが、今回は株価の上昇が長期の割に、景気の回復が遅れています。ということは、これからくる景気回復の波は、株価と景気のギャップを埋める動きから、かなり急激で大きなものとなりそうです。
私としては、年初の予想を変えてはいませんが、今回の株価上昇には、「クジラ」の下支え効果が絶大で、外国人が株価暴落を牽引することは当面考えられません。波乱含みですが、20,000円を超えて上昇する余地はまだありそうです。
景気の回復期には、不況期に新製品開発や、合理化を進めることで体質改善が進み、二流株と思われていた企業を探せば、上昇の波に乗れます。
東洋ゴムがいい例です。3~4年前までは、二流のタイヤ株だと思われていたのですが、アメリカで特殊なタイヤが売れて、収益の向上が著しく、大手のタイヤメーカーと肩を並べるほどになっています。
ただ、無理をしている分だけ何かにつまずくと、転落も早いことに気をつける必要があります。ボロ株かどうかは、株価が暴落するまで分かりません。くれぐれも、高値でボロ株を掴まないように。