「だからよ、お前の行ったことのあるゲイバーのオーナーだって、撃たれたのは」
そんなことを言われても、そんな身近に銃があるなんて、
なんとなく実感が湧かない。
かつて、オイラも拳銃を手にして自分の頭を打ち抜こうとしたのにだ。
「そいつはな、やたらイイ男で、だから舐められるんだ。
その道のプロだと思われないからな、あの風貌じゃ」
一軒目の居酒屋大将は、そうひとりごちた。
「あらやだ、同級生の息子さんだわ、自首したの」
二軒目のスナックで耳にした話だ。
かつて同級生だというので、子息の結婚式のとき、
そこで世話になったという。
三件目のバーで耳にした話は。
「二十二口径の銃だったらしいの。
腸を貫通したみたいで、
汚い話で恐縮だけど、いろいろ大変だったみたい。
病院は●▲、奥さんはとっても綺麗な人なの」
三件目のバーで話してくれた女は、
その名を借りに、ナオミとしておこう。
若いころはさぞかし・・・という雰囲気を持ったナオミ。
色々とミステリアスな妄想が、オイラの頭の中で暴れ出している。
谷崎小説でも、読もうか。。