投資方法として、短期と長期はよく比較されます。どのように違うのでしょうか。
多くの人は、短期の値上がりを期待して買ったものの、高値つかみとなり、気がついたら塩漬けになっています。そして3ヶ月、6ヶ月、1年たってやっと、買値に戻ってやれやれ……。これでは、長期投資とはいえません。投資の目的が違います。
「波乗り投資法」の目的は、「長期の資産形成を通じて老後を豊かに送る」ことにあります。
なぜ、短期でなく長期なのでしょうか?
答えは、長短投資法の特徴と手法を、比べてみれば明確です。特に、利益の源泉と配分の方法に注目してください。
★ 短期取引=ゲーム(ギャンブル、ばくち)
利益の源泉と配分: 参加者の掛け金(期待利益)を取り合う。必ず損失者が生じる。
手法: テクニカル分析と損切り。
利点: 相場に関係なく売買差益が狙える。小金があれば、いつでも参加し、いつでも退出できる。
欠点: ゲーム感覚だから大金を動かさない代わりに、資産形成意欲もない。
★ 長期取引=資産形成
利益の源泉と配分: 企業の利益配分から生じ、参加者全員で値上がりと配当を享受できる。
手法: ファンダメンタル分析と塩漬け。
利点: 大金を動かすことで資産形成が計れる。経済のパイが大きくなれば、企業の利益も増え配分も増えるが、選ぶ会社によって差が出る。
欠点: 時間がかかる。相場の下落時には損失が生じる。
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短期投資は技術(テクニック)に、長期投資は思想(生き方)に、重点がおかれているような気がします。市場への参加者は、短期投資家が圧倒的に多いので、短期の相場変動要因になります。ただ、値幅取りが目的ですから、売り買いはセットとなり、長中期的な相場を動かすことにはなりません。
長期投資家は、年金基金、保険、富裕層といった資金を運用していますので、投資機会は少ないものの、大量の資金を動かし長中期的な相場を形成します。短期投資家は、大きな流れの中で、「さざなみ」を作り、長期投資家は、「うねり」を作ると見ることができます。
長期投資の問題点としては、将来に対する漠然とした不安をあげることができます。急速な科学の進歩によって、社会も、経済も、自然環境も急速に変化しています。株の明日が読めないのと同じように、1年先の日本の姿が見えてきません。大震災が起きるかもしれないし、地球の温暖化で海面が上昇し、日本沈没だって考えられます。地政学リスクや、思想や文化の侵略……、なにが起きても不思議ではありません。
だから、「短期投資で、値幅取りで儲ける」では、ラスベガスに行って、ルーレットで儲けようとするのと変わりがありません。資本、技術、装備、人材などすべての点で勝るヘッジファンドや、機関投資家と、短期勝負で勝ち目のないゲームを争うようなものです。
むしろ、参加者全員で値上がりと配当を享受できる長期投資で、彼らにない時間という武器で勝負したいのです。少なくとも、同じ釜の飯を食った全員に利益が配分される長期投資のほうが、農耕民族である日本人の性格にマッチしているのでは、という気持ちもあります。