春を彩る花といえばチューリップもその一つで、オランダを扱ったテーマパーク、長崎県佐世保市のハウステンボスでは恒例の「チューリップ祭」が4月13日までの日程で開催されています。
むかし、ひとり暮らしの女性に魔法使いが手渡した球根はやがて花を咲かせ、その中には小さな女の子が座っていました・・・アンデルセンの童話「おやゆび姫」で女の子を包んでいた花がチューリップであり、昭和初期の俳人、松本たかしは「チューリップの花には侏儒(コビト)が棲むと思ふ」と詠みました。
このようなメルヘンチックな花が、投機の対象となり、人々を惑わしていたことは今となってはそれもまた童話の世界の出来事のような感じがいたします。
1630年代のオランダでは、チューリップの小さな球根が、平均的な労働者の賃金の10年分の値段で取引され(現在価値に換算すれば5000万円以上)、借金をしたり家屋敷を売って球根を買い求める人が相次ぎました。これが世に言う「チューリップ・バブル」で、最終的には多くの人が破たんしたそうです。
オランダに縁(ゆかり)の深いチューリップですが、日本の玄関口、東京駅東側の「八重洲」の地名もオランダに縁があります。
日本に漂着し、後に徳川家康の国際情勢顧問や通訳として取り立てられたオランダ人ヤン・ヨーステンは和名を「耶楊子(やようす)」と言い、彼の邸宅がこの地にあったことが「八重洲」の由来だそうです。
その八重洲に三井不動産と東京建物が6千億円超の資金を投じ、再開発がすすめられようとしています。