米アップルが腕時計型の情報端末「アップルウォッチ」を発表しました。
ほぼ予想されていたとおりで、iPhoneと連携させたり、心拍数や歩数を計測したり、カロリーの消費量などを記録して健康管理に役立つ機能も搭載しています。日本での価格は4万2800円からで、18金を使った最上位モデルは128万円の高価格となっています。
もちろん、日進月歩のデジタルの世界において時間の経過とともに性能の陳腐化から逃れることはできません。いわゆるウエアラブル端末も今後ますます高性能化が進み、次々と新しい商品が登場しそうです。また、充電1回あたりの駆動時間が18時間という点も、まだこれからの商品であることを感じさせます。
ところで、腕時計には大きく分けて、電池で動くクオーツとゼンマイで動く機械式の2種類があります。
クオーツ時計は、精度が高く、価格は安く、維持費も安いというのが特徴です。ただ、時計としての寿命は10年ほどと言われます。太陽光で発電し、標準電波を受信して時刻の誤差を自動補正するソーラー電波時計も、二次電池(バッテリー)は劣化するため、いずれ電池交換が発生するそうです。
機械式は、精度の面でクオーツや電波式にはかなわず、2、3日放っておけば動きが止まってしまいます。維持費もクオーツに比べ高額で、摩耗した部品の交換のために数年毎に行うオーバーホールでは数万円の費用がかかるのが当たり前です。ただ、その一方で、丁寧に扱えばクオーツの数倍の寿命が期待でき、場合によっては親子二代での使用にも耐えます。
誰もが携帯電話やスマホを持ち歩く現在は、腕時計をしなくても時間を正確に知ることがきます。時間を知るだけで良ければ、100円ショップで売られているデジタル時計で十分です。
精度で劣り、手間がかかる機械式腕時計ではありますが、50万円を超えるような高額品の大半は機械式です。
例えていえば、クオーツ腕時計が大量生産の工業製品であるのに対し、繊細な部品と複雑な機構を持つ機械式腕時計は職人が作る工芸品です。
どこに価値や魅力を感じるかについては人それぞれの趣味や好みによって違ってくる部分ではありますが、いくらでも選択肢がある中で高額な機械式腕時計が生き残り続ける理由は、工芸品としての付加価値と贅沢品としてのステータスにあります。