ピケテイ「21世奇の資本」の主張は、「資本収益率(投資収益率)>労働所得成長率(労働収益率)なので、資産家(投資家)と労働者の格差は拡大していく」、「格差拡大を抑えるため、政府は資産課税や投資課税を強化すべき」というもの。
これを実行するとどうなるか?
投資課税、資産課税強化で投資縮小
投資縮小で企業は成長性低下、安定性悪化
国全体の低成長化
低成長化で年金運用悪化、労働所得低下、雇用は不安定化、税収も低迷
労働所得低迷の財政補填(格差縮小名目のバラマキ)で政府財政悪化
財政悪化で増税
増税&政府バラマキ増大で役所経由の資金循環増大。官僚権限肥大化。
所得格差是正の建前で個人資産の役所管理が進む。 官僚支配強化。
官僚支配強化で規制保護業種(TV・新聞業界も)は安泰化。
経済低迷で労組活動活発化。 労組幹部は労働組合費で潤い、左翼政党も躍進。
、、、、要するに役所や左翼・労組、TV・新聞は潤うが、一般国民は散々な目にあう。
税金にたかるヒト(役人)、労働組合費にたかるヒト(左翼・労組)、保護規制にたかるヒト(TV・新聞業界など)、、つまりは他人の稼ぎにたかるヒトたちが潤い、その裏返しで一般国民は搾取されるようになる。
だから、ピケテイを礼賛するのはこういうヒトたちばかり(普通に賢く、普通に良心があれば礼賛しないはずなのですが、、(--;)
ピケテイは学者だが、学者の多くは税金で食い税金で仕事をしているので役所と利害一致度が高い。
米国の大学のように自ら稼ぐウェイトが高いとそうはなりにくいが、ピケテイのフランスや日本はそうでない。 お役所に近い存在である。
日本の学者にピケテイ礼賛が目立つのはそのせい
学者もTV・新聞も普通の仕事と同様、市場原理が働くようになれば、役所との癒着(ゆちゃく)や左翼との連携はなくなるが、市場原理がイヤなので、役所や左翼・労組と巧妙につるむ。
(補足)労組・左翼政党の必要性。労組・左翼と役所との利害一致:
・ 自由経済では企業と労働者の力関係は景気次第。 景気が良ければ労働者有利、悪ければ企業有
利になり、平均的には対等。 それでは労組の必要性が無くなるので、労組・左翼は景気低迷、経
済成長低下を望む。
・ 労組が強い業界ほど、労働者有利となり、企業は衰退し、最終的に労働者自爆となる。 潤うの
は労組費で稼ぐ労組活動家と左翼政党だけ。
(実際、米国では労組の強い業界ー自動車・鉄鋼などは右肩下がりで労働者所得も雇用も右肩下
がり。 労組のないIT・バイオ業界はこの逆)
・ こういう矛盾、不合理があるから労組・左翼は搾取、格差是正などデマを言い続けざるを得ない
・ 実際に労働者から搾取しているのは、企業で無く労組・左翼である。 自らの搾取を誤魔化す
ため、企業と資本家(投資家)をあらゆるデマで攻撃する。
・ 役人は企業活動活発化で企業の力が強まると、民間主導政治になり、自らの権力を損なう。 だ
から、景気低迷を望む。 景気対策と言いつつ景気の持続的上昇につながる政策は取らない。
(通貨供給抑制で金回りを悪くし、景気を抑える。 景気を抑えつつ、景気対策名目の財政出
動、福祉バラマキをやるので、景気浮揚は一時的で財政悪化が進む。 財政悪化を口実に増税
を推進する。 こうしてバラマキ増大&増税を繰り返し、国民・企業の役所依存を強め、役所
への資金集中を増やし、役所の支配力を強める、、、つまりは社会主義化)
・ 役人と左翼・労組の利害は(景気低迷、企業叩きで)一致する。 企業叩きは労働者叩き、国民
叩きでもある。 それを誤魔化すための福祉バラマキだが、その元手は国民の税金や借金(国債)
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ピケテイのデマを信じれば、労働者は自爆し、階級化が一層進むことになる。
マスコミの多くは左翼系なのでピケテイを礼賛するが、それを鵜呑みにすれば、労働貴族(労組活動家、左翼政党、左翼マスコミ)と官僚だけが裕福になる階級社会になっていく。
ピケテイの間違い(誤魔化しカ所)は以下のとおり、、、
間違いその1.労働者も投資収益率を得ている事実を無視している。
・ 投資の最大勢力は年金基金で、労働者は年金を通じて投資収益率も得ている。
・ 労働者は生涯均しで見ると、投資収益率と労働収益率の平均的な経済成長率を得ている。
(中長期均しでは、投資収益率>経済成長率>労働収益率>物価上昇率、、となる)
・ 一方、投資家が得る投資収益率はハイリスクである。大当たりも大損もある。
・ 労働者がローリスクで経済成長率を得る一方、投資家はハイリスクで投資収益率を得る。
・ これは不公正だろうか? 労働者は損だろうか?
・ 損だと思えば投資家に転じれば良いだけのこと、、一文無しになるリスクも覚悟して。
(投資はミニ株のように資産十万円からでも可能)
間違いその2.労働者が投資家に変化していく事実を無視している。
・ はじめから投資家になれる人間はまずいない。
・ 労働所得を貯め続け、それを元手に投資家になっていく。
・ 多くの人は若く能力、体力があり、しかし資産が貯まってない間は労働者のままである。
・ 能力・体力が低下する高齢になるにつれ過去の蓄えを使って投資家にならざるを得なくなる
(公的年金、個人年金、個人年金保険、定期貯金なども投資の一種であり、高齢者は知らず知
らずのうちに投資家ウェイトを高めている、、、それがイヤならタンス預金)
・ 若くして投資家になれるのは相続遺産が莫大なヒトだけ。
・ しかし、投資はハイリスクな世界なので、労働経験の乏しいヒトは勝ち続けられない。
(社会、経済、事業の仕組みを分かってないと勝ち続けるのは極めて困難)
・ 生まれつき裕福では努力、リスクテイクをしなくなるので、富裕層から落ちる確率が高まる
・ 相続遺産自体は子に分割されるうえ、課税されるので代を重ねるごとに縮小していく。
・ 遺産相続は富裕「階級」を生まない。 階級になれるほど持続しないし層も厚くならない。
・ 結局、子供自身の努力により労働や投資で成功しなければ富裕層には止まれない。
間違いその3.投資収益率の不安定さを無視している。
・ 投資収益はハイリスクハイリターンで、安定して勝ち続けられるヒトは皆無。
・ 投資だけでは上位の富裕層に止まれない。
・ 投資だけでは上位の富裕層と最貧層を行き来するようになるので安定した大金持ちになれず
・ 実際、上位富裕層はハイリスクな起業家ばかりで、その顔ぶれは安定していない(階級化無し)
・ ハイリスクな投資収益に課税強化すれば、投資はハイリスク・ローリターン化し減少する。
・ リスクを請け負う投資資金の減少で、企業は規模縮小となるうえ、リスクテイク(チャレンジ)
出来なくなる。
・ 起業家に課税強化すれば起業はハイリスク・ローリターン化し減少する。
・ 投資減少、起業減少で経済成長は低下する。 全てのヒトが貧しくなっていく。
・ もし、固定した富裕層がいるとすれば、それは階級的な不公正な制度があるから。
(欧州、発展途上国にはそういう富裕層が多い)
・ 正すべきは不公正な制度であって、所得格差ではない。
・ 不公正な制度を温存して、所得格差を是正すれば、階級化は一層進む。
(不公正な制度を享受してるヒトたちだけ所得格差是正を免れ、公正に富を蓄える投資家、
起業家は潰されるので、特権階級は更に安泰化し肥大化する)
間違いその4.所得格差、資産格差だけ論じて労働やリスクテイクの格差を無視している。
・ 所得格差は労働やリスクテイクの差から生まれる。
・ 労働は必ず利益を生むわけではない。 間違った方向の労働は損失を生むし、利益を減らす。
・ 労働の方向が正しくなければ利益は得られない。利益を得ることには必ずリスクが伴う。
・ 利益=労働+リスク、、であり「正しい方向で」労働し、リスクテイクするほど利益は増す。
・ 労働やリスクテイクの差を無視して、所得格差だけ是正すればどうなるか?
・ 所得平等だけ問題視する格差是正論は、ニセの平等であり、不公正の拡大になる。
・ 不公正回避のため、労働もリスクテイク(チャレンジ)も減少し、利益は生まれなくなる。
・ 経済停滞となり労働所得も投資収益も(年金収入も)減っていく。
・ 実際の社会では、リスクを背負うのは投資家であり、労働を担うのは労働者である。
・ 企業は、投資家の財産提供(リスク請負)と労働者の労働提供で利益を上げる。
・ 労働者は日々の労働の報酬を確実に得られる。企業業績がどうなろうと財産を減らす事はない
・ 労働者のリスクは全て投資家につけ回しされる。
・ 投資家は企業に財産を提供するが、その見返りは確実でない。
・ 企業業績が上がれば株価上昇で財産が膨らむが、その逆ならば財産を減らす。ゼロにすらなる
・ 企業投資はこのようにハイリスクゆえ、ハイリターンでないと投資家が集まらない。
・ 投資がハイリスク・ハイリターンになるのはそのため
(その裏返しで労働はローリスク・ローリターンになる)
・ 投資家の多くは過去に労働所得を蓄積した高齢者=労働者のOB。
・ 労働者のOBがリスクを請け負うことで企業は回り、労働者の所得は安定する。
・ 高齢者叩き、投資家叩きはこの役割分担を崩壊させる。
・ そうなると、労働者は直接、リスクにさらされるようになる
(労働のハイリスク・ハイリターン化=自営業化)
・ 経営者も労働者の一種。 管理労働を担う労働者、、それが経営者。
・ 企業業績が悪化しても経営者の報酬はほぼ安泰で、財産も取られない。労働者だからである。
・ ほとんどの経営者は財産を企業に投資しておらず、労働者が出世して経営者になっている
(これをサラリーマン経営者と言う)
・ 起業家は経営者と投資家を兼ねた存在。 自分の財産を投じ会社を立ち上げ経営者になった人
(これはオーナー経営者と呼ばれる)
・ ゆえに起業家は最高にハイリスク。 最高にハイリスクゆえ生き残った場合の利益は大きい
・ しかし、起業家の財産のほとんどは自社株なので、生き残ってもその資産額は不安定。
(自分の会社が傾けば資産急低下となり、借金まみれにすらなる、、ホリエモンのように)
・ 平和が続き、社会全体の資本(資産)が増えると、ハイリスク投資に回す余裕が増す
・ ハイリスク投資=起業家への投資に回る資金が増えるので起業は益々ハイリスクハイリターン化
・ ゆえに生き残った起業家の富裕度は上がる。 ゆえに上位富裕層と最貧層の資産格差は広がる。
・ 格差は広がるが起業家が不安定なことは変わりなし。
・ 格差は広がるが、起業増大で経済成長向上となり最貧層の生活レベルは上がる。
・ つまり、平和が続くほど資本蓄積となり「不安定な」起業家が増え、格差は増すが、経済は成長
し、最貧層の生活レベルは「安定的に」上がっていく。
間違いその5.上位富裕層と最貧層の資産格差だけ論じて、その数を無視している。
・ 自由経済では富裕層と貧民は常に少数。多くは中間層。
(単純競争の学校の勉強でも優等生と劣等生は少数で中間層が多数派。多種多様な経済競争
では一層そうなる)
・ 富裕層は少数であり、かつ上記のように公正で不安定である。それでも富裕層の存在は問題か?
・ 大多数が中間層なのに所得格差は問題か?
・ 所得格差是正で経済成長低下となれば中間層は貧民層に落ちる、、こちらのほうが問題では。
(左翼・労組にとっては支持者増大、労働組合員増大になるので大歓迎だろうが、、、)