日本のインフレ率統計値が米国より高めに出ることは内外の様々な学者から指摘されてきた。
にも関わらず、その差異は一向に修正される気配がない。
高めに出るインフレ率を指標に金融政策を行えば、同じインフレ率でも日本の景気は米国よりも抑制的になる。
ドル円レートは(日米双方の景気水準が同程度になる)中立水準よりも円高になる。
米国のドルは世界で流通してるので、これは、世界に対し日本の金融政策が絶えず景気抑制的になることを意味する。
解決策は物価統計を米国と整合するものに変えるか(総務省マター)、インフレ目標を米国よりも数%高めにとることである(日銀マター)。
しかし、実際にはこの両方とも行われていない。
それどころか、黒田日銀は米国よりも低めのインフレ率に誘導し、さらに景気を抑える(=中立レートからさらに円高水準に維持)金融政策を未だに取り続けている。
官僚の不作為?と政治家の放置が続いている。
(補足)経済学者、愛国主義者?が勘違いする基軸通貨国(米国)との物価統計の整合の必要性:
学者が言うような「日米どちらの物価統計が正確か?」という議論は実用的、国民生活的には全く意味がない。 基軸通貨国の物価統計に整合してるか否かが国民生活に多大な影響を持つからである。
愛国主義者?が言いがちな「基軸通貨はケシカラン」という議論も全くナンセンス。 基軸通貨に振り回されたくなければ、自国経済をもっと繁栄させねばならず、そのためには現在の基軸通貨国との物価統計整合化がまず必要だからである。
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日米の物価統計がずれる要因について、、、現時点wikiより(参考)
アメリカ1996年、アメリカではマイケル・ボルトンを委員長とする「消費者物価指数諮問委員会」が「アメリカの消費者物価指数は、実際の物価上昇率を平均1.1%過大評価している」という報告書を公表し、議論を呼んだ[4]。以降、アメリカでは広範な製品について、バイアス調整が行われるようになった[4]。
日本日本の消費者物価指数は、実体より1%程高めであることが知られており、仮に消費者物価指数でみて0%のインフレの場合、実際はマイナス1%のデフレである[5]。
数字が高めになるのは、
- 消費構成を固定して捉えている。
- 消費者物価指数の算定対象に新しい品目が採用されにくい。
- 「実質的値上げ」を考慮していない。
の3つの要因があるからである[6]。
日本銀行の白塚重典の集計では、消費者物価指数はプラス0.9%ほど高めの数値が出る傾向にあるとしている[7]。
経済学者のクリスチャン・ ブローダ、デビッド・E・ワインスタインの研究では、日本の消費者物価指数はプラス1.8%の上方バイアスがあるとしている[8][9]。
日本の消費者物価指数は5年ごとに基準改定があるが、改訂の直前に誤差が最大となる[10]。
また、消費者物価指数は安売りが反映されなく、製品の質は考慮されにくい[11]。
4 田中秀臣 『デフレ不況 日本銀行の大罪』 朝日新聞出版、2010年。
5 岩田規久男 『日本経済を学ぶ』 筑摩書房〈ちくま新書〉、2005年、246頁。
6 森永卓郎 『日本経済50の大疑問』 講談社〈講談社現代新書〉、2002年、133-134頁。
7上念司 『デフレと円高の何が「悪」か』 光文社〈光文社新書〉、2010年、80頁。
8上念司 『デフレと円高の何が「悪」か』 光文社〈光文社新書〉、2010年、81頁。
9田中秀臣 『不謹慎な経済学』 講談社〈講談社biz〉、2008年、157-158頁。
10上念司 『デフレと円高の何が「悪」か』 光文社〈光文社新書〉、2010年、76頁。
11岩田規久男 『日本経済にいま何が起きているのか』 東洋経済新報社、2005年、180頁。