イスラム過激派の背景

ヒロろんさん

遂にイスラム国が、日本政府に日本人人質2名の命と引き換えで2億ドル(≒240億円)の身代金を公に要求した。日露戦争に勝ち、大東亜戦争を米国と戦った日本は、総じて中東では尊敬され、好意を持たれている。

イスラム国もこれ迄、日本敵視はしなかったが、初めて挑戦状が届いた。 イスラム国の安倍首相への要求は、彼らにとり絶好のタイミングだった。

中東訪問中の安倍首相の25億ドルの支援発表は、その内2億ドルはイスラム国対策となっている。温存していた人質各1名の交換条件を1億ドル計2億ドルとし、イスラム国対策支援2億ドルへの怒りを露わにしたのだ。

無論イスラム国は2億ドルがそのまま支払われるとは毛頭思っていないだろうが、少なくとも中東訪問中の安倍首相と日本に踏絵を踏ませ、裏金を幾ばくか得て人質を解放することで日本には敵意がないことを示すか、それとも代金を得たことを公表し欧米政府への見せしめとするかだ。

そもそもイスラム国は、教祖の教えに戻れという復古主義、シャリーア(戒律等)を厳密に守れという原理主義、そして自分勝手な欧米への反発を綯交ぜにしてオスマントルコの過っての栄光、壮大な夢を再現・復活する為、冷酷無比・残虐さを厭わないジハード無差別テロ武装集団といえる。

当初イラク・シリアイスラム国(ISIS)と称していたイスラム国(=IS)は、シリア、イラク、トルコに跨る英国本土領を既に上回る地域を占領済みだ。マホメッド時代への復帰、シャーリアの強制、奴隷制復活を唱え、塩素ガス攻撃も辞さない。数万以上の軍事勢力は、その半数は外国からの傭兵だ。

イラク崩壊後、スンニ派のイラク軍幹部を招き国家的運営を指向する一方、奪略油田地帯からの収入、強制課税か残虐死かの選択、占領地域からの略奪、奴隷売買、遺跡盗掘等による原資を潤沢に使い、首謀者バクダディはカリフと称し本気で在りし頃のオスマン帝国復活を狙っている。

何れにしろ、イスラム国もアルカーイダ、タリバンも無差別テロ集団であり、恐怖による人民支配を狙っていることは確かだ。彼らなりの言分、特にイスラム国の主張は、第1次世界大戦中に英仏露が一方的にアラブ地域を分割線引きした「サイクス・ピコ協定」の破棄と、自らによる領土策定だ。

アフガニスタンの戦争泥沼化を目論んだ米国は、ビンラディンを当初支援し、シリア崩壊を狙う米国は、イスラム国の兵士訓練・兵器供与をしていたという。革命前のイランも米国がパーレビ王朝を支援していた。欧米の身勝手な国益追求が、今日の混乱を惹起させたのだとも言えるのだ。

17名が一瞬に殺害されたパリのシャルリー・エブド事件、テロの道具として少女に爆弾を巻き付け、遠隔操作で強制的自爆無差別テロ、ノーベル平和賞受賞マララさんを瀕死の重傷、これらの心理的背景には、異教徒の殺害、奴隷化を正当化する言葉が旧約聖書にあるからともいえる。

旧約聖書を共通経典とするイスラム、キリスト、ユダヤの一神教は、排他過激集団醸成の素地がある。15世紀末カソリック教皇がポルトガルとスペインに白人未踏地域の分割を勅許し、逆らう異教徒の大量虐殺、奴隷化を正当化した。

大義名分を得た両国は如何程の悪逆非道を行ったのか。

中東の世界は千年以上前から人種、民族、言語に拘らず仲良く暮らしていた。それを騒乱の地域にしたのは米国だと、昨日会ったイラン人は言っていた。間違いなく真理の一つを突いている。 

「少女に爆発物を巻き付けて自爆を強いる過激派の卑劣。70年前、特攻という人間爆弾に称賛を送った国があった。」と書くこの反日新聞は、無差別テロと軍事行動の違いも判らない間抜けだ。
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