野村総合研究所によると、金融資産1億円以上の富裕層は、2013年の時点で100万世帯を越え、過去のピークだった2007年から10万世帯も増えたそうです。アベノミクスで、富裕層が激増したためとしています。
株価は、あの昭和バブルの半分にも達していませんが、富裕層の数ではバブルを越え、ドイツや中国、イギリスを抑えて世界2位のようです。別の調査によると、富裕層の比率でも、100人に一人と、アメリカを抜いて、人口1億人以上の国では、世界一というからびっくりです。
富裕層が60~70代に偏っているため、消費に回らず、景気があのバブルのときほど活況がありませんが、株が資産形成の手段になっていることは事実です。昭和バブルでは、株も上がりましたが土地の価格が高騰し、株の値上がりを不動産につぎ込んだ結果、土地を持つことが、資産形成のもっとも有効な手段とされました。
それがどうでしょう、あのとき無理をして買った郊外の住宅は、子供たちからそっぽを向かれ、親の没後売るに売れない空き家となって放置されているそうです。これからインフレが定着しても、不動産の価格がすべて高騰することはないでしょう。資産形成手段としての不動産投資は終わったのです。
資産を増やす方法としては、価格が公表されて市場で売買できる金融商品のほうが適しています。目下問題になっている相続税対策でも、小口に贈与できる金融商品のほうが、有利だという人が多くなってきました。
資産は眺めているだけでは、ありがたさが分かりません。使って始めて豊かさが実感できます。株式は資産を増やし富裕層になっても、配当金で豊かな生活ができる上に、株を売却しないで更なる資産形成ができます。こんないい利殖手段が、ほかにあるでしょうか。
株で生活をしているというと、株の売買益で暮らすことを想像します。
今から7~8年前のことです。ネットで株が安く売買できるようになったころ、デイトレーディングの稼ぎで生活している人たちのことが話題になりました。株が上昇するときは買いで、下落するときは空売りで儲けを出し、しかも1日で売買を終了させ、リスクを最大限抑えるという手法で、一世を風靡しました。でも今では株の売買益で生活している人はほとんどいません。
株で生活するためには、値上がり益をお金にしなければなりません。そのためどうしても、短期の売買の繰り返しになります。当然のことながら値動きのいい、相場としては終わりに近いような株の取引が中心で、カジノでゲームをやるのと変わりません。ギャンブルで飯を食っている人も皆無ではないかもしれませんが、イカサマでもしないかぎり永遠に当たる人はいないはずです。
著者の周りで、株で生活している人は、すべて株の配当を原資としています。決まった収入があるときは、資産を増やすことに専念すればそれで十分です。ところが定年などで収入源がなくなったときは、資産を現金に換えて生活しなければなりません。ストックをフローに換える必要があります。金投資がいい例です。いくら金の価格が上がっても、現金に換えないかぎり収入にはなりません。そうなると残りの金はその分だけ減ってしまい、やがてはゼロになってしまいます。金は所有するだけでは生活できないのです。
さあ、あなたも株で資産を増やし、資産からの配当金で豊かな生活をしましょう。
それには時間が必要です。長期に株を持つだけでは、富裕層になれるとは限りません。いい株をいいときに買って長期に保有するのです。
「波乗り投資法」は、その成果を残した著者の人生が証明しています。