・第三話:高らかに
俺は歌わずにいられなかった。
「突き、突き、突き、突き、正拳突き♪
極めてる♪」
※一休さんのテーマのリズムで
「これ、千急。朝っぱらから何歌っておるんだ。」
安寧和尚が声をかけてきた。
この和尚、朝にはめっぽう強い。なぜ年長者は朝に強いのだろう。それはともかく。
「何って、俺のテーマソングを考えていたんだ。
愛される主役には、親しみやすいテーマソングが必須だからな!
隙、隙、隙、隙、隙なし♪ 千急さん♪」
歌いかけたところで、突如 新しいフレーズが全身を駆け抜ける。
「いや、
『ムキ、ムキ、ムキ、ムキ、ムッキムキ♪ 千急さん♪』
の方が良いか!?」
これは、かの高僧が用いたとされるトンチのひらめきと言うやつに違いない!
「そんなもん考える暇があったら読経せんか!」
今日も和尚のツッコミが冴え渡る。
問題ない。
前にも言ったが、俺は後にあの高僧、一休宗純に並び称されるであろう男だ。
俺の偉業が広まれば、このテーマソングもそのうちお経になるだろう。