jojuさんのブログ
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★「21世紀の資本論」(格差拡大のデマ2)
表題はフランスの経済学者(?)、Pikettyの著書名。
以前も突っ込んだ書籍ですが再度つっこみ。
この本の肝は、資本収益率>賃金上昇率、となっている事実を資本家(投資家)による労働者の搾取と断じてるとこ。
資本収益率とは投資家が投資で得る平均リターンであり、これが労働者が得る賃金の上昇率を常に上回るから格差は拡大していくとのこと。
だから、平和な時代が続くほど格差は拡大し、どこかで革命(笑)が必要になるらしい(大笑)
そういう騒乱を未然に防ぐために政府による再分配(個人資産管理)が必要だというのがPikettyの主張(笑い過ぎて死にそう、、)
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Piketty説の盲点は、全ての人間は労働者、投資家、消費者の3つの側面を持ってることをあえて無視してること
また、投資収益はハイリスクハイリターンで、労働収益はローリスクローリターンなことも無視している。
さらに自由経済では自由競争ゆえ、富裕層から貧民まで絶えず上下に階層移動があることも無視している。
彼は、実態経済を知る者ならば誰でも知っているこれら常識的なことをあえて無視して議論を展開しているのです。
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企業というのは金を稼ぐための組織。
企業の金儲けは、より良い製品、より良いサービスを社会に提供することで成されるので、社会貢献のための組織でもある。
企業が金儲け、もとい社会貢献するためには、労働と資金の二つが必要である(労働もお金で雇うので終局的にはお金が必要なんですが、、)
企業で労働を提供して稼ぐヒトは「労働者」と呼ばれる。 経営者も労働者の一種です。
企業に財産の一部を提供してその見返りをもらうヒトは「投資家(資本家)」と呼ばれる。
自らの財産を投じて会社を起こすヒトは「起業家」と呼ばれますが、これは労働者(経営者)と投資家を兼ねた存在。
労働者(経営者)は、日々の労働の稼ぎを賃金で確実に回収できる。 労働収益はローリスクです。 だからローリターンになる。
一方、投資家は過去の労働蓄積たる財産を企業に提供するが、その見返りは企業の儲けから労働者(経営者)に賃金を払った残りから得る。 それは企業業績次第である。 投資収益はハイリスクである。 だからハイリターンになる。 ハイリターンがなければだれも投資のハイリスクなど背負わない。 企業活動は止まり、経済は崩壊する。
だから、投資家の資本収益率に賃金上昇率を上回る見返りを与えるのは極めて当然なことなのです。
もし、そうでなければ企業は資金枯渇となり経済は崩壊するからです。
政府が再分配政策で投資家の稼ぎを吸い上げる政策を取れば、やはり、投資のハイリスクの見返りはなくなるので、企業は資金枯渇になり、経済は崩壊するでしょう。
Pikettyの主張は自爆行為と分かりますよね。
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企業は資金をどこから得るか?
個人投資家、投資信託(ファンド)、銀行融資から得ます。
ファンドで最大なのは公的年金基金です。
銀行融資の元手は預貯金のお金です。
だから、国民全てが実は投資家なんです。
知らず知らずに投資家になり、投資収益率を得ているわけです。
知らずに投資家になってるヒトは間接投資家で、これは投資運用を人任せにしているので投資収益率は低めになる反面、リスクがほとんどない(年金も預貯金も元手が減るリスクは極めて小さい)
一方、意識的に投資家になり財産を投じているのが個人投資家ですが、これは自己運用なのでリターンが大きくなりうる反面、リスクも高い。 ハイリスクハイリターン。
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以上から平和な時代が続いても革命は必然でないことが分かります。
各人の労働量・才覚(これは結局、自分の得意な方向、得意な方法で働いてるか?ということ)・リスクテイクにより常に格差はありますが、時々の労働・才覚・リスクテイクにより勝ち負けが絶えず入れ替わる公正なものだからです。
平和な時代が続くほど投資収益率と賃金上昇率の差から社会全体の資産総額は膨らんでいき、貧民クラスのヒトの生活も底上げされていく。 同時に最上位富裕層のヒトの豊かさ度合いも上昇していく。
最上位と最下位の資産額の差も開いていくかも知れませんが、それは投資家もしくは起業家として投じる資金額も平和の持続、経済成長の持続、リスク許容度の増大により巨額化する結果です。
格差拡大はリスク性資金の増大の結果であり、起業家に回るお金が増える結果であり(起業家は投資家と経営者を兼ねる存在なので最高にハイリスクハイリターン)、起業数が増える結果であり、それにより経済規模が大きくなっても高めの経済成長が維持されやすくなる。
起業に成功した一握りの起業家が増える結果として貧富の差が拡大していくので、その格差は固定したものでなく流動的で公正なものなのです
もし、この格差を政治的に縮小すれば起業活動は低迷し、経済成長は停滞し、貧民はより貧しくなっていくでしょう。 貧民救済と称して政府規模だけが肥大化し、経済活動は不公正化、非自由化し経済成長が更に落ちる悪循環になる。
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欧州における格差拡大は資本主義の矛盾で起きているのでなく、欧州に残る階級制、階級意識の残滓で起きていると思います。
米国の場合は、景気対策の財政出動を富裕層中心の減税政策でやってきたことに起因する。
一方、日本の場合は、格差是正政策の行きすぎや談合の横行でリスクテイクが割りに合わない状況から悪平等の不公正が生まれている。
日米欧とも資本主義、自由経済の矛盾というより、自由経済の不徹底(市場原理の歪み)から不公正な格差拡大(日本の場合は不公正な格差縮小)が起きている。
米欧でPikettyの主張のとおり、不公正な格差を(市場原理が働かず恣意的になる)政府の再分配で解消しようとすれば、市場原理の歪みを二重化するだけになる。
それは問題をより複雑にするし、経済への政府関与を強めるので、経済成長を下げる方向に作用する。
むしろ、合理的な解決法は市場原理の歪みを解くことである。
欧州では階級的な慣習を排除し、米国では富裕層中心減税を是正すること。
一方、日本では悪平等な制度の是正と談合の不正排除が必要。
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中長期的均しで見るとリターンはリスクに応じて増えるので次の関係が成立するらしいです(運用の参考に)。
資本収益率>名目経済成長率(実質経済成長率=実質金利)>賃金上昇率>物価上昇率
資本収益率: 株式・不動産投資などの収益率
実質金利: 債券(貸付)の収益率(物価上昇率差引き後)
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