突然ですが、兼松日産農林という会社をご存じでしょうか?
住宅の地盤調査・地盤改良、木材保存処理(防腐、防アリ)、監視カメラの輸入販売を主要事業としている会社です。
ほとんどの方は知らないと思います。わたしもついこの間までは知りませんでした。
この会社に、グループの中核企業である兼松が子会社化を目的としてTOBをかけました。
買付期限は12/16、買付価格は200円。保有割合にして51%を目指す公開買い付けです。
これを受け、兼松日産農林の株価は当然のように上昇(140円/株→166円(12/12現在))しましたが、買い取り価格である200円には届いていません。
なぜ買って応募しないの?こんなオイシイ話ないよね、って思いますよね。
これには訳があるんです。
兼松が示したのは、上限で約783.6万株の買付。これは、兼松日産が保有する株式を差し引いた全発行株式:4145.9万株の18.9%にあたりますが、これを超えた買付は行わないとしたこと。
だから、もし買い取り希望者が殺到した場合、買って貰えない可能性がある。その場合、上昇した株価は一気に元の価格に戻る可能性が高く、このリスクが大きいんです。
でも、socialcolor、買って申し込んでしまいました。
「さすが、勝負師。賭けに出たか!」って。
賭けは賭けなんですけど、さすがに何も考えてない訳じゃないんです。
まず、買付方法が抽選や、先着順でなく、按分比例方式(簡単に言うと、応募割合に応じて買い付けますってこと)であること。
今回の場合、
全浮遊株式数:全発行株式(4145.9万株)-兼松保有株式(1330.8万株)=2815.1万株
が、全て応募したとして、按分比例方式では、
783.6万株/2815.1万株=0.278
最低でも約30%の株は買い取ってもらえる計算になります。よって、
株数×(200×0.3+市場売付価格×0.7)>株数×市場買付価格
の場合に利益が得られることになります。
例えば、取得価格:150円、取得数:10000株であった場合、買取不可の株式を、ざっと129円以上で市場で処分できれば損はでない(手数料は除いて計算)ことになります。
(socialcolorの場合、174円で10000株なので、ざっと162円です。現在166円なのは、この辺りの取引が多いという思惑からだと考えられます)
全株主が応募する訳がなく(情報によると、TOBに賛同した大株主は、買付表明時で1.46%を保有する日本土地建物だけで、難色を示す株主も多いとのこと)、またTOBの受付が三菱UFJモルガンスタンレー証券及び、そのグループのカブドットコム証券に限られることを考えると、公開買い付けだけでのTOB不成立(全株式買い取り)も充分考えられます。
買付日は、12/16(火)。はてさて、こう思惑通りことが運びますかどうか。
こうご期待!